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鈴木 敦 理事長、鈴木 太 院長、伊藤 緑 先生の独自取材記事

阿佐谷すずき診療所

(杉並区/南阿佐ケ谷駅)

最終更新日:2024/01/15

鈴木敦理事長、鈴木太院長、伊藤緑先生 阿佐谷すずき診療所 main

南阿佐ケ谷駅から徒歩4分、青梅街道沿いのビル2階と3階にある「阿佐谷すずき診療所」。鈴木太院長、鈴木敦理事長、伊藤緑先生がきょうだいで力を合わせて診療にあたっている。両親から受け継いだクリニックには50床もの透析ベッドの他、手術室もある。それぞれ異なる専門性を生かした診療科も標榜し、生活習慣病や心疾患の予防や管理にも力を入れている。透析の通院にささやかな楽しみができるようにと、院内には季節の生花も欠かさない。地域医療に貢献する3人に、診療にかける思いなどを詳しく聞いた。

(取材日2023年11月27日)

幅広い専門外来も兼ね備えた透析クリニック

クリニックの体制や特徴について教えてください

鈴木敦理事長、鈴木太院長、伊藤緑先生 阿佐谷すずき診療所1

【敦理事長】当院は1992年に腎臓病治療専門クリニックとしてスタートしました。初代院長の父は、日本の透析治療システムの確立に尽力した人物で、東京女子医科大学病院で透析室長を務めていたこともあります。副院長だった母は同大学の放射線科に勤務していました。現在では3つの分院があり、高円寺は私、阿佐ヶ谷は弟、南池袋は妹が院長という形になっていますが、すべての患者さんを3人で連携して診ています。やはり一番の特徴は、透析治療と外来の二本柱で診療を行っていることでしょうか。一般的な透析クリニックでは珍しいですが、当院では医師一人ひとりが異なる専門を極めており、腎臓内科、循環器内科、泌尿器科などと、多岐にわたる科目の診療にも対応しています。近年では、杉並区では数少ない男性更年期の外来もしています。そのため透析のみならず、何となく調子が悪いといった一般外来の診療を求めて来院される方も多いです。

幅広く専門性の高い診療体制を整えていらっしゃいますね

【太院長】患者さんの3つの段階にアプローチできるようにと考えました。1つ目は透析治療中の合併症のリスクを減らすこと。実は透析患者さんが命を落としてしまう原因は大元の腎臓の不調ではなく、糖尿病に伴う心臓疾患によるものがほとんどです。そのため、複数の診療科で多角的にケアを行いながら透析治療を進めていくことを重視しています。2つ目は、将来的に透析の可能性がある患者さんの進行を遅らせること。緑先生が専門の腎臓内科では前段階のケアにも注力しています。いずれは透析を免れないとしても早めに血管の管理や脂質のコントロールを行うことで、治療を先延ばしにすることが望めるのです。3つ目は、透析になる前の人たちを透析にさせないこと。透析専門である父からもこれができる医者になれと教えられましたし、私たちの使命でもあります。外来で早く見つけて進行させないことを叶えるために透析以外にも幅広く窓口を設けています。

シャント作製も院内で行っているそうですね

鈴木敦理事長、鈴木太院長、伊藤緑先生 阿佐谷すずき診療所2

【敦理事長】はい、少数派かもしれませんが、透析する際の動脈と静脈をつなぎ合わせるシャント作製手術も日帰りで対応しています。シャント作製後も定期的に検査をして、狭窄部が見つかれば、ただちにバルーンがついたカテーテルを挿入して血管を拡張することを図る「経皮的シャント拡張術(PTA)」で対応することも可能です。通常、シャント手術と透析のクリニックを別々に受診する必要があることが多いので、透析前のシャントの作成、透析治療、シャント不具合時の緊急の対応が一括で行えることは、当院の大きな強みですね。超音波、サーモグラフィーの検査で問題点をいち早く発見し、突然のシャント不全にも速やかに対応できるよう手術室も備えています。

患者が快適に過ごせるこだわりの詰まった院内体制

質の高い治療を届けるためのこだわりを教えてください

鈴木敦理事長、鈴木太院長、伊藤緑先生 阿佐谷すずき診療所3

【敦理事長】幅広い専門スタッフも在籍しているところでしょうか。まず当院には超音波も専門に学んだ臨床検査技師がおり、乳腺の検査にも対応可能です。また超音波はシャント手術においてもとても重要で、これがないと手術がうまくいかないと言っても過言ではありません。カテーテル治療の際にも必要となるので、専門的に超音波を扱える医師の存在が、難易度の高い症例も対応が可能な背景へとつながっていますね。
【緑先生】管理栄養士による栄養指導にも注力しています。慢性腎臓病の段階から手厚くケアし、透析に至らないようにするための予防の1つとして重要な役割を果たしていますね。実際に患者さんのお食事を作るご家族の方ともコミュニケーションを取り、より患者さんの状態や生活に合った食事法をサポートしています。

患者さんが安心して過ごせるための取り組みはありますか?

【太院長】感染症対策に十分な注意を払っています。ビニールカーテンでベット間に仕切りを作ったり、実際に感染症にかかっている方に対して感染症専用の個室を設けたりしています。また透析にはいろいろなやり方がある中で、当院では高度に清浄化した水を大量に使用する血液透析ろ過という方法を採用しております。その際に新たな感染症や合併症のリスクを生まないよう、使用する水をきれいな状態にすることにも強いこだわりをもっています。
【敦理事長】患者さんが透析中に筋力トレーニングが行える、腎臓リハビリテーションというものも始めました。透析患者さんは足腰が弱くなりがちですが、透析中にエアロバイクを20分ほど漕ぐことで、血圧を下げないことや筋力の向上につながるのです。今はスタッフが近くについていますが、今後は理学療法士も招いて、より専門的なアドバイスができる環境を整えたいです。

通院のしやすさへの工夫やご家族へのサポート等はいかがでしょう

鈴木敦理事長、鈴木太院長、伊藤緑先生 阿佐谷すずき診療所4

【太院長】午前中は中野や富士見ヶ丘から通う70代から80代の方も多いので、1日3便の送迎バスを運行しています。一方夜は近隣に住む方が仕事帰りに立ち寄ることが多いので22時まで透析に対応するなど、どなたでも通いやすいような体制をつくっています。またご家族に対しては、連絡ノートを用いて綿密なやり取りを行っていますね。血圧手帳のチェックや、ご家族の質問に対するご回答、患者さんのご本人の様子を記入するなど、ご家族の不安も軽減できるよう、日々一緒に経過を見守ることも大切にしています。

充実の連携体制で一人ひとりの患者を手厚くサポート

患者さんと接するうえで大切にしていることを教えてください

鈴木敦理事長、鈴木太院長、伊藤緑先生 阿佐谷すずき診療所5

【敦理事長】患者さんを中心にすることです。外来は医師と患者さんの関係が対等だとしたら、透析では患者さんが上といっても過言ではありません。お困りのことはないかなどを、スタッフ一同で随時尋ねるようにしています。症状のお悩みはもちろん、家族構成などのライフスタイルも把握していなければ、適切なアドバイスは難しいですからね。

透析クリニックを選ぶ際のポイントは何でしょうか

【敦理事長】スタッフの多さだと考えます。透析をやりっぱなしになっては意味がないので、当院では採血、レントゲンを通じて、ちゃんと透析ができているかの管理を毎月行い、手厚く診ることを重視しています。一度に対応する患者さんは多いですが、計20人近くのスタッフが日々積極的にコミュニケーションを取り、どの患者さんに対しても深く把握し、情報の共有を行うことで実現できています。スタッフが自主的に、患者さんの症状やお悩みはもちろん、プライベートについてもお話ができる関係性を築いてくれているので、とても頼もしいですね。患者さん自身が自分に合う相談相手を見つけられることも良さだと思います。また医師の場合も同様、きょうだい間でも頻繁に相談をし合い、多角的な視点で患者さんを診ることを大切にしています。ここはきょうだい同士、科が違うからこその強みですね。

最後に、読者の方へのメッセージをお願いします

鈴木敦理事長、鈴木太院長、伊藤緑先生 阿佐谷すずき診療所6

【太院長】糖尿病はもちろん、腎臓がん、高血圧症、動脈硬化などで透析が必要になることもあります。透析の可能性がさまざまなところに眠っているからこそ、いかに早い段階で受診に踏み出せるかがとても重要です。外来も拡充させていきながら、透析でもしっかりケアをしていくことが、今後も自分たちの使命だと考えています。腎臓の病気は初期の自覚症状がほとんどないですし、遺伝で起きてしまう場合もあります。健康診断で引っかかった場合はまず相談に来ていただきたいですし、ご家族が同様の症状をお持ちの方は一度検査を受けることをおすすめします。重症度の高い症状がある場合は、東京女子医科大学病院や河北総合病院への迅速な連携も可能です。今後も幅広く、専門性高く窓口を用意しておりますので、かかりつけ医として患者さんの健康をしっかりサポートさせていただければ幸いです。

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