心身の不調を感じたら医療機関へ
うつ病は早期の適切な対処が肝心
品川メンタルクリニック 品川本院
(港区/品川駅)
最終更新日:2024/04/17
- 保険診療
せわしない現代社会で生きる私たち。家庭や職場、学校などのさまざまな場所で、いろいろな形でストレスのかかる場面が訪れる。ストレスが良い刺激となることもある一方、過剰なストレスが心身の不調の引き金となってしまう場合も。気分の落ち込みが続いたり、夜なかなか寝つけなかったりといった異変に悩んでいる人も少なくないのではないだろうか。「心身の不調をそのままにしておくと、さらに体調が悪化し、うつ病になってしまう可能性があります」と話すのは、「品川メンタルクリニック 品川本院」の渡邊真也院長。専門家としてうつ病に深く向き合い続けてきた経験から、適切な治療を早期に開始する重要性を説く。取材では、渡邊院長にうつ病の目安となる症状や予防方法、対処方法などについて詳しく聞いた。
(取材日2023年5月29日)
目次
うつ病かなと思ったら、自分でできる対策とは? 診察に行くべきタイミングは?
- Qうつ病とはどんな病気か、また目安となる症状を教えてください。
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A
うつ病とは、一言で言えば興味や関心、意欲がなくなってくる病気です。初期段階では自覚しにくい傾向にありますが、睡眠に支障が出たり、食欲に異常が現れたりするなどの症状が現れることが多いです。具体的には、睡眠の面ではなかなか寝られなかったり、途中で目が覚めたり、早朝に覚醒してその後眠れなかったり、逆に寝すぎたりすることがあります。一方食欲の面では、食欲が低下したり、過剰に食べたりすることがあるでしょう。ストレスがかかったときは、一時的に誰でもこのような状態になることがあります。けれど2週間以上続くようならうつ病の可能性も考えられるでしょう。
- Qうつ病が進行するとどのような状態になるのでしょうか?
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A
うつ病が進行してくると、自分でも「なんだかいつもと違うな」と思うことが多くなります。 判断や記憶がしにくくなったり、集中が続きにくくなったりするでしょう。また、不安や緊張を感じることが増え、同じことをぐるぐる考えるといった状態になることも。頭や肩が重く感じられたり、頭に霧がかかったようになったりということもあるでしょう。さらに症状が進行すると、消えたいと思うようになったり、自分を傷つけたりしてしまうこともあります。当院では、うつ病の判断基準の一つとしてチェックリストを活用しています。
- Qチェックリストについて、詳しくお聞かせいただけますか?
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A
当院の使用しているチェックリストには、次のような10項目があります。 「寝られないまたは寝すぎる」、「食欲に変化がある」、「興味や関心が減った」、「疲労が取れない」、「意欲が低下した」、「判断しにくい、記憶しにくい、集中しにくいの少なくともいずれか一つの症状がある 」、「不安になりやすい、緊張しやすいの少なくともどちらかの症状がある」、「同じことをぐるぐる考えてしまう」、「イライラしやすい」、「消えたい、または死にたい」。これらのうち○が5つ以上つけば、うつ病の可能性が高いと判断します。読者の皆さんの中でも、該当する方は医療機関への受診を検討されることをお勧めします。
- Qうつ病を予防する方法はありますか?
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A
一般的に、急激なストレスあるいは蓄積したストレスからうつ病を発症することが多いです。ですので、日頃からストレスを発散させるよう意識することがうつ病の予防につながるでしょう。例えば美しい景色を見たり、心地良い音楽を聞いてみたりしてはいかがでしょうか。散歩など軽度の運動もストレスの発散になりますよ。短時間でもいいので気分転換を行うことが大切です。また、食生活の安定と適切な睡眠がうつ病の予防に重要です。忙しいときでも、なるべく食事や睡眠を取る時間が不規則にならないようにしましょう。また、一人で悩むこともあると思いますが、時には誰かに相談してみることも有用かもしれません。
- Qうつ病になってしまったら、どうすればいいですか?
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A
うつ病になると、生きている価値が感じにくくなることもあるでしょう。病状が良くなればその気持ちも落ち着いていくので、「絶対に治したい」という気持ちを大切にしていただきたいですね。その上で重要なのは、十分に休養や睡眠を取ること。うつ病の患者さんは、夜なかなか眠れず、朝は起床困難になりやすいことから、昼夜逆転状態に陥るケースが多いです。睡眠リズムを元に戻すために、15分早く起床して15分早く寝るというように、15分単位で睡眠時間を調節していくことをお勧めします。光に敏感でなければ、起床直後に適度な光を浴びるのも良いですね。食事面では、毎日規則正しい時間に、バランス良く食べることを心がけましょう。