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中村 佐知子 院長の独自取材記事

中村(哲)産婦人科内科

(鹿児島市/甲東中学校前駅)

最終更新日:2021/10/12

中村佐知子院長 中村(哲)産婦人科内科 main

鹿児島市電の甲東中学校前電停から徒歩2分、鹿児島市樋之口町に1973年に開院した「中村(哲)産婦人科内科」。2012年から父親の後を引き継ぎ、院長を務める中村佐知子先生は、婦人科は“女性の一生を支える診療科”だとして、思春期、妊娠、出産、更年期、老年期とさまざまなライフステージに寄り添った医療を提供している。医師を含め、患者の対応にあたるスタッフは全員女性で、アットホームな雰囲気を大切にするクリニックだ。患者を思い、率直に話しながらもその語り口はやわらかい、そんな中村院長の人柄に迫った。

(取材日2020年9月25日)

思春期から更年期、老年期まで女性に寄り添う医療を

天文館の繁華街に開院して47年。この場所を選ばれたきっかけは何かありますか。

中村佐知子院長 中村(哲)産婦人科内科1

当院は1973年に私の父が開院しました。樋之口町は夜の繁華街というイメージが強いですが、この場所を選んだ理由は、「市立病院に近い距離だったため」と聞いています。市立病院は2015年に移転してしまいましたが、もともとは、徒歩2分で行ける近さ。父親は開院する前まで市立病院で勤務医として働いていましたから、何かあったときにはスピーディーに連携が取れる立地が条件だったようです。また、開院当時は第二次ベビーブームと呼ばれ、年間の出生数が200万人を超えていた時代。産科は、出産の途中で状況が急変し、医療の介入が必要となる場合もあります。一人でクリニックを開院するのに、古巣が近くにあるという環境は、心強かったのだと思います。

クリニックの特徴を教えてください。

先ほどもお話ししたように、開院当時は第二次ベビーブームでしたので、お産をメインに扱ってきました。少子化が進むにつれ、産科から婦人科の症状に注力した診療に移行していった感じです。患者さんは思春期の方から老年期の方まで幅広いですよ。47年間ここで開院していますから、当院で産まれた赤ちゃんが思春期となり、母親と一緒に来院することもあります。親子2世代で来られるのはうれしいですね。女性の体は、生理が始まる思春期から妊娠、出産、そして閉経する更年期、老年期までさまざまな変化が起こります。体の変化は加齢によるものだけではなく、生活習慣やストレスなど些細な変化にも敏感に反応します。そんな多彩な不調に丁寧に耳を傾けられるクリニックで在りたいと思っています。また、内科の医師も在籍していますので、風邪などの一般的な内科症状に対する診察も行っています。

診察する上で心がけていることはありますか。

中村佐知子院長 中村(哲)産婦人科内科2

不正出血や腹痛、関節の痛みや頭痛など身体的な不調から、気分の落ち込みなど精神的なものまで女性特有の体の悩みはさまざま。中には、不正出血に「ひょっとすると、がんなのでは?」などと思い込み、不安に顔をこわばらせながら来院される方もおられます。そんなときには顔を見ながら「大丈夫よ」と声をかけています。医師に「大丈夫」と言われると、肩の荷がふっとおりますでしょう。そして、体調の変化や悪いところをすべて話してもらい、まずは気持ちを楽にしてもらいます。私自身も更年期を迎える年齢になり、自分が体験することでより一層、患者さんの気持ちがわかるようになりました。婦人科は、患者さんとともに歩みながら悩みを共有し、サポートできる診療科。その人の立場で考えて、不安を取り除けるようなアドバイスを心がけています。

女性特有の悩みを改善に導くため低用量ピルを活用

生理痛の診療にも注力されていますよね。

中村佐知子院長 中村(哲)産婦人科内科3

女性の体は、思春期の11〜14歳ごろに初潮を迎え、15〜18歳ごろには排卵や生理が安定し、妊娠・出産が可能になります。思春期は体の機能が未熟なので、生理に関するトラブルが起こりやすい時期。ひどい痛みに悩んだり、量が多かったりと症状は個人差があります。昔は「生理痛は病気ではないから仕方がない」と言われてきましたが、今は「痛みは我慢せずに楽になりましょう」という考え方が主流となり、生理痛に対する認識も変わってきました。でも、痛みを我慢して保健室に通う女子もまだまだ多いですよね。痛みは放っておくと子宮内膜症や不妊の原因になることもあります。また、生理不順は、骨粗しょう症になるリスクが高まることもわかっています。そうならないためにも必要に応じて治療を行っています。

どのような治療を行うのでしょうか。

多くは低用量ピルによる治療です。ピルといえば避妊するための薬と捉えている人が大半だと思いますが、実は、生理痛や生理不順などの女性特有の悩みに対しても有用なのです。ほかにも、経血の量が多い過多月経の症状に対して活用できるのに加え、イライラや情緒不安定、胸の張り、むくみといった月経前症候群の改善や、女性ホルモンと関連がある子宮体がん・卵巣がんの予防などにつながる可能性にも注目が集まり、研究が進んでいます。ただ、血栓ができやすい人など、ピルを服用してはいけない人もいるので、必ず問診で月経の周期や日数、初経年齢などを聞き、必要に応じて超音波検査などを行っていきます。生理痛が緩和されれば、生活の質も良くなるはずですよ。

婦人科の診察。思春期や若い世代にとって垣根が高いと感じるのではないでしょうか。

中村佐知子院長 中村(哲)産婦人科内科4

若い世代が婦人科の受診を「ハードルが高い」と感じていることは承知しています。高校生に産婦人科に対するイメージを聞くと「お産をするところ」という回答がとても多いんです。本当は先程お話した生理に関する悩みなどで利用している女性も多いということは知られていませんから。女性特有の悩みって、友達同士で共有することもあまりしませんよね。母親に相談しても、母親は自分の経験でしかアドバイスできない。若い人が体の不調の相談を誰にするかというと、インターネットで検索する。でもこれは、自己判断することで後悔しないためにもお勧めしません。年齢問わず、女性が気軽に通える環境を整えることも私たち婦人科の医師の課題だと考えています。「お母さん、生理痛がひどいから婦人科に連れていって」と言えるような環境をつくっていかなければと思っています。

母と娘で通える「女性のためのかかりつけ医」に

院長先生が産婦人科を専門に選んだきっかけを教えてください。

中村佐知子院長 中村(哲)産婦人科内科5

父親の背中を見て育ちましたので、医学の道へ進むことは幼い頃から決めていましたが、医学生になり、何科を選択するかで迷いました。そんな私に、開院当時から父親の元で働き、子どもの頃の私を知る婦長と事務長が「不妊治療や抗がん剤治療など、産婦人科の医師として精力的に取り組んできたお父さんのように頑張って」と、背中を押してくれたことが決め手になりました。私自身も大学卒業後は鹿児島大学の産婦人科に入局し、日本生殖医学会認定・生殖医療専門医という立場で、不妊治療にも携わってきました。産婦人科の魅力は、やはりお産のお手伝いができること。出産ではママからも赤ちゃんからもたくさんのエネルギーをもらいます。サポートするたびに「ああ、やりがいのある幸せな仕事だな」と感じてきました。

今後の展望についてお聞かせください。

当院は、2年前の2018年から入院病床を閉じ分娩をやめましたが、前述のとおり、お産のお手伝いができることが最大の魅力だと思っているので、引き続き人工授精などで不妊治療に注力。妊娠しやすい体づくりやスムーズなお産へのサポートも合わせて行っていきます。これまでたくさんの患者さんを診させていただいてきた中で、私自身も成長させてもらいました。小さなクリニックなのでアットホームな雰囲気で診察ができればと思っています。「女性のためのかかりつけ医」として、また同じように更年期を迎えた女性としても、女性の一生を通しての悩みに寄り添い、応えていきたいです。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

中村佐知子院長 中村(哲)産婦人科内科6

当院は、閉経後の女性の体の不調である更年期障害にも注力しています。閉経の前後に女性ホルモンの分泌が急激に減ることが影響して起こる更年期の体調不良で、その典型的な症状がのぼせを代表例とするホットフラッシュですが、他にも、関節の痛みや喉の違和感、皮膚症状、頭痛など身体的なものから、気分の落ち込みといった精神的なものまで多種多様。40代になり「もしかして?」と思ったら、産婦人科の受診をお勧めします。また、女性が末永く健康で過ごすことができるように、1〜3年に一度の子宮がん検診も勧めています。病気の早期発見はもちろんですが、服薬などでそれぞれの症状を和らげる方法もあります。母と娘で一緒に受診できるといいですね。

自由診療費用の目安

自由診療とは

子宮がん検診/2600円~(いきいき検診/1700円)、人工授精/1万5000円~、低用量ピル処方/2900円~

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