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小泉 元彦 院長の独自取材記事

くにやクリニック

(豊島区/大塚駅)

最終更新日:2024/05/07

小泉元彦院長 くにやクリニック main

JR山手線大塚駅から徒歩5分の地にある「くにやクリニック」は、理事長の小泉久仁弥先生が2000年に開院した。2023年には息子の小泉元彦先生が院長に就任し、親子二人三脚で地域住民の健康を支え続けている。2人はともに一般的な内科のほか漢方内科の診療も手がけ、患者の幅広い主訴に対応している。さらに小泉院長は、東京女子医科大学病院や国立循環器病研究センターで脳神経内科の診療にあたってきた経験を生かし、同院でも生活習慣病の治療や動脈硬化の早期発見に尽力している。インタビューでは、それぞれの質問に真摯に応じてくれた小泉院長。取材班も小泉院長にまつわるエピソードの数々に引き込まれたひとときだった。

(取材日2024年4月3日)

不定愁訴へのアプローチが得意な漢方

初めに、クリニックの特徴と来院する患者さんについてお聞きします。

小泉元彦院長 くにやクリニック1

当院には就学前のお子さんから100歳近くのご高齢の方まで幅広い年代の患者さんがお見えになります。男女比は半々ぐらいですが、漢方内科では女性の方が若干多い印象ですね。理事長である父と私で診療にあたっているのですが、2人とも漢方内科と内科を専門にしているため、診療の内容は多岐にわたります。漢方内科では、「原因がわからないけれど体の具合が悪い」といったお悩みを抱えている患者さんの診療も行います。最近は、新型コロナウイルスに感染した後に不調が続く患者さんから「倦怠感が取れない」とか「抜け毛が酷くなった」といったご相談を受けることも多くなりました。そのほか、クリニックにいらっしゃることが難しい方のために訪問診療も行っています。

漢方内科ではお子さんの診療にも対応しているのですね。

そうですね。アトピー性皮膚炎や夜泣きが酷いといったお悩みでお困りの親御さんが、お子さんを連れて来院するケースがあります。私自身も幼少期に、体の調子が悪い時は五苓散(ごれいさん)などの漢方薬を飲んでいました。父が幼い私にも飲める味の漢方を選んでくれていたこともあり、漢方薬を飲むことにさほど抵抗がなかったんですよ。当院でお子さんに漢方薬を処方する際には「この子が嫌がらない味かどうか」というポイントも大切にしています。「良薬は口に苦し」という言葉がありますが、漢方薬は継続することで効果が期待できるという面がありますから、服薬がストレスにならないことが大切です。お子さんがうまく飲めない場合は、お薬を変更することもできますので、お気軽にご相談いただきたいですね。

漢方のメリットはどんなところにあるとお考えですか?

小泉元彦院長 くにやクリニック2

漢方は冷え性や女性の生理に関する不調など「不定愁訴」にアプローチすることが得意です。具体的な例を挙げると、生理前に気分の落ち込みやイライラで困っている方に加味逍遙散(かみしょうようさん)という漢方薬を選択することがあります。もちろん、患者さんの体質によって処方するお薬は異なりますが、漢方は体調不良だけでなくメンタル面の不調にも効果が期待できるものもあります。用途がピンポイントの西洋薬ではカバーしきれない部分を漢方薬で補うことができるので、結果的に「治療の選択肢を増やす」ことにつながります。お薬のバリエーションが広がり、より患者さんに適した治療を選択できるのが利点と言えるのではないでしょうか。

適切なタイミングで適切な医療が受けられるように

クリニックの診療スタイルについて教えてください。

小泉元彦院長 くにやクリニック3

当院では、漢方と西洋医学を組み合わせた診療を行っています。まず、初診の際に、どういった症状があるのかを丁寧にヒアリングしていきます。また、漢方内科の診療を希望するかどうかも前もってお伺いしています。当院には一般的な内科の診療を目的に来院する患者さんもいらっしゃいますから、必ず全員に漢方薬を処方するというわけではないんですよ。漢方内科では舌診・脈診・腹診といった診療を行いながら、患者さんの体質を見極めていきます。必要に応じてエックス線の検査や超音波(エコー)の検査も行いますし、一人ひとりの症状に合わせた診療を行っています。検査の結果を適切に判断し、より専門的な治療が必要な場合は、地域の連携している医療機関への紹介を行います。

先生が注力する脳神経内科についてお聞かせください。

私が脳神経内科で力を入れているのは、動脈硬化の早期発見です。少し難しい言葉ですが、人間の血管を水道管に例えるとわかりやすいかもしれませんね。水道管に水あかが蓄積してしまうと水の流れが悪くなるのと同様に、血管の壁にプラークという脂質の塊が沈着してしまうと、血液がスムーズに流れにくくなってしまいます。この状態を放置してしまうと、脳卒中などの重篤な病気を引き起こすリスクが高くなります。動脈硬化を発見するためには、超音波で首の血管(頸部血管)の検査が必要です。動脈硬化の厄介なところは、深刻な病状になるまで明確な自覚症状が出ないことにあります。職場や地域の健康診断の結果を見て、血圧やコレステロールなどの数値に異常があった場合には、医療機関を受診することをお勧めしています。

診療におけるモットーは何でしょうか?

小泉元彦院長 くにやクリニック4

とにかく「患者さんに良くなってほしい」という一言に尽きますね。幅広い診療を行う中で、患者さんにとって最善の選択ができるように努めています。ヒアリングをする際は、患者さんのつらい症状を把握するだけではなく、時には「普段の生活面でどんなストレスが隠れているのか」といった背景まで考慮する必要も生じてきます。また、「患者さんが適切な医療を適切なタイミングで受けられるようにする」という点も重要視しています。自力での通院が難しくなった患者さんが医療にアクセスできるように当院からも情報提供をするなど、できるだけお手伝いができればと思っています。患者さんが一人で困難を抱え込むのではなく、「みんなで協力してやろう」という姿勢が理想的だといえます。

枠組みにこだわらない診療を心がける

医師を志したきっかけを教えてください。

小泉元彦院長 くにやクリニック5

やはり医師である父の影響は大きいですね。それに、私は高校生時代にボクシングを始めてからケガをすることが多くなり、治療のために医療機関に通院していたことも医師という職業を意識するようになったきっかけの一つです。実際にどの分野を専門にするかを真剣に考えるようになったのは岩手医科大学に入学してからです。母校で脳神経外科の教授の熱意に感激したこともあり、最初は外科の医師をめざしていました。その後、東京女子医科大学病院で勤務していた時に、脳神経内科のエキスパートであった恩師の先生に非常に熱心にご指導いただいたことが私の医師としての道を決定づけました。さまざまな場面で素晴らしい先生方に出会えたことは幸運でしたね。

先生は今でもボクシングを続けていらっしゃるのですか?

はい。ケガをしてしまったことで選手としての期間は短かったのですが、ボクシングとの関わりはかれこれ20年以上になるでしょうか。今でもボクシングジムでコーチをしています。私が医師だからこそ長く携わることができているのかもしれませんね。ボクシングの魅力は、2つの拳で戦うという野性的な部分があり、そこに数々のドラマが生まれるところにあると感じています。実は、コミュニケーション面でボクシングに助けられることもあるんですよ。大学病院に勤務していた時も、私がボクシングに取り組んでいることを周囲の先生方がご存知だったので、気さくに「気をつけて行って来いよ」と送り出してくださっていました。

最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

小泉元彦院長 くにやクリニック6

漢方内科と一般の内科の診療はまったく違うことをやっていると思われがちですが、実は近い距離にあるということをお伝えしたいですね。私たちは、患者さんにとって「より良い診療を提供したい」という思いで日々の診療にあたっています。当院は内科と漢方内科の両方を保険診療で行っていますから、東洋医学・西洋医学という枠組みにこだわることなく、それぞれの患者さんによりマッチした検査や治療をご提案できることが強みだと考えています。血糖値やコレステロールの数値を正常な範囲内に保ちたいなど、目的がある程度はっきりしたものから、「何だか調子が悪い」といったご相談にも応じることができます。体に関する困り事があったら何でも遠慮なくご相談ください。

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