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佐田 公範 院長の独自取材記事

佐田クリニック

(熊本市中央区/東海学園前駅)

最終更新日:2024/05/10

佐田公範院長 佐田クリニック main

中央区渡鹿、通称刑務所通り沿いにある洋館風の外観が目を引く「佐田クリニック」。開業以来、地域住民の健康を支え続け地域に愛されてきた。2024年1月、先代の父親から継承し、新院長に就任した佐田公範(さだ・きみのり)先生は、父がめざしてきた地域のかかりつけ医として「なんでも診る」というスタイルを守っていくと同時に、ラグビーで鍛えてきた心と身体を持ち前に、新しいことにどんどん取り組んでいきたいと目を輝かせる。そんな佐田公範院長に、クリニックの診療について話を聞いた。

(取材日2024年3月28日)

かかりつけ医の担うべき総合的な医療を極める覚悟

豊富なご経験をお持ちですが、現在開業医として特に役立っているのはどんなことでしょうか?

佐田公範院長 佐田クリニック1

振り返れば、どの経験も今の開業医のバックボーンとして役立っていますね。「断らない医療」を掲げていた熊本医療センターで研修医時代を過ごし、緊迫感のある中で重症の患者さんの症例を数多く経験しました。熊本医療センターではとにかく体を動かして医療現場を中心に学び、次の熊本大学病院の医局では根拠のある検査やきちんとした手順、保険診療の原則を踏まえた診療をたたき込まれました。その後の総合病院では糖尿病を専門に診療していましたが、院内で困ったら取りあえず呼ばれる医師という立場で、千差万別の症例に携わり、総合医療や高齢者医療について鍛えられました。また、大学院時代には学術的な視野が広がりました。ただ、最終的には父の後を継ぐという強い気持ちがありましたので、常に頭の片隅にはかかりつけ医の担うべき総合医療への思いがありました。

クリニックの患者層について教えてください。

年代的には、50、60代以上の方が多いですね。ただ、近隣に大学が複数あるので、学生さんなど若い方もいらっしゃいます。主訴については種々さまざまです。いわゆるかかりつけ医としては、特に多いのが慢性疾患で、やはり糖尿病、高血圧症、脂質異常症など生活習慣病が目立ちます。男性更年期障害に特化した外来を遠方から受診される方も増えてきました。あとは骨粗しょう症の患者さんが最近増えていますね。

診療方針について伺います。

佐田公範院長 佐田クリニック2

先代の父の時から変わっていないのですが、地域のかかりつけ医として幅広い病状に対応し、「なんでも診る」というスタイルです。内科の他、糖尿病内科、代謝・内分泌内科の診療も行っており、父の代から続いている地域のかかりつけ医としての使命は、ずっと守っていきたいですね。発熱、下痢、冷え性、尿漏れなどさまざまな体の不調はもちろん、打撲、水虫など、整形外科や皮膚科に行ったほうがいいのか迷う症状でも、取りあえず本院を受診していただければ大丈夫です。私は日本糖尿病学会糖尿病専門医以外にも、日本内科学会総合内科専門医の資格も持っていますので、たいていの症状は診療可能ですし、もし、より専門性の高い診療が必要な場合は、他病院と密に連携していますので、ふさわしい医療機関におつなぎいたします。また、少しでも不調を感じたら気軽に立ち寄ってほしいという思いから、あえて予約制を取っていません。

地域のクリニックだからこそできる、患者目線の治療を

ご専門の糖尿病の治療について何か特徴がありますか?

佐田公範院長 佐田クリニック3

大学病院ではなく地域のクリニックだからこそできる、患者さんの目線に立った治療をしたいと考えています。例えば、画一的に服薬や運動、食事などの管理を厳しくしても、患者さんごとにいろいろな事情があり、すべての患者さんがきちんと合わせられるわけではありません。治療がなかなかうまく進まなくても、患者さんと寄り添いながら伴走して、本人自身の治療へのモチベーションを上げることが大切です。また、インスリンに関しては極力使用を少なくする方向で提案をしています。インスリンには低血糖などの深刻な副作用もありますし、費用も経口薬と比較して高価です。もちろん、インスリンが必要な患者さんには対応可能です。また、当院での治療が困難な患者さんには、栄養士や看護師などの専門スタッフがそろっている大きな病院を紹介します。

男性更年期障害に特化した外来や漢方内科外来も設けているのですね。

男性更年期障害を専門に扱う外来は、熊本県でもまだ数少ないです。直接死につながる病気ではなくても、患者さんはとてもつらいものです。男性ホルモンの減少が原因だとされ泌尿器科にかかる患者さんが多いようですが、当院では「代謝・内分泌内科」という目線で、生活習慣病や動脈硬化などの病気との関連を視野に入れつつ診療を行っています。漢方薬については補助的要素が大きく、西洋医学の観点から診てどこも問題ないものの、例えば、冷え性や肩凝り、咳などの不調を訴える場合は、漢方薬の処方を検討します。患者さんは診断してほしいわけではなく治してほしいわけであって、男性更年期障害の治療も漢方薬の処方もそうですが、原因がわからず苦しんでいる症状を少しでも改善できるよう患者さんに寄り添った提案をしたいですね。

患者さんとのコミュニケーションで心がけていることはありますか?

佐田公範院長 佐田クリニック4

患者さんと話すときは、ちゃんと相手の顔を見ることと、ほんの少しでも患者さんの体に触れて触診することの2つを特に心がけています。「きちんと診てくれている」と患者さんに感じてもらい安心してもらえるような、「手当て」こそが医療の原点だと考えます。患者さんの顔も見ずパソコンのカルテに入力し続けている医師や、患者さんが「膝が痛い」と言っているのに膝を触りもしない診療は、私はしたくありません。また、患者さんの話に耳を傾けることも大切にしています。前職の時は予約制だったので、時間が来ると終わりにせざるを得なかったのですが、今は予約制ではないので、帰り際に「先生、あと……」と言われ話が少し長引いても、患者さんに寄り添って柔軟に対応できます。

今後はクリニックでもIT化や業務効率化が重要課題に

医師になったきっかけを教えていただけますか?

佐田公範院長 佐田クリニック5

父の背中を見ていたので、自然な流れでしたね。私には人の役に立ちたいという思いがあって、かかりつけ医という仕事はまさにそういった仕事で、患者さんやご家族から感謝され、尊敬される。それは院長として至上の喜びです。息子としても親孝行になりますし、父は外科医で、外傷や整形外科、皮膚科的疾患の診療経験は私より豊富なので、いろいろ教えてもらえます。医師としても開業医としても大先輩の父と一緒に診療できるのはうれしいことです。患者さんたちも後継が来てクリニックを継続してもらえるということで安心したみたいですね。父は医師としても開業医としても尊敬できる存在。まだまだ教えてほしいことがたくさんあります。ずっと元気で頑張ってほしいです。

休日は何をされているのですか?

今は子どもと過ごす時間が大切ですね。散歩したり、寝かしつけたり。子どもの笑顔が一番楽しい気分にさせてくれます。子どもが生まれる前は、大学医学部時代から打ち込んでいるラグビーや筋力トレーニング、ドライブといったことをしていました。特にラグビーは大好きで、現在、熊本県のラグビー協会の医務委員を任されています。ラグビー部の先輩後輩の絆は、私にとって宝物です。プライベートでのつながりはもちろん、みんな医師として活躍していますから、仕事としての病診連携にも強みがあります。

今後の抱負を教えていただけますか?

佐田公範院長 佐田クリニック6

今後はクリニックでもIT化や業務効率化が非常に重要だと考えています。例えば、紙のカルテから電子カルテに移行しようと考えているのですが、患者さんのデータを確認しやすくなりますし、情報管理の効率化にもつながります。また、新たにHbA1cを測定するグリコヘモグロビン分析装置を導入しました。以前は外注していたため結果を待って患者さんの再受診が必要だったのですが、今はすぐに結果をお知らせすることができます。看護師さんの負担を軽くするように自動血圧計も入れました。近い将来、アプリを活用した治療が本格化するのではないかと見ています。特に生活習慣病は薬だけでは不十分で、患者さんの自己管理がとても重要になってきます。スマートフォンやスマートウォッチのアプリがその自己管理の手助けになればいいですよね。忙しい時間をやりくりして少しずつ取り組み、患者さんに喜んでいただける理想のクリニックにしていきたいです。

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