治療で変化した体と心
がんと生きる人へのアピアランスケア

がん治療に伴う外見の悩みをサポート。患者が自分らしさを取り戻すために形成外科の技術を生かす

Qアピアランスケアとは、どのようなケアなのですか？

A

▲表参道駅より徒歩7分のところにあるクリニック

近年、厚生労働省が注力し始めたがん支援の一つで、がん治療に伴う外見の変化に起因する悩みに対してサポートしていくアプローチです。治療で外見が変化したからといって、必ずアピアランスケアを行わなければならないわけではありません。治療を頑張っている証としてそのままでいいという気持ちを大切にされる方もいらっしゃいます。でも一方で、例えば抗がん剤によって髪の毛が抜けたり、爪が脆くなったりすると、見た目が気になり、「人に会いたくない」「外に出たくない」など、気持ちが下がってしまう方もいらっしゃいます。アピアランスケアは、がんとともに人生を送る上で、自分らしくあり続けるためのサポート全般のことを指します。

Qどのような悩みをお持ちの方が、このケアを希望されるのですか？

A

▲がんと向き合う人に寄り添いながら、さまざまな治療の提案を行う

がんを機に、通っていたクリニックやサロンに行きづらくなってしまった方、年齢的にも美容医療にチャレンジしたいと思った矢先にがんを患いタイミングを逃してしまった、というような方が多く見受けられますね。がん治療中または直後の皮膚や爪、頭髪の症状は主治医のいる医療機関で治療されることが多いのですが、がんの治療が終わると、発毛しない、爪がもろくなりネイルができない、肌がくすんだままといった相談ができる場所が極端に少なくなります。それらの悩みに対し、巷のクリニックやエステで病気のことを伝えるのは勇気がいりますよね。そうした心理的負担を抱えることなく、気軽に相談できる環境を提供したいと思っています。

Q具体的にはどのような治療やケアをなさっているでしょうか？

A

▲形成外科を専門とする医師ならではの視点から治療を進める

驚かれるかと思いますが、まず多いのは医療脱毛ですね。がん治療を理由に脱毛サロンに断られるケースも多く、年齢的にもやっておきたい方に喜んでいただけると思います。医療脱毛レーザーは、これまでのがん治療歴を考慮しつつ、知識と経験を持った医師がレーザー出力を調節しながら行えば、デリケートになったお肌の方でも脱毛をすることはできるんですよ。その他、年齢相応のしみ、しわ等、がんの治療中はいったん保留にしておいた美容医療も積極的に行っています。私はがんの症状や薬剤・治療法についても深く勉強を重ねてきましたし、形成外科で培ってきた美容分野の知識もありますのでご安心ください。

Q治療を進める上で、どのようなことに気をつけていますか？

A

▲患者の思いを丁寧に聞き取り、寄り添う

まずはご病気の状態、治療歴、使用している薬剤名などをしっかりと把握することです。治療中の初診の方は主治医からこれまでの治療内容について簡単な紹介状をご持参いただけると助かります。紹介状のご用意が難しい場合は、ご本人に治療について詳しくお聞きし、細心の注意を払って治療を進めるとともに、その都度変わっていくであろう心理的な状態をくみ取って診療をするよう心がけています。とはいえ、「きれいになりたい」という前向きな気持ちをお持ちだと思いますので、やってみたいと希望されることはできるだけ実現できるようにしております。気持ちがふさいでしまったときこそ、当院に足を運んでいただけるような場でありたいです。

Qアピアランスケアを行っている医院は少ないのでしょうか？

A

▲気になることがあればなんでも相談してほしいという

厚生労働省が掲げ始めたばかりの支援ですので、対応している医院はまだ少ないです。私は以前勤務していた乳房再建専門のブレストサージャリークリニックで美容部門も担当し、乳がん患者さまの美容医療のニーズの高さを実感していたので、開業に伴い当院の主軸の一つにしたいと決意しました。おかげさまで、インターネットで見つけてくださりお越しになる方も多いです。また、がん患者さまのご家族やご友人がアピアランスケアを知って、ご本人をお連れになることもあります。患者さまが自分らしくいることはご本人だけの問題ではなく、周りの皆さまにとっても大事な関心事です。悩んでいる方、必要としている方に情報を届けていきたいです。