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白石 公 院長の独自取材記事

こころの森しらいしクリニック

(四国中央市/伊予三島駅)

最終更新日:2023/07/24

白石公院長 こころの森しらいしクリニック main

白石公先生は、東京・徳島で研鑽を積んだのち、2010年に地元に戻り、四国中央病院精神科・心療内科に部長として勤務。2020年1月に「こころの森しらいしクリニック」を伊予三島駅前にオープンした。同院の院内は、心地の良い音楽が流れ、穏やかな時間を紡ぐ、木の香りに包まれた癒やしの空間だ。喧騒に包まれた外とは別の時間が流れ、安心して心を開けるように。そんな配慮が隅々までいきわたる。県境に位置しているというその立地だけでなく、白石先生と、クリニックの穏やかなたたずまいに惹かれ、県内外から多くの患者が集まる。クリニックのたたずまいそのままに、安心感を与えてくれる白石先生にその想いを聞いた。

(取材日2020年11月18日)

幼い頃から見ていた父の背中が精神科医への道を開いた

こころの森しらいしクリニック開院までの経緯を教えてください。

白石公院長 こころの森しらいしクリニック1

大学卒業後は、帝京大学医学部附属病院の精神科医局に入局しました。翌年、父親が体調を崩したということもあり、四国に戻って徳島大学精神科に入局しました。その後、8年間、徳島県立中央病院にて研鑽を積み、2010年に四国中央病院に戻ってきました。父の急逝に伴い、父が30年ほど開業していた白石医院を継承した後、2020年1月に今の場所に移転。こころの森しらいしクリニックとしてリニューアルオープンをして今に至ります。四国中央病院では認知症疾患医療センターという、地域の認知症治療の要となる拠点の立ち上げに関わり、初代センター長も務めました。勤務医時代の経験を生かして、心療内科・精神科と併せて、老年精神科を標榜して、物忘れの外来も設けています。

精神科の医師をめざしたきっかけを教えてください。

父の開業していた白石医院は街のかかりつけ医として、精神的な症状も診る内科という感じで診療をしていましたが、もともと父も精神科の医師でした。私が小さい頃、父は勤務医をしていて、当時は、病院のセキュリティーも今よりずっと緩やかだったので、父の勤務する病棟に行って患者さんと卓球をしたりして遊んだのを覚えています。そんな経験から、私の中には、精神科とか精神の病気とかいうものに障壁がまったくなく、大学入学時からすでに精神科に進むことを意識していました。いろいろな科をローテーションする中で、やはり自分には心療内科・精神科が合うと感じ専門を決めました。精神科の医師であっても、心と身体、双方をよく診ることが大事だと思っているので、開業前地域の中核総合病院に勤務し、心身両方の症状を診ることのできる環境にいた経験が、今とても役立っていると感じます。

医師としてやりがいを感じるのはどんな時ですか?

白石公院長 こころの森しらいしクリニック2

やはり治療をうまく進められた時です。もう治療が必要ないという時には、終診になります。長いお付き合いであればあるほど寂しさもありますが、本当によかったなと思います。うちのクリニックには高校生の患者さんも少なくないのですが、進学・就職が決まったというような話を聞いたりすると本当にうれしくなりますね。最近は、院内の植物やお花を写真に撮ってSNSにあげてくださる患者さんもいて、クチコミで患者さんが増えています。四国の中で4県にまたがる県境なのでアクセスしやすいということもあるのか、香川や徳島などから高速を使って来院してくださる方もいらっしゃって、「先生と話をするだけでほっとする」なんてお言葉を頂いたり、症状が重い方も軽い方も「まずはあそこに行ってみよう」と、思っていただけているのもうれしいことですね。

心地良い空間で一人ひとりと丁寧に向き合う

クリニックの治療方針について教えてください。

白石公院長 こころの森しらいしクリニック3

初診で初めてお会いする患者さんとはまず信頼関係を築くことを大切にしています。「この人となら、治療を続けてもいいかな」と思ってもらって初めて正確な診断と治療をすることができるのではないかと思っています。また、治療において何より大切なのは根本にある診断だと思っています。不眠だから睡眠薬、不安には抗不安薬と、表面に出ている症状だけを見て、全てに薬を処方していたら患者さんは本当にたくさんの薬を飲まなくてはならなくなってしまいます。そうではなくて、それらの症状のもとになっている原因を探り、そこにアプローチできれば不眠も不安もいずれは解消していくでしょう。患者さんの傍らに寄り添い、丁寧に話を聞いて、慎重に診断をするというプロセスはずっと大切にしていることです。

とても心地の良い院内ですが、こだわりがあれば教えてください。

患者さんが来てよかったと思える雰囲気を、ということを意識しました。木の香りが落ち着く、ということは皆さんおっしゃいますね。午前と午後で1回ずつ、お香をたいているのでそれを喜んでくれる方も。香りなどを五感で感じ、瑞々しい感性を取り戻すことはとても大切だと思っています。「森」というのはここを建てる時のコンセプトだったんです。ここには3つの庭があって、木漏れ日の森、さえずりの森、四季の森という名前がついています。この辺りは工場があったり、街中でざわざわして落ち着かない雰囲気もあるので、ここにぽっと森があって、入った時に別世界に入る感じで、流れる時間が外と変わるといいなと思ったんです。待つ間、森を眺めてリラックスしていただけたらうれしいですね。あ、鳥が来ているな、とか木が紅葉し始めたな、などと心穏やかに感じていただけるのではないかと思います。

認知症の外来について教えていただけますか?

白石公院長 こころの森しらいしクリニック4

まずは認知症についてのご説明をしっかりするようにしています。そうすると、ご家族やご本人が感じている困り事などのお話も出てくるので、状況に応じて、介護保険の申請など、福祉サービスにもつないで、ご家族だけの負担にならないよう公的制度の活用方法もお伝えしています。2021年の1月から常勤になる心理療法士が精神保健福祉士の資格も持っていて、福祉の制度などにも知見があるので、生活やその方の人生に寄り添い、コーディネートをしてもらうつもりです。今よりも包括的に支援できる治療体制ができあがることを私も楽しみにしています。しっかり検査をして診断してみると、実は認知症ではなくほかの病気が隠れていたり、年齢相応の物忘れだったりということがわかることも。なんだかいつもと違うな? と思ったらまずはお気軽にご相談ください。

より多くの人に対応できる幅の広さを身につけたい

新型コロナウイルス感染症流行の中で見えてきた気になることなどはありますか?

白石公院長 こころの森しらいしクリニック5

もともとの不安が増幅したり、繰り返し手洗いをしているうちに強迫症状が強くなった人もいます。4月に入学した大学生でほとんど友達に会えないまま、オンライン授業になり、一人暮らしをするうちに調子を崩して親御さんが実家に連れて帰り、来院というケースも少なくありません。みんなで新しい生活と幸せになれるシステムを考えていかなければと思います。また、さまざまな情報があふれていて、その情報に振り回されて過剰におびえたり、逆に正確な感染対策も不要と思ってしまっている方もいるので、もっと正確な情報が届くようにして、苦しむ人がいなくなるように何とかしたいと思っています。

今後の展望をお願いします。

今後常勤の心理療法士が加わることで、心理テストやよりこまやかなカウンセリングも可能になり、これまでよりもさらに手厚い診療体制が取れるようになるかと思います。お一人お一人と丁寧に向き合うということは大切にしながら、より幅広く対応できるよう成長してまいりたいと思います。

読者へのメッセージをお願いします。

白石公院長 こころの森しらいしクリニック6

症状に悩まれている方は、どうしても早く良くなりたいと焦ってしまうものですが、まずはしっかりスタンダードな治療を受けることが大切です。身体の疾患と比べて、精神的な疾患はまだわかっていないことも多いけれど、それでもいろいろ解明されてきていて、この病気にはこんな治療をしたほうがいいというのが明らかになっているものもたくさんあります。それなのにスタンダードな治療ではなく、最初から一般的ではない治療を受けるというのは避けたほうがいいです。もちろんそれでもなかなか良くならない難治性の方には、私の経験で得た少し適応から外れるアプローチを提案する場合もありますが、それは標準的な治療をしっかり評価した後のことです。当院では、精神的な不調の裏に身体的な疾患が隠れていないかということもきちんと精査し、地域中核病院とも連携体制をとっています。ちょっとした不安や不調でも大丈夫、まずはお気軽に来院してご相談ください。

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