全国のドクター9,294人の想いを取材
クリニック・病院 158,511件の情報を掲載(2024年6月10日現在)

  1. TOP
  2. 福岡県
  3. 北九州市八幡西区
  4. 本城駅
  5. 医療法人 堺歯科医院
  6. 堺 信春 院長、堺 洋紀 副院長

堺 信春 院長、堺 洋紀 副院長の独自取材記事

堺歯科医院

(北九州市八幡西区/本城駅)

最終更新日:2023/02/17

堺信春院長、堺洋紀副院長 堺歯科医院 main

JR若松線本城駅から徒歩7分の「堺歯科医院」は、1974年の開業以来、40年以上の歴史がある。住宅街に溶け込むようにたたずみ、地域に密着した診療を続けてきた。現在は、外来診療と訪問診療の2本柱で地域医療に貢献している。「当たり前のことを当たり前に提供できる歯科医院でありたい」と語るのは、副院長の堺洋紀先生。一緒に取材に応じてくれた堺信春院長の長きにわたる診療経験に、堺洋紀副院長の新しい知見を加えながら、誰もが満足できるような歯科医療の提供をめざしている。やわらかな笑顔と穏やかな語り口が印象的な2人に、診療にかける想いや今後の展望について話を聞いた。

(取材日2022年2月26日)

外来と訪問診療の両輪で地域医療に貢献

40年以上の歴史がある歯科医院だそうですね。

堺信春院長、堺洋紀副院長 堺歯科医院1

【堺院長】この歯科医院を開業したのは私の父です。半分、父の隠居所みたいなもので、受付兼助手の方が1人いるだけの小さな歯科医院でした。私が勤務医の経験を経て、ここに戻ってきたのが1985年。以来、地域に密着した医療の提供をめざしてきました。初めは少ない患者さんだったのが、どんどん増えていって。それに伴い、スタッフの数も少しずつ増やし、今では総勢16人です。当院の歴史は巻物に記録し、歴代スタッフの名前もすべて書き込んでいるんですよ。
【洋紀副院長】私が副院長として携わるようになったのは2014年からです。勤務医時代の専門は障害者の歯科治療です。誰もが治療を受けられるような環境をつくりたいと思い、帰ってきてからすぐに訪問歯科診療を始めることにしました。主に父が外来を受け持ち、私はだいたいずっと訪問歯科診療に出かけています。

どのような患者さんが多くいらっしゃいますか。

【堺院長】お子さんが2割、お若い方が3割、高齢の方が5割くらいでしょうか。私の年齢とともに患者さんたちも年齢を重ね、高齢化してきました。何十年にもわたるお付き合いで、お互いの性格を知り尽くしている感じです。
【洋紀副院長】外来と訪問歯科診療の割合は、半々くらいです。訪問診療はごくわずかだったのですが、徐々に増えてきました。父が長く診ていた患者さんが、ご高齢になって通院できなくなることもあります。そういう方を訪問診療で引き継ぐと、すごく喜んでいただけるのでやりがいを感じますね。私のことを小さい頃から知っている患者さんもたくさんいるので「あのちょろちょろしていた男の子が一人前になって」と感慨深そうにおっしゃる方もいます。

洋紀先生は、お父さまの背中を見て歯科医師の道に進むことを決められたのでしょうか?

堺信春院長、堺洋紀副院長 堺歯科医院2

【洋紀副院長】物心ついたときから父の姿を見ていましたので、歯科医師になるだろうなと思っていました。父のすごさを改めて感じたのは、一緒に働くようになってからですね。私は学問として得た知識をもとに、障害者・訪問歯科治療を実践してきました。父は特別な勉強はしていませんが、長年の経験を通じてそれらの知識や技術を自然に身につけ、エビデンスに基づいた診療を実践しています。そんな父を歯科医師の先輩として尊敬しています。

当たり前のことが当たり前に提供できる歯科医院に

診療方針についてお聞かせください。

堺信春院長、堺洋紀副院長 堺歯科医院3

【洋紀副院長】当たり前に歯科医院で受けられる治療を、誰にとっても当たり前に受けていただける歯科医院をめざしています。自分にとっては当たり前でも他の人にとっては当たり前じゃないことってありますよね。例えば障害のない方にとっては、通院して治療を受けるのが普通かもしれませんが、通院できなくても治療を受けられる世の中にしていきたい。障害があってもなくても、通院ができてもできなくても、大人でも子どもでも誰もが平等に同質の治療を受けられる権利があります。患者さんにとって「歯が痛くない」ことが大切であれば、その願いをかなえるのが私たち歯科医師の役割です。また、一緒に働くスタッフにも「当たり前」を届けることも大切にしています。みんなが毎日楽しく働ける、不安なく診療できる、そんな職場環境をつくっていきたいですね。

訪問歯科診療では具体的にどのようなことをしてもらえるのですか?

【洋紀副院長】寝たきりの方や認知症の方など通院が難しくなった方のために、歯科医師や歯科衛生士がチームを組み、訪問用の歯科機材をお持ちして診療に伺います。訪問歯科診療を始めた2012年と比べると、機材がかなりコンパクトになり、持っていけるものも増えました。虫歯や歯周病の治療、抜歯、ブリッジや差し歯、入れ歯の製作、口腔内ケア、エックス線の撮影など、外来診療と遜色のない治療を行えるようにしています。訪問歯科診療では、ご本人の意思決定が難しく、ご家族の意向を踏まえて治療を行うことがあります。しかし、双方の希望が食い違うケースも少なくありません。しっかり話し合いをして、ご本人のお気持ちを尊重しながら、より良い治療を探っていきます。

小児歯科にも力を入れていると伺いました。小さなお子さんの治療で大切にされていることは?

堺信春院長、堺洋紀副院長 堺歯科医院4

【堺院長】当院では、嫌がっているお子さんを無理やり抑え込むような治療は一切しません。歯科医院で一度怖い思いをすると、トラウマになってしまいます。まずは遊びながら歯科医院に慣れてもらうところから始めます。そもそも小さい頃は治療への取り組みが難しいことがほとんど。遊びの中に歯ブラシを入れて、ブラッシングを覚えてもらうだけで十分です。これまでの経験から、だいたい4歳、5歳くらいになれば治療ができるようになるのがわかっています。それまでは歯医者さんを好きになってもらうことが大切です。そうじゃないと、永久歯が生えて、本当に必要なときに治療を受けることが困難になってしまう可能性もありますから。根気よくお子さんと付き合って、信頼関係を築くようにしています。

敬意と愛情を持って患者に接する

患者さんと接する際に心がけていることはありますか。

堺信春院長、堺洋紀副院長 堺歯科医院5

【堺院長】年齢や立場など関係なく、どなたでも一個人として敬意を持って接することを大切にしています。患者さんにもスタッフにも敬語で話します。昔は、おじいちゃん、おばあちゃんと話しかけていたこともあったのですが、自分がおじいちゃんになったら言われて嫌なことがわかりました(笑)。今、患者さんで102歳の方がいらっしゃるんですけど、行動や言葉遣い、行動一つとっても素晴らしく、私のお手本になっています。
【洋紀副院長】どの患者さんにも、友人や家族のように接しています。訪問診療も、友達の家に遊びに行くのに近い感覚ですね。どの治療法を選ぶか迷ったときも「もし自分の友人だったら」と考えるようにしています。最終的に決めるのはご本人。一通り説明し、あとは患者さんご本人の意志に委ねます。

これからの目標をお聞かせください。

【洋紀副院長】たとえ重度の障害がある方でも、他の方々と同じように治療を受けられるよう努めていきたいと考えています。当院ではこれまで、知的障害・運動障害・精神障害・四肢麻痺・ダウン症などの症候群と、幅広い患者さんの治療にあたってきました。しかし、全身麻酔を利用した歯科治療にはまだ対応できていません。専門的な治療を行う歯科医院はまだ少なく、何ヵ月・何年も待たないと受診できないケースが多いという現状です。このような不公平な状況をなんとかするために、全身麻酔と高度な治療に対応できるような体制を整えるのが目標です。障害者の歯科診療を行う専門的な歯科に対する理解を深める啓発活動にも力を入れていきたいですね。

まだ受診に至っていない方も多いと思いますが、ご本人やご家族に向けたメッセージをお願いします。

堺信春院長、堺洋紀副院長 堺歯科医院6

【堺院長】当院ではどなたにも門戸を開いております。ただ、どうやってドアをノックしたらいいのかわからないという方もいらっしゃるでしょう。口の中のトラブルを抱えている方、小さなお子さんのいる親御さん、歯科医院への通院に難しさを感じているご家族の方、申請手続きがわからない施設関係の方、どなたでも結構です。診療を受ける、受けないに関わらず、ちょっとしたお悩みでも気兼ねなく相談していただけたらと思います。当院は住宅街の目立たない場所にひっそりと建っています。大きな看板は掲げていませんが、黄色い建物が目印です。隠れ家的な歯科医院ですが、お気軽にお越しください。

Access