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荒川 聡 院長の独自取材記事

荒川眼科医院

(北九州市八幡西区/黒崎駅)

最終更新日:2024/03/18

荒川聡院長 荒川眼科医院 main

「白衣を着ないからか、医師っぽく感じないようで(笑)。皆さんが気兼ねなくお話ししてくださるとうれしいです」と、満面の笑みで患者との関係性を話すのは、「荒川眼科医院」の3代目院長を務める荒川聡先生だ。黒崎駅から徒歩6分、かつては銀行だったという建物が印象的な同院には、主に70代以降の高齢者が訪れているという。荒川院長はそのため、夏は気温が高くないうちに受診し、暑くなる前に帰宅できるようにと、通常よりも1時間早い朝8時からのサマータイム制を導入。そんなホスピタリティー精神に満ちた取り組みも同院ならではの特徴だ。「日々患者とのコミュニケーションを楽しみながら診療しています」と目を細める荒川院長に、これまでの歩みを振り返りながら、患者との向き合い方や診療スタイルについて語ってもらった。

(取材日2023年6月12日/情報更新日2024年3月13日)

大学卒業後は大学院で加齢黄斑変性の研究も

先生は3代目の院長でいらっしゃるんですね。

荒川聡院長 荒川眼科医院1

ええ、2020年の4月に継承しました。通っていた中学校もすぐ近くにあるので、この辺りはずいぶんと慣れ親しんだ土地です。祖父はここからほど近い中央町というところで開業し、父の代からこの場所で診療を開始しました。35年くらい前にここへ移転したのですが、ここはもともと銀行だったので、その雰囲気も建物から感じられるのではないでしょうか。眼科医院っぽくないですよね(笑)。待合室が広いので、呼ばれるまでゆったりとした気分でお待ちいただけると思います。私も子どもの頃に視力を測るために来ていましたが、その頃は医師になりたいという明確な気持ちはなく、祖父も父もそうだから自分もそうなるのかなと漠然とした感じでしたね。

では、いつ医師を志そうと決意されたのですか?

実は、高校卒業後も特にやりたいと思うことが見つからずに、浪人という名目で自由に過ごしていました。一般的に医師というと、小・中・高と先を見据えた教育を受けて現役で医学部進学をめざす方が多いと思うのですが、私の場合はすべて県立の学校で部活もしていたものですから、なかなか勉強モードに入らず、やる気スイッチが入るまで、まさかの5年かかりました。さすがにこれでは駄目だと5年目にしてスイッチが入り、翌年に無事医学部へ進学。大学は留年せずに卒業できましたが、5年浪人して医学部に入れたのは私の人生において貴重な経験。浪人中は人と話すのが好きでバーなどでアルバイトしたこともありましたし、こんな道のりの医師、なかなか珍しいと思います(笑)。ただ、そのような経験もあってか医師っぽくなくて話しやすいと感じていただけると思いますね。

卒業後は大学院に進まれ、研究にも情熱を注ぐ日々だったとお聞きしました。

荒川聡院長 荒川眼科医院2

加齢黄斑変性の遺伝子についての研究チームが発足するから、横浜にある理化学研究所へ行かないかという話を大学の教授からいただきまして。これも本当にご縁というか、そもそも遺伝子に興味があったわけでもなく、ましてや知識もない自分に、ノーベル賞をめざして日々研究に励んでいるようなところで研鑽を積める機会を与えてくださるなんて思いもしませんでした。ゼロからのスタートでしたが、論文を書くまでになり、それが評価されて。研究がとにかく楽しかったんですよね。このまま研究者の道を歩むのもいいかなと思うくらい、知識が増えていったり研究の成果を認めてもらえたりすることに喜びを感じていました。

白内障の日帰り手術に対応。入院手術も他院で自ら執刀

そんな中、大学病院などを中心とした臨床の現場に戻られたのはなぜですか?

荒川聡院長 荒川眼科医院3

ずっと研究者としてやっていくべきか悩みましたが、手術にも携わりたい気持ちがありましたので、臨床に戻ってきたんです。大学病院など地域の中核となる病院では、臨床数の少ない病気や重篤な疾患などに携われる機会が多いですから、そういった病気を発見する気づきを得られたのは今でも非常に役立っています。当院を継承したのが2020年ですので、まだ4年ほどですが、緊急を要する疾患の方が来院されることもありますので、そこは貢献していきたいです。

患者さんは70代以上の方が多いそうですね。

来院される方は8割くらいが高齢者です。そのため、圧倒的に白内障の症状で来られる方が多いですね。白内障には糖尿病によるものもありますので、まずはその方の体の状態をしっかりと把握することから始めます。そして、白内障だから即手術をというのではなく、生活する上でその方がどのくらい困っているかということを重視します。視力が良くても運転するときに困っていたり、目のかすみがひどくメンタル面にも悪影響を及ぼしていたりということであれば、手術を検討することもあります。同じ症状、同じ年齢であっても、生活パターンは異なりますので、その方が今どういったことにどのくらいお困りなのかをしっかりとすくい上げることに努めています。

こちらでは白内障の日帰り手術も行われていますね。

荒川聡院長 荒川眼科医院4

はい、ご高齢の患者さんが多いので、その分件数も増えています。また、万が一、全身麻酔や入院を伴う手術が必要な場合でも、製鉄記念八幡病院と連携し、手術は私が執刀しますので、安心していただきたいです。退院後も私が術後管理をすることができますので、クリニックではありますが、一貫して診ていける体制が整っているのも同院の特徴だといえるかもしれませんね。

傾聴、共感、わかりやすい言葉で説明する診療スタイル

また、網膜剥離や緑内障などの緊急性の高い疾患にも対応されているとお聞きしました。

荒川聡院長 荒川眼科医院5

大きな病院で行うような手術でも当院で行えると判断したものは、できる限り対応しています。もちろん、状態によっては適した機関につなげますので、そこの判断にもこれまでの経験を生かせていると思います。当院に来てくれる患者さんは、全力で助けたいという気持ちがどうしてもありますよね。私は患者さんに話しやすいと感じていただけるようにあまり白衣も着ません。人と話すのが好きで、そういった何げない会話が病気の発見のためのヒントを得ることにもつながると思っています。他の医院では考えられないかもしれませんが、こんな医師が一人くらいいてもいいんじゃないかなって。医師も患者も人間ですから、何でも相談できるのが本来の姿だと思うんです。

人と人とのふれあいを大事にしていらっしゃるのですね。

まさにそうですね。中には数分話すだけで「安心したから帰る」と言う方もいらっしゃいます(笑)。でも、それって町医者の本来あるべき姿なんじゃないかなと思うんです。だから、眼科領域に限らず何か気になることがあれば相談してほしいですね。自分が直接診ることができなくても、適した医師へつなげることはできますから。困ったときの案内役としてもお役に立てたらなと思っています。私は基本的に人が好きなんですよ。医師としてできることは限られていると思いますが、私を頼って来てくれるわけですから、診療や手術だけでなく、できる限りのことすべてをして差し上げたい。サマータイム制を始めたのも、ご高齢の患者さんが暑くなる前に帰宅できるようにという想いからなんです。ご家族も安心されますしね。

では、最後に読者へのメッセージをお願いします。

荒川聡院長 荒川眼科医院6

私は朝7時くらいにはここへ来て掃除や勉強をしていますので、遠慮なく中に入ってお待ちください。目の病気には緑内障など末期にならないと症状が出ないものも少なくありません。遺伝性のものもありますし、年齢に関係なく定期的な受診を心がけていただきたいなと思います。目が見えづらくなることで転倒や認知症につながることもあります。地域の健康寿命延伸のためにも、皆さんとたくさんお話ししたいですね。院内には私の好きなジャズ音楽も流していて、その日の天気に合わせて選曲しているんですよ。それがきっかけで患者さんと話が弾むことも。私はあえて患者さんのお話を止めません。お酒を飲んで楽しく気持ちよく話している時に途中で遮られたくないですよね。それと同じです(笑)。話を聞いて、共感して、わかりやすい言葉で説明する。これが私の診療スタイル。医院だからと構えずに、楽しく雑談する感覚でいらしてください。

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