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坂谷 達一郎 院長の独自取材記事

さかたに小児科

(広島市南区/宇品五丁目駅)

最終更新日:2021/11/17

坂谷達一郎院長 さかたに小児科 main

広電1号線・宇品五丁目駅から歩いてすぐの場所にある「さかたに小児科」は、1988年に坂谷達一郎院長が開業した小児科とアレルギー科のクリニック。院内には昔ながらの木製の身長測り機や体重計が置かれ、どこか懐かしい雰囲気が漂う。診療では小児の疾患や予防接種のほか、子どもから大人までを対象にしたアレルギー疾患に対応。中でも食物アレルギーとアトピー性皮膚炎治療は坂谷院長にとって30年来のライフワークであり、一人でも多くの患者を根治に導きたいと、これまでの豊富な臨床経験をもとに今も研鑽を続けている。クリニックでの診療以外にも、広島市立宇品小学校の学校医も務め、地域への医療貢献も欠かさない坂谷院長に、これまでの道のりや、アレルギー疾患にかける思いを聞いた。

(取材日2021年8月27日)

生まれ育った町でアレルギー科と小児科に対応

開業するまでの経緯を教えてください。

坂谷達一郎院長 さかたに小児科1

もともと父がこの土地で産婦人科を開いていました。僕もこの土地で生まれ育っています。医師の道に進んだのは父の影響もありますけど、アカデミックな仕事に就きたいという希望もありました。父から「医学部に行け」なんて言われたことはありませんでしたね。小児科を選んだのは、当時は子どもが多くて診療する機会がたくさんあるかなと思ったからです。開業する前は、JA広島総合病院、広島大学小児科で勤務し、開業する前までは福島生協病院で小児科長を経験しました。その後父から医院を受け継ぐかたちで、1988年に「さかたに小児科」として開業しました。医院の建物は1955年に父が開いた時のまま残っています。

小児科のほかに、アレルギー科も診療されているそうですね。

ええ。しかし33年前に開業した当初と比べて、子どもの数が減っていることもあって、現在は小児科よりもアレルギー科を受診される患者さんが多くなっています。アレルギー科では、子どものアトピー性皮膚炎や食物アレルギーだけでなく、スギ花粉症やヒノキの花粉症にお悩みの成人の患者さんも対象としているため、子どもから大人まで幅広い年代の患者さんが受診するアレルギー科のほうが、全体の患者数の9割を占めています。

小児科医の先生が、アレルギー疾患の診療に本格的に取り組もうと思われたきっかけは?

坂谷達一郎院長 さかたに小児科2

開業前、最後に勤務した福島生協病院で、食物アレルギー疾患の治療に力を入れていらっしゃる先生に出会ったのがきっかけです。1985年頃ですが、当時すでにアレルギーの子どもは増加傾向にあり、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎の診療を学んでいくうちに、もっと深く掘り下げてみたくなったんです。アレルギー疾患というのは、食物アレルギーであれば食べ物からアレルゲンを除去したり、アトピー性皮膚炎であればステロイドを処方したりして症状の軽減を図りますが、いずれも症状を鎮めるための手段でしかなく、何かきっかけがあればまたすぐに症状が出てしまう。それがずっと私の心の重石になっていました。治せないことにじくじたる思いを抱くようになり、なんとかして根本的に治せる方法を突き止めたい、そう思ったんです。いずれ自分の小児科医院を開業する際には、アレルギー疾患も診療の一つの柱にしようと決めたのもその頃です。

根治をめざすアレルギー治療を追求

そもそもアレルギーはどのようにして起こるのでしょう。

坂谷達一郎院長 さかたに小児科3

アレルギー反応というのは免疫の過剰反応によって起こる症状です。細菌やウイルスなどの「外敵」が体に入ってくると、免疫が敏感に反応して、抗体や白血球を大量に生産します。これらが「武器」や「兵隊」となって外敵と戦い、外敵を排除して体を守ろうとします。この免疫の働きが、時として身の回りのありふれた物質に対して起こってしまうことがあります。通常は体に入っても害のないものに対し過剰反応し、細菌やウイルスと同じように物質を排除しようと働いてしまうのがアレルギーです。アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、花粉症なども同じ仕組みで発症します。

長年アレルギー疾患を診てこられて、昔と今とで何か変化を感じることはありますか?

私の印象では、ここ10年ほどアトピー性皮膚炎の症状は全体的に軽くなり、重度の患者さんが減っているように感じます。その代わり増えているのが、治療が難しい食物アレルギーのケース。以前であれば食物アレルギーが皮膚症状として現れることが多かったのですが、最近は消化器症状や呼吸器症状として出てくるケースが増えています。なんとか治したいと思うわけですが、かなり手ごわいです。アレルギー科を扱う町の診療所や国立病院、大学病院では一般的に、食物経口負荷試験が行われます。これはアレルギーの原因として疑われる食材を複数回に分けて食べてもらい、食べて症状が出る量、ここまでなら大丈夫という量、つまり「限界値」を把握するために行いますが、これは根本的に治すことを目的としたものではないですし、中にはアナフィラキシー症状を起こす人もいるので慎重に診療を進める必要があります。

アレルギー疾患の診療には、医師の経験や知識が不可欠なのですね。

坂谷達一郎院長 さかたに小児科4

患者さんによって症状は一人ひとり異なりますし、新しい治療法も出てきていますから、常に研鑽・研究を重ね、学ぶ姿勢を大事にしたいと思っています。先ほどもお話ししたように、食物アレルギーの治療は難しく手ごわいです。いかに正しく「限界値」を見極め、そのラインを引き上げていくか。例えて言うなら、地雷原を歩いているような感覚に、怖くなるときもあります。しかし30年患者さんを診療していると、地形を見て「ここなら地雷は埋まっていないだろう」「ここだったら大丈夫かな」と、経験則から見えてくるものがあるんです。それでも過信して無理に進むと危険なので、少しずつ慎重に進みながら、もう一歩先へもう一歩先へと攻めていく。そういう感覚で日々診療しています。

そこまで親身になってくれる先生だと患者さんも心強いですね。

ですが、私が今まで診療を続けられたのは、患者さんのおかげでもあるんです。アレルギーの治療は決して一筋縄ではいかず、難しい症状の患者さんだと、何度もやり直しを余儀なくされることだって珍しくありません。そうなるときっと患者さんのほうから「もう治療をやめたい」と言われるに違いないと思うのですが、それが違うんです。皆さん言わないんですよ。諦めないんです。なんとかアレルギーを克服したいその一心なんです。そんな患者さんたちを前にすると、私も引くに引けないですからね。これからもできるだけ長く診療を続け、患者さんに寄り添っていく覚悟です。

丁寧な説明を心がけ病気について理解してもらう

ところで、休日はどのようにしてリフレッシュしていますか?

坂谷達一郎院長 さかたに小児科5

20年くらい続いている趣味にオーディオがあります。中学生の頃からクラシック音楽が好きで、いい音で聞きたくてオーディオに興味を持ち始めました。仲間とサークルを作って、皆で集まっては自作のスピーカーやオーディオを見せ合ったりして楽しんでいます。スピーカーを自分で作ると言うと驚かれますが、木工工作で作れますし全然難しくないんですよ。自慢のオーディオでよく聞いているのは、20世紀に活躍したロシアの作曲家たちです。

診療時に心がけていることは何ですか?

子どもの患者さんが多いですから、やはり子どもと仲良くなることでしょうか。診療をする時は子どもと対等に、同じ目線で話すようにしています。子どもは素直ですから、痛い時は「痛い」、嫌な時は「イヤ!」とはっきり言ってすぐに反応してくれるので、そのへんはわかりやすいですね。ただ、今でこそ子どもの気持ちが少しわかるようになりましたが、若い頃は子どもはなぜ病院に行くことが怖いのかも全然わかりませんでした。ようやくわかるようになってきたのは小児科医になって20年くらいたってからです。今では「こんな話をしたらどうだろう?」「あんなことを言ったらいけないよな」なんて思いつつ、どうやって子どもたちと仲良くなろうか、いつも考えていますね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

坂谷達一郎院長 さかたに小児科6

当院では、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の治療に力を入れています。診療では、疾患のメカニズムや治療について少しでも理解していただけるように、できるだけわかりやすく説明し、つらい症状に悩む患者さんたちを親身にサポートしていけたらと考えています。もし少しでも気になるアレルギーがあるのなら、どうぞ気軽に相談に来てください。どんなアレルギーでもできる限り対応させていただきます。

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