嶽崎 宗規 院長の独自取材記事
たけさき歯科医院
(宮崎市/宮崎駅)
最終更新日:2022/08/09
開発が進むなか、田園風景と宅地が混在する生目地区。古くから信仰されている生目神社近くに位置する「たけさき歯科医院」は開業から30年を迎える。同院の嶽崎宗規院長は、地域のみならず遠方からも訪れる多くの患者たちの口腔内の健康を守り続けてきた。患者の声にしっかりと耳を傾け、メンテナンスなどの予防歯科に力を入れる嶽崎院長のもとには、十年以上通い続ける患者も少なくない。そんな嶽崎院長に開業当初の頃の話から治療の姿勢、現在中心に進めている歯周病予防のことなどを聞いた。
(取材日2022年7月6日)
メンテナンスを中心に末永く口の健康を守り続ける
歯科医師をめざされたきっかけと、開業までの経緯を教えてください。
父も兄も歯科医師で、母方の親族にも歯科医師が多かったので、「自分も同じ道に進むのだろうな」と、小さい頃から漠然と思っていて、自然と歯科医師への道を歩んでいた感じです。大学卒業後は3年ほど、父の紹介で宮崎市の歯科医院で勤務をしました。本当にたくさんの経験を積ませてもらい、今でも感謝しています。新人の頃というのは、失敗も多いし、できないことも多いのですが、頭ごなしに怒ったりせずに、見守りながら、でもしっかり治療にも責任を持って、育ててくださるとても温かい先生でした。自分で開業して、新人の歯科医師なども受け入れてみて、あらためて先生の器の大きさに感謝するばかりです。その後、2年ほどの実家の歯科医院での勤務を経て、開業しました。
この地域に開業されたのはなぜですか?
ご縁があったから、というところでしょうか。実は開業当時のこの辺りは、まだ農地ばかりで開発も進んでいなかったので、不動産屋さんから紹介された際に、一度はお断りした場所なんです。開業にあたっては、宮崎、熊本、鹿児島、と広い範囲で、本当にたくさんの物件や土地を見たのですが、なかなかこれぞ、という場所に出合えずにいて。そんな折、同じ不動産屋さんがなぜかお断りした1年後ぐらいにまたこの場所を紹介くださって。その時にあらためて見てみたら、土地も広いし、将来的には道路がもっと整備されて、これから開発される将来性のある土地だと感じました。また2度も同じ場所を紹介されるということはよほど縁があるのだろうと思い、この場所での開業を決めました。
来院される患者さんの特徴を教えてください。
やはり地元の方が多いのですが、この辺りはバイパスからも近いので、遠方からも来てくださいます。開業から3年ほどたったあたりから、クチコミで患者さんが増えていったという感じです。生目の地域には高齢の方が多いのですが、少し先の地区には団地もあるので、老若男女を問わず幅広い世代の方にご利用いただいています。いま一番遠方からの患者さんは島根から年に数回メンテナンスで来院される方です。元は近隣にお住まいだったのですが、島根に引っ越されて、その後もこの町のご友人などに会いに来られたついでに、当院への通院も継続してくださっていて、本当にありがたく思います。そういう方も含め、長く通院くださる方が多いのが当院の特徴かもしれません。
歯を守ることの大切さを伝え、予防歯科に尽力
長く開業していて感じられている変化などはありますか?
変化と言えば、この場所の変化が一番大きいですね。この辺りはもともと農地で、開業した当初は何もなかったんです。道路が整備されて、高速やバイパスが通ってきまして、人の往来が増えてきました。さらに来院してくださった方のクチコミなどで、年を経るごとに変化をしていきましたね。自分自身の変化でいえば、若い頃にはどうしても頭でっかちで、教科書的な対応というか「こうしないといけない、ああしないといけない」みたいな感じで患者さんに対してどこか指示的だったように思うのですが、経験を積むにつれて、必要な情報提供はするけれども、決めるのは患者さんというスタンスに変わってきましたね。もちろん治療全体の責任をとらなくてはいけないので、完全に患者さんの望みに添うのは難しい場合もありますが、自分が患者さんの立場だったらどうかな、ということを考えられるようになりました。
先生がこだわって診ていらっしゃる疾患は何でしょう。
こだわって診ているのはやはり歯周病でしょうか。実は、虫歯についていえば、昔よりも数が減っているんです。一方で歯周病にかかっている人はとても増えていますね。歯周病は歯茎などにも影響し、歯を抜かなければならないこともあるので、予防が大切です。これまでこの地で約30年、多くの方を診てきて感じているのは、年を取っても自分の歯を持って、よく噛み、食事を楽しめている人は人生全体にも前向きで元気な人が多いということです。口元に自信があれば思い切り笑えますし、しっかり噛むことができて何でも食べることができれば、旅行をはじめ、積極的に外に出て人とも交流するので生活そのものに張りがあるでしょう。ゲートボールなんかに勤しんでいる方々も、ご自身の歯を大切にできている方が多いと思います。よく噛むことで、脳の血流もよくなりますから、認知症のリスク軽減にもつながっていると思います。
歯周病の予防や治療に力を入れてこられた結果、メンテナンス希望の患者さんが多いそうですね。
特に遠方から来院される方などはほとんどメンテナンスで来院される方です。だいたい全体の7割程度は定期的なメンテナンス希望の方が占めていると思います。そうして、ご自身も長く通いながら、結婚されて、お子さんが生まれて、お子さんを連れてこられて……という感じで、何世代かにわたって通院してくださっている方も少なくないですね。
体の入り口を守ることで長生きと健康につなげたい
診療で大切にされていることは何ですか?
先ほども少しお話ししましたが、診察にあたって、最終的なゴールは治療される患者さんご本人が決めることと思っているので、絶対こうしないと駄目、というような治療者側からのごり押しはしないことをいつも心がけています。丁寧な説明や、要望の聞き取りといったプロセスは踏みますが、最終的な判断は患者さんご本人に委ねています。患者さんの立場に立って説明をしたとしても、それが患者さんが望んでいないことだとしたら、その後の通院が途絶えてしまう可能性もあって、根本的な解決にはまったく至らないんです。やはりその人自身が腹をくくって決断しないと続かないんですよね。なので納得感を持って治療に望んでいただくために、ご本人の意思をできる限り尊重することを大切にしています。
印象深い患者さんとのエピソードがあれば教えてください。
関東や関西に引っ越された方が数年ぶりに来院してくださることがありまして、理由を尋ねますと「旅行で来たから立ち寄った」といわれました。わざわざ当院まで足を運んでいただいたことにスタッフともども大変喜んだ経験があります。これもひとえにスタッフの力が大きいと感謝しています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
口は体の入り口にあたる場所。歯と口の中の健康をしっかり守っていただきたいです。年を取るとどうしても抜けてしまう歯や抜かざるを得ない歯が出てくるので、ご高齢の方は比較的1本の歯のありがたみを理解されています。一方で若い方は、まだ歯がたくさんあるので、忙しかったりすると「1本ぐらい抜いてもらってもいいです」というようなことをおっしゃったりもするんです。歯も、1本1本がしっかり役割を果たしていて、健康を支えてくれているので、年を取れば取るほど、生活全体に影響を与えてくるものです。結局、予防やメンテナンスをしっかり継続していくことが一番痛みもなく、経済的な負担も少ない方法なのです。歯だけでなく、元気に長く生きるために、歯と口の健康をしっかり守りましょう。