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金古 康 院長の独自取材記事

金古医院

(前橋市/城東駅)

最終更新日:2022/11/15

金古康院長 金古医院 main

住宅街の中にある和風モダンな瓦屋根の建物。それが「金古医院」だ。2020年に建て替えられたためまだすべてが新しく、清潔感がある。金古康院長の父が開業し、2020年に金古院長が後を継いだ。診療では肛門疾患の保存的治療をメインとしているが、必要に応じて日帰り手術にも対応。肛門疾患というデリケートな分野だからこそ、金古院長は患者の視線に立つことを大事にしている。「困ったことがあればなんでも言ってください」と繰り返し伝えることで患者が話しやすい環境をつくり、対面で症状を話すことに躊躇する患者のため事前問診も取り入れた。「肛門科は外科のような花形の科目ではありませんが、困っている患者さんは多いんです」と穏やかに話す金古院長。インタビューではこれまでの経歴や同院の診療内容について詳しく聞いた。

(取材日2022年9月27日)

父の背中を見て外科の医師を志す

まずは、医師になったきっかけを教えてください。

金古康院長 金古医院1

父の影響が大きいですね。当院を開業したのは父ですし、幼少期から医療は身近な存在でした。ただ、あまりに身近過ぎたのか、小学生の頃などは医師になりたいと考えることはなかったです。医師どころか、将来何になりたいという具体的なイメージが湧きませんでした。しかし中学・高校生になって将来を考えるようになった時、医師という職業は自然と選択肢にありましたね。無事医師になれて良かったです。

もともとは外科を専門とされていたそうですね。

私がまだ小さい頃、当院は一般外科を主に取り扱っていました。外科が身近な存在でしたので、私も外科の道に進みました。当院が肛門内科、肛門外科の診療をメインに打ち出すようになったのは十数年前です。そして、父の後を私が継ぐことになったので、そのまま診療方針も引き継ぎました。肛門疾患の診療は医師も患者も敬遠しがちなんですが、実は困っている患者さんが多い分野でもあります。一生付き合っていく部位ですし、排便は毎日のルーティンですからね。今となっては肛門科を任せてもらえて良かったと思っています。

ここで受けられる診療の特徴を教えてください。

金古康院長 金古医院2

肛門疾患に関しては、重度のものや入院を必要とするものでなければ当院でできる限り対応しています。診療方針として、メインに据えているのは保存的治療です。可能な限り患部を切らない治療ですね。必要に応じて手術も行いますが日帰りでできるものを行っています。私は週に1度、他院でも診療を行っていますので、入院が必要な患者さんにはその病院を紹介することも可能です。私がいることで紹介先の医師と連携や情報共有もしやすいですし、何より私という見知った顔を見て安心する患者さんも多いですから。肛門科領域以外だと、消化器内科の分野で内視鏡検査も実施しています。内視鏡検査というとこれまた敬遠されがちなイメージの検査ですね。実際、いくら経験を積んだ医師でも、内視鏡検査は患者さんが苦痛を感じることも多いです。なので、あまり苦痛を感じないように当院では鎮静剤を使用し、ほぼ眠った状態で検査を行っています。

患者の視線に立った診療を提供するために

痔になると手術が必要なイメージですが、実際はどうなんでしょうか。

金古康院長 金古医院3

慢性化しているような痔については手術が必要にもなってきますが、人によっては手術をせず、経過観察の判断をすることも少なくありません。それは当院が保存的治療をメインにしているから、というわけではないです。実は痔の手術というのは、医師の判断よりも患者さんから希望が出ることが多いんです。今の状態にかなり苦痛を感じている患者さんが手術を自ら希望されますね。排便の度に大量の出血があるとか、痔がずっと戻らない、仕事中に痔が出てくるといった感じで、生活に支障を来している患者さんは手術を選択されます。

患者さんと接する上で気をつけていることはありますか?

肛門の悩みは、特に他者には打ち明けにくいものだと思います。それは相手が医師であっても、です。中には病院の前まで来たけれど恥ずかしくて帰ってしまい、3度目でようやく病院の中に入ることができたという患者さんもいらっしゃいました。ですから、なるべく患者さんと同じ目線で話すようにしています。「困り事や心配事があったらいつでも言ってください」「関係ないかもしれないことでも、なんでも話してくださいね」「ここで話せなかったら電話でも」そういった声かけを何度も行います。それでようやく話してくださることもありますから。それから対面だと話しにくい可能性も考え、当院では事前問診を取り入れています。スマホでできる問診です。これだと患者さんはゆっくり考えて答えることもできますし、医師はそれを見てある程度の困り事が推察できます。事前問診を取り入れてから、以前より多くの患者さんが来院されています。

日々の診療では、どのようなところにやりがいを感じますか?

金古康院長 金古医院4

やはり患者さんから感謝されるとうれしいですし、やりがいも感じます。当院は肛門内科、肛門外科のほかに消化器内科や一般内科・外科も診療していますから、かかりつけにしてくださっている患者さんも多いです。肛門のトラブルで治療した患者さんが風邪などで再度来院されたときなどは、「お尻の調子はどうですか?」と、コミュニケーションも兼ねてその後の様子を伺ったりしています。

気になったときにいつでも受診を

痔の原因は主に何だと思われますか?

金古康院長 金古医院5

一般的にいぼ痔や痔核といった状態の原因は、トイレの時間にあると私は考えています。患者さんの中には遺伝や辛い食べ物などが原因だと考える方もいらっしゃいますが、トイレの時間ほど大きな原因にはなりません。理想のトイレ時間は、トイレに入ってから出るまで5分以内です。最近はスマホを持ってトイレに入る方もいらっしゃいますから、中には15分以上トイレに入っている患者さんも少なくありません。「ただ座っているだけ。息んでいないから大丈夫」ではないんです。椅子と違って、便座はお尻が浮いていますよね。ですので便座に座ると肛門が緩むんです。その状態を長時間続けていると肛門が腫れやすくなり、痔につながります。それから、これは理解している方も多いと思いますが、強制的な排便も良くありません。便意を感じてからトイレに行くことが理想です。できる範囲で構いませんので、今言ったことを一度意識してもらえるといいですね。

今と昔で、患者さんの傾向は変わりましたか?

特に変わらないと思います。肛門科でいえば患者さんの比率は男女半々ですね。肛門疾患は中年男性に多いイメージがある方も多いかもしれませんが、女性の患者さんの半数が20代~30代です。若い人も多いんですよ。というのも、その年代の女性というのはホルモンバランスが体に影響しやすいですし、妊娠や出産を経験する方も多いです。ダイエットで乱れた食生活になると便秘にもつながります。逆に30代になると便通のリズムやルーティンが安定化する人も少なくありません。仕事や食生活が安定するからでしょうね。子どもができると子ども中心の生活になりますから、自然と食事や生活リズムも整ってくるようです。その年代だとストレスが原因の受診が多いように感じます。すべての年代に言えるのは、食生活が乱れると便通も乱れるということですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

金古康院長 金古医院6

異変を感じたら早めの受診を、とは言いません。自分が「そろそろ治したい」と思ったときに来ていただけたら大丈夫です。不安なことや心配なことがあれば、なんでも聞いてください。小さなことでも構いません。「市販の便秘薬を使いたいけれど、種類が多くてわからない。正しい使い方を知りたい」といった方も気軽に来院してください。市販の便秘薬の中には、腸に刺激を与えることで排便を促すものがありますが、私はこうした刺激性の便秘薬はあまりお勧めしません。癖になりやすく、刺激がないと排便できない体質になってしまう恐れがあるからです。もし満足に話ができなければ、後から電話していただいても構いませんし、こちらからお電話を差し上げることもあります。あと、先ほども申し上げましたが、当院は肛門内科・肛門外科をメインに掲げながら、一般内科も診療しています。かかりつけ医として使っていただいても大丈夫ですよ。

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