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早期発見が難しい膵臓がんを
内視鏡検査で見つけることをめざす

みずもと内視鏡・消化器内科クリニック

(京都市伏見区/藤森駅)

最終更新日:2023/09/08

みずもと内視鏡・消化器内科クリニック 早期発見が難しい膵臓がんを 内視鏡検査で見つけることをめざす みずもと内視鏡・消化器内科クリニック 早期発見が難しい膵臓がんを 内視鏡検査で見つけることをめざす
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膵臓がんは、かなり厄介な病気と言っていいだろう。厚生労働省の発表によると、各部位のがんの中で膵臓がんにかかる人の数は、2019年男性が6位、女性も6位、命を落とす人の数は男性4位、女性で3位となっている。しかも、「かかる人の数は増加傾向にある」と、「みずもと内視鏡消化器内科クリニック」の水本吉則院長。ほかのがんは生命に危機が及ぶ割合が下降傾向にある中、再発、転移しやすい膵臓がんは依然として高いままで推移しており、できるだけ早期に発見することが重要と力説する。先進的な超音波内視鏡を活用して、膵臓がんの早期発見に力を注ぐ水本院長に、病気の特徴やリスクを避けるために心がけたいポイントなどを解説してもらった。

(取材日2023年6月22日)

検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!

Q膵臓の役割と膵臓がんの症状について教えてください。
A

膵臓は胃の後ろの最も背中側にある長さ20cmほどの臓器で、銃身が長い拳銃のような形をしています。膵液を分泌する外分泌機能と、インスリンというホルモンを分泌する内分泌機能の2つの働きがあり、膵液は膵臓の真ん中の管を通って十二指腸に流れて、食物の消化に役立ちます。一方、インスリンは食事などにより上昇した血糖値を正常に戻す働きがあります。膵臓の右側のふくらんだ部分にがんが発生すると、肝臓から胆汁を運ぶ胆管が詰まって黄疸が出ることがありますが、かなり進行して膵臓の外にまでがん細胞が及ぶまで、自覚症状はほとんどありません。腰痛や背中の痛み、体重の減少などが現れるのも、病気がかなり進行してからです。

Q特に注意が必要なのはどのような方ですか?
A

糖尿病の方、ご両親・きょうだいに膵臓がんの方がおられる方は、発症しやすい傾向があります。近親者に1人でも膵臓がんの患者さんがおられると、リスクは通常の4倍、2人おられる場合は十数倍にもなります。一方、飲酒が引き金になって発症することが多い慢性膵炎は、膵臓がんの危険因子(リスクファクター)です。また、もともと糖尿病があり、急に血糖値のコントロールが難しくなった場合は、膵臓がんが発生している可能性があります。膵臓に水が溜まる水嚢胞(すいのうほう)も、IPMNと呼ばれる粘液を出す腫瘍が関係している確率が高いですね。こうした場合は、ためらうことなく、できるだけ早く精密検査を受けてください。

Q膵臓がんの検査はどのような方法がありますか?
A

血液の腫瘍マーカー、腹部エコー(超音波)、CT、MRI、超音波内視鏡の5種類の検査方法があります。腹部エコーは手軽ですが、膵臓の両端が確認しづらく初期のがんを見つけるのはかなり困難です。CTは造影剤を使う特殊な方法で撮影する必要があり、MRIは膵臓の管を診るのに適しているものの、膵管に異常が見られない膵臓がんもあります。超音波内視鏡は胃と十二指腸から超音波を当てられるので、膵臓の様子を確認しやすく、初期がんの発見に役立ちます。ただし、検査を行う医師に経験と技術が求められます。どの検査も一長一短なので、血液検査や腹部エコーで少しでも異常が見られたら、超音波内視鏡で詳しく検査することが大切です。

検診・治療START!ステップで紹介します

12種類の問診表に記入
みずもと内視鏡・消化器内科クリニック 2種類の問診表に記入

現在の健康状態を確認するために、まずは通常の問診票に記入する。その上で超音波内視鏡での検査を希望する場合は、タブレットを使った問診が行われる。これまでかかった病気、膵臓がんのリスクファクターの有無、身長、体重、飲酒などの生活習慣など、質問の項目は多いが、記入にはそれほど時間はかからない。なお、検査の前日は21時までに夕食を済まし、その後は検査終了まで絶食。水、茶は自由に飲める。

2点滴による鎮静剤投与
みずもと内視鏡・消化器内科クリニック 点滴による鎮静剤投与

一般的な内視鏡に比べて、超音波内視鏡は管の直径が太く、先端の曲がる部分が長いのが特徴だ。さらに、検査時間も通常の内視鏡検査よりも長めなので、麻酔なしで検査を受けるとかなりの苦痛を伴ってしまう。このため、同院では検査の際には必ず鎮静剤が投与され、さらに内視鏡の管が通りやすいように喉の麻酔も行われる。また、内視鏡の視界の邪魔になる胃の中の泡を取り除くため、液体の消泡剤も服用する。

3内視鏡検査を受ける
みずもと内視鏡・消化器内科クリニック 内視鏡検査を受ける

検査そのものにかかる時間は20分程度。また、従来の超音波内視鏡は膵臓の様子を確認する機能しか備えていなかったが、同院では胃や十二指腸から膵臓に針を刺して組織の採取などが可能なコンベックス型の超音波内視鏡を導入している。病変が疑われる部分が見つかった場合は、その場で組織を採取して、採取した組織を顕微鏡で確認する生検を行うことができる。

4リカバリー室で休憩
みずもと内視鏡・消化器内科クリニック リカバリー室で休憩

検査終了後は、クリニック内のリカバリー室で20分程度の休憩を取る。休憩後、ふらつきなど鎮静剤の影響が残っていないことが確認できれば、帰宅が可能となる。ただし、当日は、自動車やバイク、自転車の運転はできない。また、付き添いは必須ではないが、帰り道に不安があるという場合は、付き添いを同伴するほうが安心だ。組織を採取した場合は食事制限を伴うが、通常の検査の場合は当日から食事制限はない。

5結果説明を受ける
みずもと内視鏡・消化器内科クリニック 結果説明を受ける

通常の検査のみの場合、その日に医師から結果説明を受けられる。一方、組織を採取した場合は検査に時間が必要なので、後日、対面またはオンラインで結果説明を受ける。同院では、採取した組織の画像などのデータを、クラウドを使って信頼できる病理学医師と共有しており、院長に加えて豊富な知見を持つ病理学の視点からも精密な診断が行われる。検査の結果、さらに詳しい検査や治療が必要な場合は、適した医療機関へ紹介される。

ドクターからのメッセージ

水本 吉則院長

膵臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、異常があってもなかなか症状が現れません。病気が見つかったときには進行している確率が高く、より早い発見が求められます。症状が出始めてからでは遅いのです。膵臓がんの危険因子を持っているなど、少しでもリスクがある方は、まったく症状がなくても定期的な検査をお勧めします。広島県では、採血や腹部エコーで異常が見られた人に、超音波内視鏡による検査を行うプロジェクトが推進され、膵臓がんの発見率、手術が可能な割合、予後の改善率向上のために力を入れています。私もこの地で、クリニックの受診しやすさと超音波内視鏡検査の経験・技術を生かして、膵臓がんの早期発見に貢献したいと考えています。

水本 吉則院長 みずもと内視鏡・消化器内科クリニック
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