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立元 千帆 院長の独自取材記事

あおぞら小児科

(鹿児島市/鹿児島中央駅)

最終更新日:2021/10/12

立元千帆院長 あおぞら小児科 main

鹿児島市草牟田に2014年に開院した「あおぞら小児科」。院長の立元千帆先生は、同じ女性として子育てに奮闘する母親をサポートしたいという思いで、日々診療にあたっている。立元院長は日本小児科学会小児科専門医であり、日本アレルギー学会アレルギー専門医でもあるため、専門性を生かした小児領域のアレルギー疾患に特化した診療を実践。とりわけ食物アレルギーに関しては早期介入による予防を呼びかけており、生まれて間もない子どもに対するスキンケアなど、母親への指導や説明にも注力している。地域の人たちのみならず、県内全域から訪れる多くの患者の相談や診療に対応する立元院長に、同院の診療方針などを聞いた。

(取材日2020年10月29日)

子どもだけではなく、親に寄り添えるクリニックに

どのようなクリニックをめざしていますか?

立元千帆院長 あおぞら小児科1

小児科である以上、子どもを第一に考えるのはもちろんなんですが、保護者もサポートできるクリニックでありたいと思っています。私も子を持つ母親なので、母としての苦労や悩みは多少なりともわかっているつもりです。診療時に子どもが嫌がっても、診療することで母親は安心できると思いますし、また子どものいろんな症状や言動に対し、疾患名や原因がわかるだけでも、親はすっきりするものです。しかも今の時代、働きながら子育てをしている女性も多いと思います。そんなお母さんたちをバックアップして負担を軽減できるようなクリニックでありたいですね。

小児科ではどのような相談がありますか?

よくある相談の一つが、子どもの頬がカサカサになる症状。これに関しては、赤みがなければ保湿剤だけで十分なのですが、度合いがひどかったり赤みが出ていれば、炎症が起きているということになります。この場合、ステロイド軟こうで対処します。今は産婦人科でも赤ちゃんの保湿指導をしていますが、これは生まれて間もない時期に皮膚が荒れてしまうと、その後のアレルギーの発症に影響がある可能性があるから。生後6ヵ月くらいまでの保湿はとても大事なんです。もちろん、保湿だけですべてがカバーできるわけではありません。炎症を起こしている皮膚には抗炎症剤が必要です。ほかにも、おへそが出っ張っている、目やにが出るなどの相談があります。子育てする中でわからないことは多々あると思いますので、気兼ねなく相談に来てほしいですね。

子どもの様子に違和感を感じた場合、親はどうすればよいですか?

立元千帆院長 あおぞら小児科2

親の立場でずっと子どもを見ていると、泣き方や行動に違和感を感じることもあると思います。でも、病院に連れて行くべきか迷ったり、連れて行っても見てほしい行動が出なかったりするものです。そこで便利なのが、スマートフォンや携帯電話といったツールです。その時にしか見られない泣き方や行動を撮影して、画像や動画を残してください。「これ、けいれんじゃないですか?」と動画を見せてくれる親御さんがいらっしゃいますが、赤ちゃんには筋肉だけのけいれんが起きることがよくあります。ちょっとした音に対しても「ガタガタッ」と筋肉が反応するものなのですが、脳を経由していない反応なので異常はありません。このように、動画を見せていただければ原因がわかって説明できることがあります。

早期介入で食物アレルギーを予防していく

ほかに多い症状はありますか? またそれに対しどんな診療をしていますか?

立元千帆院長 あおぞら小児科3

一番多いのは発熱です。発熱や感染症にはウイルス性のものと細菌性のものがあり、子どもの発熱はウイルス性であることが多いです。ウイルス性疾患では抗生物質が効かないため、下がるのを待つしか方法がありません。それでも、親の立場ならきっと心配でしょうから、きちんと説明して様子を見てもらうようにしています。理由がわかるだけでも、心配する気持ちは軽減されますからね。熱で機嫌が悪かったり寝つきが悪い場合は、解熱剤をお出しすることもあります。また、食事や水分摂取不良に伴う脱水傾向が見られるときは、点滴をする場合もあります。

子どものアレルギー疾患について教えてください。

子どものアレルギー疾患には、気管支喘息やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーがあります。アレルギー性鼻炎は主に耳鼻科の領域になるかと思いますが、乳幼児のアトピー性皮膚炎と食物アレルギー、気管支喘息に関しては小児科で見るケースが多いです。この中で、食物アレルギーに関しては研究が進んで対応が大きく変遷しており、ここ数年、注目度が上がっているようですね。アレルギー疾患の診療は、遠方も含め多くの患者さんに来ていただいており、これまで数多くの症例を診てきました。アレルギー専門医としてこれらのデータをまとめ、発表するなどして生かしていきたいです。食物アレルギーに関しては、早期から介入して予防すること、またはアレルギー体質が弱まるようにすることが大切です。お子さんは生後2ヵ月のワクチン接種で小児科との関わりがスタートしますから、この時に必ず皮膚チェックをしていただきたいです。

食物アレルギーかどうかはどのように見分けますか?

立元千帆院長 あおぞら小児科4

結論から言うと、食物アレルギーは食べてみないとわかりません。血液検査の結果はあくまで参考所見で、診断の確定はできませんが、リスクが高いかどうか見る診断補助として行っています。食物アレルギーは、荒れた肌からいろんなアレルギーのもととなる成分が侵入してしまうことが、そのような体質をつくる一因ともいわれます。そのために、予防も治療も肌を良い状態にすることが大切です。複数の食物アレルギーがあると診断された子どものお母さんの苦労は、本当に計り知れません。買い物の時にも、毎回成分表示を確認して購入しなければいけないわけですから。だからこそ、食物アレルギーに対してもっと意識していただき、早期の相談・受診をお願いしたいですね。

利用者のニーズに応えるクリニックに

子どもの予防接種について教えてください。

立元千帆院長 あおぞら小児科5

今年から定期接種の対象となったロタウイルスワクチンをはじめ、さまざまな種類のワクチンに対応しています。子どもの予防接種の種類はとても多く、私たち開業小児科医師の仕事の半分は、予防接種といっても過言ではありません。親御さんにとってもこれだけの予防接種のスケジュールを把握するのはとても大変ですが、お子さんのためにも、予防接種はぜひ受けてほしいです。当院では予防接種の漏れがないよう、母子手帳に次回の予防接種時期を記載します。どのワクチンを次に接種すべきかわからなくなったら、問診票も全部持ってきていただければ当院でスケジュールを提案させていただきます。

クリニックの設備について教えてください。

通常の診察室とは別に、隔離室を設けています。子どもでいえば水ぼうそうなどになりますが、空気感染の疾患の恐れがある患者さんのための部屋です。入り口も診察室とは別で、電子錠になっておりインターホンで呼び出して入室していただくシステムです。このほか、ワクチン接種の患者さんと感冒症状のある患者さんとを空間分離するために、待合室も2つ設けています。時間分離の必要がなく、診療時間ならいつでも予防接種で来院できるようになっています。これは、開業する際に私の友人からアドバイスしてもらい、取り入れました。今後も、子を持つ親の意見を反映できるクリニックでありたいです。

クリニックのスタッフの皆さんはどんな雰囲気ですか?

立元千帆院長 あおぞら小児科6

来院される方には、よく「きびきびしていますね」と言われます。毎日多くの患者さんに対応するのでそう見えるのかもしれませんが、実際にみんなよく動いてくれます。また向上心が高いことも、スタッフの動きに現れているのかもしれません。もっと良いクリニックにしよう、もっと学ぼうという姿勢が、“きびきび”につながっているんだと思います。当院では、3〜4ヵ月に1回、勉強会を開いています。部門ごとに発表してもらうのですが、最近で印象に残っているのは事務のメンバーの発表です。数ヵ月にわたって患者さんにアンケートを実施したり、かかってきた電話の内容を集計したりして、改善点を挙げてくれたんです。それで、保護者からの質問が多い項目はエレベーターに貼り出したり、ホームページのトップに表示したり。そうやって実際に改善した事例もあるんですよ。患者さん思いのスタッフがそろっているのも、当院の特徴ですね。

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