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田澤 彩子 院長の独自取材記事

大橋眼科医院

(津島市/津島駅)

最終更新日:2024/01/10

田澤彩子院長 大橋眼科医院 main

「藤まつり」で有名な天王川公園にも近い、県道68号線沿いに「大橋眼科医院」はある。どこか懐かしい雰囲気の建物で、受付カウンターや診療室への入り口は丸みを帯びた優しいデザイン。田澤彩子院長は2012年より父の後を継いで3代目院長となり、母の大橋和紀子副院長とともに診療にあたる。「人の一生にとって、情報の源となる目の働きはとても大切です。患者さんに目の不安なく人生を過ごしていただけるように相談に乗る、かかりつけ医のような存在でありたい」と話す田澤院長。気さくな人柄がなんでも話せそうな親しみやすさを醸し出している。普段の心がけや、眼科の医師である両親、地域、患者に寄せる思いなど、たっぷり語ってもらった。

(取材日2019年9月13日)

地域に長年根づいて診療してきた医院の志を引き継ぐ

この地域や医院の歴史について教えてください。

田澤彩子院長 大橋眼科医院1

当院は、私の祖父、大橋國富が津島市民病院の初代院長を辞職し、昭和の半ば、1951年に開業しました。当時は2階建てでしたが、1979年に父、大橋武昭が院長となり増築しました。今は3階建てで1階は外来、2階は病室と手術室、3階は図書室と会議室があります。父は祖父から、600年以上続く津島の祭り、尾張津島天王祭の「車屋」という役も引き継ぎました。祭りは毎年7月の土日に催されるもので、宵祭(よいまつり)には5艘の巻藁船(まきわらぶね)が出て、それぞれに400個もの提灯を灯して厳かに川を渡っていきます。その巻藁船を所有していた家を「車屋」というのです。また、祭りの時のお稚児さんの行列は、この地区では当院の前から出発するので、駐車場ではその準備を行います。ですから、祭りの前の金曜午後は当院も休診です(笑)。

先生はお父さまの後を継ごうと、医師をめざされたのですか?

そうですね。母も眼科の医師で、そんな両親の影響が大きかったと思います。何しろ両親の会話が眼科関連が多くて、リビングでは父が手術のビデオを見たりしているという環境で育ちましたから(笑)。大学卒業後、父の知人の紹介で福岡大学の眼科へ入局、眼底疾患を専門に研鑽を積み、緊急の手術や未熟児網膜症の治療にも携わりました。その後、名古屋にある眼科クリニックのアイケア名古屋へ。結婚して子どもが生まれてからは名古屋と当院に週1回ずつ勤務していましたが、2012年、父が突然亡くなりました。ここは閉院しようかとも考えたのですが、父と一緒に働いていた先生が外来を続けてくださり、その間に母も私も体制を整え、家族の協力も得て、1ヵ月後に私が院長に就任しました。

継承されてからも大切にしていることはありますか?

田澤彩子院長 大橋眼科医院2

患者さんに寄り添った、地域に根差す医療を提供することを大切にしています。私が継承する以前からその考えは大切にしているおかげか、祖父の代から家族3代で通っていただいている方もいらっしゃいます。また、医療機器の一新や、現役で専門的な勉強されている先生に週に1回外来に来ていただいたりと積極的に新しいものを取り入れる姿勢も忘れないようにしています。新しいお薬を取り扱う際は現在通われている患者さんの顔を思い浮かべながら実際に使っていただけそうなものを採用しています。日常で感じる些細な症状の治療から専門的な手術まで当院で完結する利便性も特徴の一つです。お薬も院内・院外処方どちらも対応しており、体質に合うか不安な方でもその場でお試しいただけます。お子さまが受診される際にはお手本として目薬を差したりもしています。親御さんの負担を少しでも軽減できたらうれしいですね。

その人に合った話の内容や声の大きさ、言葉を考える

どのような患者さんが来られていますか?

田澤彩子院長 大橋眼科医院3

ご高齢の方が多く、白内障や緑内障、また糖尿病の方が糖尿病網膜症の診察のために内科から紹介されて来られます。名古屋勤務の頃は若い方が中心でしたので当初は戸惑うこともありましたが、父の代からずっと通ってくださっている方も多くてありがたく思っています。「閉院しなくて良かった」とたくさんの方に言っていただきました。お子さんや若い方では、健診で視力の低下を指摘された方、逆さまつげ、アレルギー性結膜炎になった方などさまざまです。あとはここ数年、花粉症の症状で苦しんでおられる患者さんが、小さいお子さんから青年期を越えても軽症化しないでひどくなる大人の方まで増えてきたという印象です。

日々心がけておられることについて教えてください。

当院は地元の方がほとんどですので、患者さんとお話しすることを重視した診察スタイルです。目のことで心配や不安のないように丁寧に、納得していただける説明をすることを心がけています。ご高齢で耳が遠い方にはかなり大きな声を出しますので、私の声だと聞こえると言われることもあるんですよ(笑)。また、シンプルに話すことも大事にしています。お年寄りの方に、症状や治療法、経過、期待される薬の効果、副作用など多くのことをお話しすると、結局すべてを理解していただけないこともあるんです。そのためはっきりと短く要点をお伝えし、今日はこれ、次回はあれについて、というかたちで順番にお伝えしていくこともありますね。そうして少しずつ病気についての理解を深めていただけるようにしています。もちろん、最初から全部を詳しく知りたいという方には、そのように対応して話させていただいています。

ほかにも気をつけていることはありますか?

田澤彩子院長 大橋眼科医院4

治療や薬を継続する重要性をお話しています。例えば、緑内障は、手術が必要なときは病院に紹介しますが、早期に発見すれば薬の治療で済む方も多いんです。薬を使っている間は安定が見込めても、やめると悪い状態になってしまうことがあります。病気が進行しているのに薬をやめてしまう方には特にしっかりと説明します。一方で、失明する可能性もあります、と、あまり強調すると、不安が増す方もいらっしゃいますので、そんな場合には「薬を使って普通の暮らしを楽しんでいきましょうね」と前向きにお話することもあります。患者さんそれぞれの様子や個性、お気持ちも考えて言葉を選ぶように気をつけています。

患者の日常に寄り添い、かかりつけ医のように

コンタクトレンズの取り扱いもされているのですね。

田澤彩子院長 大橋眼科医院5

はい。ソフトの使い捨てレンズがメインです。今はインターネットで安く手に入りますが、コンタクトレンズは医療品です。医師の診察を受けて目の傷や炎症の有無を確認してから購入することと定期検診が大切です。医師は、「コンタクトレンズを長時間つけたい」「目のトラブルが心配」など、それぞれのご希望や心配に合わせてアドバイスをすることができます。当院では3ヵ月ごとの定期検診をお勧めしていますが、そうすれば自覚症状のない炎症も早期に発見できますね。コンタクトレンズを考えている方には、もっと気軽に眼科医院に来ていただければいいなと思っています。

先代のお父さま、今一緒に診療されているお母さま、お二人からどんな影響を受けましたか?

父は大らかで、「任せておけ」というタイプで、先端の医療を推進していく気概にあふれていました。私が眼科医師になってからも多くの助言をもらいました。母はエネルギッシュで、いくつになっても新しいことに挑戦する人。患者さんにはとても真摯に向き合っています。私も生涯、そんなふうになれればいいと思っています。2人ともとても勉強熱心ですし、私が両親に教わったことは大きいですね。

クリニックの今後の展望についてお聞かせください。

田澤彩子院長 大橋眼科医院6

当院は患者さんが目の病気の時や、目の疲れと機能不全が生じて、お困りの時にはすぐに安心して受診していただけるような、かかりつけ医のような存在でいたいと思います。大学病院勤務時代に内科の先生と協力して診療をしていた経験もありますので、体についてもアドバイスすることもできます。当院のスタッフは熱意を持って患者さんのために頑張ってくれる人ばかり。ベテランも多いです。地域にある病院として、患者さんの眼を守っていきたい。高齢社会では、目の病気の予防とケアも大切です。高齢になり、緑内障などで、気づかないうちに視野が狭くなることもあります。眼科医療の本質を見つめて、基本的な部分をしっかりと支えていきたいですね。できるだけ、目の不安なく人生を過ごしていただけるように治療とアドバイスをさせていただきます。そして、患者さんの日常に寄り添い見守らせていただきたいと思っています。

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