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山口 幹夫 院長の独自取材記事

山口耳鼻咽喉科クリニック

(松山市/余戸駅)

最終更新日:2021/10/12

山口幹夫院長 山口耳鼻咽喉科クリニック main

自然光がたっぷり差し込む診察室からは、夏には新緑のケヤキやセミの声が映え、秋になると落葉と、一年を通して季節の移ろいが感じられる「山口耳鼻咽喉科クリニック」。余戸駅から徒歩3分に位置し、待合室からは伊予鉄電車や松山空港に発着の飛行機も見える。交通の利便性が良く、県内をはじめ特殊な手術になると県外からの患者も多い。専門は、鼻粘膜の病態生理学、アレルギー疾患、睡眠時無呼吸症候群などだが、聴覚や嗅覚、味覚など五感に関わる機能を扱い、新生児から高齢者まで症状はさまざま。「説明と同意」の治療を基本とし、患者の気持ちを最優先に不安や苦痛を与えないよう治療を進める山口幹夫院長。常に自己研鑽に努める姿勢やオフの過ごし方など仕事からプライベートまで話を聞いた。

(取材日2020年6月24日)

耳・鼻・喉と感覚器に携わる耳鼻科医師として

先生が医師になられた経緯、耳鼻科を専門に選んだ理由をお聞かせください。

山口幹夫院長 山口耳鼻咽喉科クリニック1

父は会社員で技術者だったのですが、私も理系が得意で父と同じように技術系に進むか、もう一つ興味があった医学系に進むかで最初は悩みました。予備校時代に知り合った仲間たちは誰もがレベルが高く、医学の道を志す人が多かったことも影響し、徳島大学医学部に入学し、臨床能力や医学研究能力を身につけました。最終の専門分野を決める際に、心療内科、内科、耳鼻科で迷ったのですが、自分の中で気になっていた九州大学病院の精神科や、救急医療に力を入れている八尾徳洲会総合病院などを訪問させていただき、その中で患者さん一人ひとりに合った治療と技術が必要になってくる耳鼻咽喉科が自分に一番向いているのではないかと選択しました。耳や鼻、喉と扱う領域がさまざまで、高い専門性と手先の器用さも関係してくる耳鼻咽喉科。技術職が好きだったことと共通しているかもしれません。

耳・鼻・喉とさまざまな器官を扱いますが、どんな患者さんが多いでしょうか?

愛媛県はもとより、特殊な手術になると県外の方もいらっしゃいます。耳だとめまいや中耳炎、鼻だとアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など、喉だといびきや睡眠時無呼吸症候群などそれぞれの器官によって患者さんも多種多様です。相対的に見るとめまい、慢性の中耳炎の患者さんが多いかもしれませんね。内科的な診断から外科的な治療を必要とする方、新生児から高齢者など年齢も症状も幅広い患者さんがいらっしゃいます。そのほか口内炎、頭頸部の腫瘍など多彩な症状の方が来院されます。正確に診断するためにCTやエコー、難聴を精査する耳音響放射検査などを備えて対応しています。

先生がほかに注力されている分野を教えてください。

山口幹夫院長 山口耳鼻咽喉科クリニック2

当院では、スギ花粉とダニアレルギーに対する舌下免疫療法や、スギ花粉症への遺伝子組み換え製剤の注射など、アレルギー疾患の治療に取り組んでいます。舌下免疫療法とは、アレルギー反応を引き起こす原因のアレルゲンを少しずつ体内に入れることでアレルゲンに慣れさせていく治療法です。遺伝子組み換え製剤は、抗体を注射することによりアレルギー反応を引き起こす抗原抗体反応を抑制する働きをします。これらのアレルギー疾患の治療に加え、スギ花粉とヒノキ花粉の花粉観測を10年以上行っています。毎年、花粉が発生し始める1月中旬ごろからインターネットを介して時間単位で当院の花粉観測データを配信してるのは当院の強みです。耳鼻科の医療も日々進化しています。めまい発作を繰り返すメニエール病への中耳加圧治療や頭位めまい症への耳石置換療法、慢性中耳炎や副鼻腔炎、いびき症への日帰り手術のような先進の治療も進んで取り入れています。

一人ひとりの症状を丁寧に説明し、漢方も活用して診療

開業当初から日曜診療もされていますね。先生のお考えをお聞かせください。

山口幹夫院長 山口耳鼻咽喉科クリニック3

開業して26年間、ずっと行っているのが日曜診療です。救急当番医やほかの日曜診療をされているクリニックからの紹介患者さんも多く、平日に比べると他病院との連携に時間を費やすこともありますが「仕事や学校でなかなか行けないので、日曜日に診療してもらえるのは助かる、ありがとうございます」という感謝の言葉をいただけると、これまでやってきて良かったなとやりがいを感じます。日曜日の午前中という限られた時間ですが、それぞれの患者さんの立場に立って、要望に寄り添うつもりで向き合っています。

診察の際に気をつけていること、先生のこだわっている部分を教えてください。

患者さんそれぞれに求めるものが違います。症状や病態を理解してもらいたい、ということを念頭に、常に患者さんと相談しながらなにが最善の治療か、どうして治療が必要なのかなど丁寧に説明することを心がけています。中には、慢性のめまいや中耳炎などなかなか完治に結びつかないものもあります。完治しない原因がどこにあるのか納得していただくことで、患者さんの協力を得やすくなり、スムーズに治療を進めることもできます。また、診療時間内で説明しきれなかった部分も出てくるので、患者さん向けのパンフレットを作成してお渡ししています。最初にお話した通り、患者さんの理解を得るものとしてだけではなく、私自身の知識の整理にもたいへん役立っています。また耳鼻科は鼓膜切開など小さいお子さんが恐怖を感じる処置が多いのも特徴です。小さなお子さんにもできるだけ同じ目線で話しかけて前向きに治療を受けてもらえるよう心がけています。

東洋医学である漢方も取り入れていらっしゃいます。どんな症状のときに漢方を処方しているのですか。

山口幹夫院長 山口耳鼻咽喉科クリニック4

私は、西洋医学だけに固執することなく、東洋医学の利点も診療にうまく取り入れたいと考えています。病態によって漢方のほうが適している場合もあれば、西洋医学の薬とうまく組み合わせるのが適している場合もあります。例えば、匂いの低下やお子さんの嘔吐下痢などについては漢方を活用していますが、味が苦手という場合は、フレーバーを入れて飲みやすいよう工夫しています。もちろん、副作用もあって心臓がどきどきしたり、妊婦さんだと子宮が張ったりすることもありますので、うまく使いわけながら漢方と西洋薬それぞれの得意とする分野を生かしていくというスタンスです。

かかりつけ医として寄り添った診療を行っていく

ホームページにはたくさんの情報が丁寧に書かれていますね。

山口幹夫院長 山口耳鼻咽喉科クリニック5

ホームページは、1999年と早い時期から始めました。患者さんが気になる症状があった時に、少しでも役に立てればいいなという思いからでした。診療の際にお渡ししている患者さん向けに作成したパンフレットも掲載しているので、症状や治療法について詳しく調べたいという方はぜひ参考になさってください。十分な説明ができなかった場合の補足用でしたが、入念に調べてから作成するので、頭の整理と自分自身の勉強にもつながっています。そして、アップしたから終わりではなく、少しずつ訂正を加え、新しい情報に更新するようにしているのも私のこだわりです。思わぬところで反響があって驚くこともありますが、この作業はコンスタントに続けていきたいところです。

趣味や息抜きなど先生ご自身について教えてください。

子どもが幼い時は家族旅行に出かけることもありましたが、最近は読書にはまっています。図書館で一気に借りてくるんですよ。多ジャンルにわたり膨大な量ですが、流し読みしながら、気になる情報をインプットしていっています。また、学生時代は中学から大学までソフトテニス部に所属し、主将を務めたこともありました。部活三昧の日々でしたね。挫折もありましたけれど、一つのことに向き合うことは、常に目標に向かって上昇していけますし、コミュニケーション能力が磨かれたのも今の自分の姿勢につながっているような気がします。

今後の展望も含めて、読者にメッセージをお願いします。

山口幹夫院長 山口耳鼻咽喉科クリニック6

開業当初、日曜診療を行っているクリニックはほとんどありませんでした。救急病院と連携を取ることも多くプレッシャーもありましたが、「開いていて良かった」「診てくれてありがとう」という言葉がやりがいとなって今でも続けています。そんな私が開業する原点にもなった日曜診療はできるだけ続けていきたいと考えています。また、治療に関しては不安や苦痛を与えず、最短の時間で診療できるよう努めています。来て良かったと思ってもらえるよう、自己研鑽を怠らず新しい医学知識と医療技術を提供していくことが私のプライドだと捉えています。いざという時、あのクリニックを受診しようと多くの方に利用してもらえるような地域のかかりつけでありたいです。

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