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新座志木中央総合病院 林 淳慈 院長

こちらの記事の監修医師
新座志木中央総合病院
林 淳慈 院長

あきれすけんだんれつアキレス腱断裂

概要

ふくらはぎの筋肉とかかとの骨を結ぶ、体の中で最も大きな腱であるアキレス腱は、歩いたり、走ったり、ジャンプしたりするときなど足を動かす際に重要な役割を果たす。アキレス腱断裂とはこのアキレス腱が切れてしまった状態のことをいう。テニスやバレーボール、サッカーといった激しいスポーツをしている最中に受傷することが多い。中でも、アキレス腱の機能低下が始まる30~50代のスポーツ愛好家の受傷が目立つ。スポーツ外傷の中でも前十字靱帯断裂とともに重症化することが多いことも特徴だ。その他、高齢者やリウマチなどの持病がある人が受傷することもある。

原因

踏み込みやダッシュ、ジャンプといった、足に負荷がかかる動作で、ふくらはぎの筋肉が急激に収縮したときや、着地動作などで急に筋肉が伸ばされたときなどに発生。まれに、転倒など外からアキレス腱に力がかかったことによって受傷することがある。本来、ジャンプやダッシュなどで足に急激な力がかかるとき、アキレス腱はそれを緩和する役割を担う。ところが、加齢などの理由でアキレス腱の機能が低下したことによって、断裂を起こしやすくなる。また、若くても長期間スポーツを休んだ後に再開したときなどは、アキレス腱の機能が低下しているために受傷しやすい。また、高齢者やリウマチなどの持病を持っている人はアキレス腱が弱くなっているため、歩行中の転倒や負荷の軽い運動でも断裂することがある。

症状

受傷時は、強い力でアキレス腱を蹴られたような衝撃を感じることが多く、「バチッ」「パーン」といった大きな音を自覚することもある。けがの直後は受傷した足に体重をかけることができないために転倒したり、しゃがみ込んだりすることが多い。中にはアキレス腱に激痛が走り、体を動かすことができなくなって救急車で病院に搬送される人もいる。必ずしも歩けなくなるわけではないが、足首を動かしたりつま先立ちしたりといった、足の動作ができなくなることが特徴的な症状の一つ。また、アキレス腱の断裂部分は大きくへこむことがあり、それが診断材料となる。

検査・診断

アキレス腱が断裂すると患部にぽっこりとへこみができ、その部分を押したときに、痛みが走るかどうかでアキレス腱断裂を判断することができる。また、うつ伏せて膝を直角に曲げた状態でふくらはぎを強くつまむと、通常は足首の関節が足底のほうに向かう(底屈)が、アキレス腱が断裂しているとこの底屈が見られない(トンプソンテスト)。ほとんどの場合はこうした触診、視診によってアキレス腱断裂を判断することが可能である。通常のエックス線検査では異常を認めないが、治療方法を手術にするか保存治療にするかを判断するために、MRIや超音波検査といった画像診断検査で断裂の程度を確認することもある。

治療

アキレス腱断裂の治療法は主に、手術を行わずにギプスや装具を用いて治療する保存療法と、断裂したアキレス腱を縫合する手術療法の2種類。保存療法ではギブスや装具によって、6~8週間程度アキレス腱を固定する必要があり、リハビリテーションが長期化するといったデメリットがある。そのため、スポーツ選手は競技に早期復帰するため手術を選択することが多い。手術療法では、アキレス腱を直接つなぎ合わせる。手術は入院して行われることが多いが、手術方法や腱の状態によっては日帰り手術が可能な場合もある。

予防/治療後の注意

治療後はリハビリテーションが必要となる。そのため、リハビリテーションを担当する理学療法士のスタッフ数や経験値、リハビリテーション施設が充実しているかどうかも確認した上で、病院を選ぶことが大切となる。治療後は数週間程で普段どおりの生活へと戻れることが多いが、アキレス腱に負荷がかかるスポーツに復帰するには、半年から1年以上かかることも。アキレス腱の機能低下によって断裂しやすくなるので、運動前に十分にストレッチやウォーミングアップをすることも重要な予防となる。

新座志木中央総合病院 林 淳慈 院長

こちらの記事の監修医師

新座志木中央総合病院

林 淳慈 院長

1986年、東京医科大学を卒業後、昭和大学藤が丘病院整形外科に入局。1999年、新座志木中央総合病院整形外科部長、昭和大学藤が丘病院整形外科兼任講師に就任。同院の副院長を経て、2013年より現職。人工関節リウマチセンター長を兼任。日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本整形外科学会認定整形外科専門医。