安全に配慮した生活のために
入院・訪問・外来リハビリテーション
林外科医院
(宗像市/赤間駅)
最終更新日:2023/09/15
- 保険診療
外来リハビリは、肩凝りやケガの回復など「痛みを取り除くこと」を目的としていることが多い。「林外科医院」で行われるリハビリでは患者の暮らしまで踏み込み、特に高齢の患者が「どうすれば日常生活を安全に送れるか」という点に重きを置いた内容になっている。「ご高齢になると、痛みが取れたからといって玄関を楽に上がれたり、お風呂に安全に入れるわけではありません。ご高齢の方が多い地域だからこそ、その方がご自宅で安全に暮らしていくためにはどうすればいいかを、年齢のせいにせず身体機能の回復をめざし、介護や福祉用具などの面からも医師とともに考えるのが林外科医院のリハビリなんです」と話すのは理学療法士の紙谷恭平(かみや・きょうへい)さん。病院レベルのリハビリをどのように実現しているのか、地域連携を含めて話を聞いた。
(取材日2023年8月31日)
目次
患者の生活を具体化し、それに沿ったリハビリを考案。地域の福祉業者とも連携しながら最善の道を探していく
- Q外来・入院・訪問とそれぞれでリハビリを行っているそうですね。
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A
当院の外来リハビリは普通の整形外科と同様で、仕事での腰痛や肩凝りのほか、部活でのケガ、交通事故後などで生じた痛みを取ることがメインなので、若年層や働き盛りの方が多くなります。一方で入院・訪問リハビリは70代〜90代のご高齢の方が多くなります。一人暮らしの方も多く、退院後、ご自宅でどう生活していくかを具体的に考え、そこで浮かび上がる生活での課題をクリアできるようなリハビリを行います。施設に入居される場合も同様で、施設の条件や環境も考慮し目標を定めてリハビリを行います。訪問リハビリは、より安全に過ごせるように、生活の場で動作練習や動作方法の提案、身体状況に応じた環境作りの提案等をしていきます。
- Q具体的にどのようにリハビリ内容を考えていくのでしょうか?
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A
ご自宅に戻る際は地域のケアマネジャーさんとも連携し、患者さんのご自宅の写真や間取り、手すりの有無などを細かくお聞きしながら、「どうすればその方が安全に一人暮らしやご家族と暮らしていけるか」という点を踏まえた生活動線をベースに考えていきます。そして患者さんにも手脚、身体の弱さや動かしづらさなどに気づいていただき、「これだと家事ができないからこういうリハビリをしましょう」とご自分の状態を自覚していただきます。また「孫が来るから自力で抱っこしたい」「お友達とお出かけしたい」などの目標や趣味があるとモチベーションにもなりますから、普段の会話の中で患者さんのお好きなことなどを知るのもとても重要ですね。
- Q地域の福祉に関わる方々とはどう連携されていますか?
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A
場合によっては退院前訪問といって実際にご自宅に私たちが伺い、生活の動線を中心に日常生活の動作を行えるのか確認していきます。ベッドや手すりが必要か、トイレには行けるのか、入浴は自宅で可能か、ホームヘルパー、デイサービス、デイケア等の介護サービスの利用が必要かなどを検討していきます。地域連携の要は当院の看護師長で、私たち理学療法士とケアマネジャー、福祉用具を取り扱う業者さんなどをつないでくれています。もちろん中心となるのは、患者さんの意見、希望、そしてご家族の意向ですので、相談を重ねながら、患者さんとそのご家族が納得してご自宅に戻れる環境、施設に入所されるまでの環境を整えていきたいと思っています。
- Q患者さんの生活に直結したリハビリを行うのですね。
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A
痛みがなくなったり、ケガが治ったら、すぐに自宅で思いのままに生活できるわけではありません。手術を行った他の病院から「自宅に帰るには不安があるので、そちらで入院してリハビリをしていただけませんか?」と依頼されることもあります。「なんとか動作はできている」では安全な生活はできません。私たちが特に気をつけている点は、年齢のせいにしないこと。「もう年だから……」と言ってしまうと、痛みや動作ができない本当の原因が見つかりません。当院では外来、入院、訪問リハビリすべてにおいて、年齢のせいにせず、身体機能の回復をめざし、患者さんが生活されている場所や地域をイメージしてリハビリを行っていきたいと考えています。
- Q最近では、地域の方々に向けたヨガ教室も始められたとか。
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A
20代〜40代と働き盛りの方から、健康や介護予防などを気にされる年代の方まで幅広く、もっと気軽にご自分の体に興味を持ってほしいと考え、ヨガ教室や健康教室の開催を計画しました。理学療法士、看護師、医療事務の5名が診療後に実施しておりますので、地域の方が健康面やご家族の介護のことなどを気軽に相談できる場所としても活用していただけるとうれしいですね。部活などのスポーツをやっている学生さんの参加も可能ですから、ケガの予防やパフォーマンスアップに活用し、体のことを相談できる場にしていきたいです。