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梅本 真三夫 院長の独自取材記事

うめもとクリニック

(枚方市/長尾駅)

最終更新日:2022/12/14

梅本真三夫院長 うめもとクリニック main

枚方市の京阪バス杉山手バス停すぐのところにある「うめもとクリニック」。2002年の開業以来この地で多くの患者の健康を支えてきた。アットホームな雰囲気でどこか懐かしさを感じる院内は、多くの患者がリラックスして談笑する姿が目に浮かぶ。内科、呼吸器内科、循環器内科を標榜する同院は、子どもから高齢者まで3代で通えるクリニック。院長の梅本真三夫先生は「幅広い症状の患者さんに対応し、地域のゲートキーパーに徹しています」と誠実なまなざしで話す。優しい語り口で一つ一つの質問に言葉を選びながら丁寧に答えてくれた梅本院長。普段の診療でもじっくりと患者に向き合っていることがうかがえる。地域に根差して20年、新型コロナウイルス感染症の流行を経たクリニックの変化や、長年の診療に懸ける想いやこだわりを語ってもらった。

(取材日2020年2月27日/再取材日2022年8月18日)

ゲートキーパーとして地域の健康を支えることが使命

新型コロナウイルス感染症の流行を経た、先生の想いをお聞かせください。

梅本真三夫院長 うめもとクリニック1

新型コロナウイルスの感染拡大が起こった当初は、手探りで情報を集め、感染対策を講じて体制を整えていきましたが、通常診療を行いながらクリニックにできることは限られ、PCR検査を含めた診察やワクチン接種を可能な範囲で行ってきました。普段通院されている患者さんのすべての求めに応じた対応はできず、心苦しく感じることはたくさんありました。これまで読んだ多くの書物や映画などに描かれたパンデミックとリアルは異なり、先の新型インフルエンザ流行時とも次元が違う世界が、2年半もの間継続しており、日々迷いながら進んでいる状態です。新型コロナウイルス流行下での私自身を例えて言うなら、駆逐艦の艦橋(かんきょう)から顔を出して降り注ぐ爆弾や飛び交う銃弾を監視し、指示を出し続けて操船する艦長のイメージでしょうか。右往左往しながらもようやく一定の形になり、落ち着いて対処できるようになってきました。

現在のクリニックの体制を教えてください。

診療時間はできるだけ多く取るようにしており、なるべくたくさんの患者さんが来院できるよう朝の8時から診療しています。新型コロナウイルス感染が疑われる患者さんに対しては、電話で聞き取りをした上で、当クリニックで診察するか、他の病院へ紹介するかを判断しています。というのも私の仕事は、地域の一次窓口の役割を果たすゲートキーパーと考えているからです。まずはどんな症状の患者さんも受け入れを考える。一方で、私は自分のクリニックで完結することにはこだわりません。自分の専門外の場合は専門の医療機関に速やかに紹介、フィードバックし、適切な医療が受けられるようゲートキーパーに徹します。さまざまな近隣の医療機関と常に連携を取りながら、迅速に適切な場所へ患者さんを導くことこそ開業医の重要な役割だと思っています。

診療時に気をつけていることを教えてください。

梅本真三夫院長 うめもとクリニック2

中学生くらいからご高齢の方まで、地域のすべての患者さんにとって、健康に関するお困り事があれば気軽に相談できる窓口であることを大切にしています。診療の基本である聴診と問診を丁寧に行い、待合室で待たれている患者さんの咳の音一つでも常に気にかけるようにしています。「コロナか否か」にとらわれすぎて、診療が画一化し、大事なものを見落としている可能性や、不安が先に立ち診療が浅くなっている可能性があると考えています。いかに通常医療の質を維持していくかが課題です。これからも安心して通っていただけるように、アットホームで気軽に相談しやすい雰囲気は大切にしながらも、診療は初心を忘れずに誠実に行っていきたいです。

スタッフはクリニックの宝、ともに考え成長し続ける

クリニックの患者層や主訴を教えてください。

梅本真三夫院長 うめもとクリニック3

当クリニックへ来院される方は車をはじめ、自転車、徒歩といろんな手段で来られます。ここは目の前にバス停もありますし、第二京阪道路からもすぐですので、幅広い方がアクセスしやすいのも特徴です。また患者層については、この辺のエリアは古くからの住宅も多く、開院当初は中高年の方が多かったのですが、最近は世代交代や住宅開発の影響もあり、子育て世代など若い方も増えました。現在は中学生くらいからご高齢の方まで、幅広い世代の方が来院してくださっています。内科や呼吸器内科などを掲げていますので、満遍なくさまざまな症状の方が来られます。風邪や咳はもちろんですが、気分が落ち込むなど精神的な症状や、水虫などの皮膚の症状まで何でも相談に来られますね。また、小児科は標榜していませんが、来院してくだされば可能な範囲で診察を行っています。

スタッフはどのような方々がいらっしゃいますか?

医師である私と、看護師3人と事務スタッフ7人です。10年以上同じメンバーでやってきたため、とにかくみんなとても仲が良くて、明るく元気な自慢のスタッフです。地元出身のスタッフもいますので、患者さんと地域コミュニティーでつながっている人もおり、アットホームな雰囲気で接してくれています。感染対策を講じる際も、スタッフが一丸となり主体的に取り組んでくれました。その姿は頼もしい限りでしたね。新型コロナウイルスの流行が始まってからは、患者さんがいたわりの言葉をかけてくれることもり、皆さまの想いも励みになっています。スタッフはクリニックの宝であり、スタッフのおかげでここまでやってこられたと思っています。

診察におけるこだわりはありますか?

梅本真三夫院長 うめもとクリニック4

1つは紙カルテです。使い続ける理由は、学生の時からずっと紙カルテに慣れているため使い勝手の面もありますが、書くことで自分の考えをまとめることができるからです。診療しながら患者さんの顔を見ずに画面ばかり見るというのも嫌ですし、患者さんとのコミュニケーションの中で気づいたことを、しっかりまとめて書くほうが自分には合っていると思うんですよね。2つ目はエックス線フィルムです。パソコンの画像で見るのではなく、自分の目で透かしてみたり、斜めから見たり、さまざまな角度から読み取ります。昔は1枚のフィルムをいろんな人でどう読むかを議論したりしたものです。使い慣れたものを使うことで適切な診断につながると思っています。その一方で、パソコンでの事務作業、オンラインでの予約受付などは取り入れて、「ええとこ取り」の柔軟なハイブリッド型のクリニックをめざしています。

この地で患者に寄り添いながら、医師人生を全うしたい

先生が医師をめざした原点はどこにありますか?

梅本真三夫院長 うめもとクリニック5

自分も含め同世代の医師に大きな影響を与えたのは、何といってもとある国民的な医療漫画ですね。ストーリーと、その中にちりばめられた闇医者や博士の言葉は、どんな教科書より心に残っています。ほかは、小説が原作の時代劇ドラマや、現代医療ドラマ、青年医師を題材にしたアメリカのテレビドラマにも影響を受けています。

ところで先生は、ご自身が書いた本を出版されたそうですね。

はい、『Passengers』という本を書きました。医師人生の中で感じた想いを少しずつ書き留めていて、いつかまとめて一冊の本にしたいと考えていたのですが、新型コロナウイルスの流行がきっかけとなりました。これまでさまざまな患者さんの人生に伴走し、向き合い、そして看取ってきました。自分という医療人の中に、生き続けている人々の想いをつづっています。

印象に残っている患者さんとのエピソードはありますか?

20代の頃、出向先の九州の病院で担当していた患者さんが、43歳で末期の胃がんの方で。出向をまもなく終えて大阪に帰るという時、私が大阪に戻ることを伝えると「どどーんと立派な医者になれよ!」と声をかけてくれたんです。そして、2日後には亡くなられました。その言葉が私の原点ですね。日々の診療でも反省はしきりにありますが、これまでに診療してきた患者さん、看取った患者さんが心の中で自分を支え、診療を助けてくれていると思っています。あれから40年。あの患者さんに、「今、私は医師としてどうですか?」と聞いてみたいですね。

今後の展望をお聞かせください。

梅本真三夫院長 うめもとクリニック6

皆さんにご迷惑をかけない間は、長く医療に携わっていきたいですね。今後、体力や気力に応じてダウンサイジングを図りながらも、質の維持・向上に努めたいです。時流や風潮に流されず、しなやかに穏やかに「一隅(いちぐう)を照らす」スタンスで臨みたいと思います。自分自身も健康で、地域に根差し、患者さんの健康を支え続けていくことができればうれしいです。

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