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脇田 邦夫 院長の独自取材記事

脇田産婦人科医院

(米子市/富士見町駅)

最終更新日:2021/10/12

脇田邦夫院長 脇田産婦人科医院 main

市役所や図書館などの公共施設や大学病院、デパートが立ち並び、公共交通機関でのアクセスに便利な米子市の旧市街地。ここで100年以上にわたって地域医療を担い続けてきたのが「脇田産婦人科医院」だ。これまで多くの患者の健康に寄り添ってきた歴史を感じる外観と、患者のプライバシーに配慮した落ち着いた内装が印象的なクリニックだ。思春期から高齢までと幅広い年齢の女性が安心して受診できるよう環境を整え、レーザー治療、子宮がん検診、それぞれの年齢に合わせた症状への正しい知識の指導にも力を入れる。「私が生きている限りこの地で、“思春期から棺おけまで”患者さんを診ていきたい」と温かいまなざしで話す脇田邦夫院長からは、長く積まれた経験からくる大きな安心感と地域医療への強い使命感を感じた。

(取材日2021年4月1日)

先々代から110年間にわたって地域医療に尽力

歴史あるこちらのクリニックの特徴を教えてください。

脇田邦夫院長 脇田産婦人科医院1

当院は、先々代である祖父から現在まで110年にわたって地域医療に尽力してきました。現在の診療所は1965年に新築した建物ですが、私が加わった1999年に診療所の改修とレーザーなど新しい医療機器を導入しました。2009年に院長に就任しましたが、米子市内でも高齢化が進んでおり近隣の住民の皆さんが車を使わなくても公共交通機関を使ったり、歩いて来られるクリニックとして、これからもこの地で、生涯付き合えるクリニックであり続けたいと思っています。

患者さんの主訴を教えてください。

現在は、子宮がん検診や乳がん検診、炭酸ガスや半導体レーザーを用いた診療や、更年期障害の相談・治療、思春期特有の月経の悩みや避妊指導、性病検査や治療、そして骨粗しょう症の検査や治療などを主に行っています。また、分娩は扱っていませんが、妊婦健診は行っています。

落ち着いた雰囲気の内装ですね。

脇田邦夫院長 脇田産婦人科医院2

外観は先代の父の時代に建てた診療所の趣をそのまま残していますが、入り口と内装は私が副院長として加わった際に改修しました。思春期の中高生から閉経を迎えた方、高齢の方まで、幅広い方に来てもらいやすいように、ゆったりと落ち着ける空間を意識しました。患者さんによっては産婦人科に通っていることをほかの人に知られたくないという人もいます。ですから、プライバシーについては特に気をつけています。当院では患者さん同士が顔を合わさずに受診できるように動線を配慮し、プライバシーをしっかりと確保して、気になる症状や不安なことがある時に気軽に来てもらいやすい環境をつくっています。

炭酸ガスレーザーで負担に配慮した日帰り手術を

婦人科腫瘍学やレーザー治療がご専門だそうですね。

脇田邦夫院長 脇田産婦人科医院3

北里大学医学部では婦人科腫瘍学を専門に学び、同大学病院で勤務していた1978年には上司と米国のセミナーへ参加、そこで初めてメスの代わりに組織を切除したり蒸散させる炭酸ガスレーザーと出合いました。当時の日本では開腹手術が当たり前だった時代。米国ではレーザーを使用して子宮頸部異形成や早期がんを円錐状に切除し、診断や治療を行っていました。1980年には同大学病院でもいろいろな科で使用できるNd‐YAGレーザーを導入。米国セミナーでの経験から私に白羽の矢が立ち、子宮の入り口付近の病変のみを切除する円錐切除術の開発に携わりました。1989年、さらなる先端医療導入のために米国へ短期留学し大陸を2周するほど飛び回って内視鏡検査にレーザーを応用した技術を持ち帰り、腹腔内治療や子宮内腔治療、さらに炭酸ガスレーザー円錐切除術などを導入しました。

現在も行われているレーザー治療について教えてください。

米国から帰国後は、大学病院で10年ほど実績を積んで、1998年に鳥取県に帰ってきました。帰ってからの1年間は鳥取大学付属病院女性診療科でお世話になったのですが、開業準備のためのブラッシュアップとなり、たいへん貴重な経験になりました。当院に副院長として加わった時にレーザー治療と内視鏡検査を導入しましたが、内視鏡検査は最近、引退して、レーザー治療は私のライフワークとして継続しています。当院には炭酸ガスと半導体の2種類のレーザーがあり、炭酸ガスレーザーは高出力のレーザー光線で、子宮頸部の早期がんや子宮頸部異形成などに用いています。日帰りで手術が行え、出血がほぼなく傷も残りにくいため、患者さんの負担が少ない方法です。出力の弱い半導体レーザーは、疼痛治療に用いています。痛みがあるところに直接当てて血流を促し、痛みを和らげていくものです。半導体レーザーは男性も受けることができます。

どんな自覚症状で来院される方が多いですか?

脇田邦夫院長 脇田産婦人科医院4

一番多いのは不正出血です。月経以外や閉経したのに出血があった時は、子宮や卵巣などに何らかの病気がある可能性も。中には心配のない不正出血もありますが、自己判断は禁物です。「まあ、いいか」と放置して手遅れになってしまうこともあるので、きちんと検査して原因を調べてほしいです。若い人は月経不順や、おりものの量や色がおかしいといった悩みで来院されることが多いです。症状とは違いますが子宮がん検診の来院も多く、検診から早期発見につながる方が増えていますね。

子宮がんについて教えてください。

子宮頸がんと子宮体がんの2つがあり、頸がんは子宮の入り口に、体がんは奥の胎児が発育するところに発生します。頸がんは性交渉から感染するHPVというウイルスが原因とされます。早期に発見されればレーザー治療で対応し、その後の妊娠や分娩も期待できるでしょう。体がんは女性ホルモンのバランスが崩れることが原因とされ、生活習慣の乱れもリスクに。不正出血などの自覚症状も注意が必要です。細胞診や組織検査まで行う日本臨床細胞学会細胞診専門医として、正確な診断に努めていますのでご相談ください。

年齢によって変わる症状や悩みに長く寄り添い続ける

生涯付き合える地域密着型のクリニックということですが。

脇田邦夫院長 脇田産婦人科医院5

中学生や高校生が月経の悩みやおりもの異常などの相談で訪れますし、閉経前後の40代から50代の女性に多い更年期障害の相談・治療も行っています。更年期に起こるのぼせや手足の冷え、頭痛、めまい、イライラなどの症状は個人差が大きく、いろいろな病院で検査してどこにも異常がなく、婦人科に来て更年期障害だとわかる人もいます。これらの症状には、ホルモン剤などの薬物療法や漢方薬の処方などを提案しています。また、閉経後は骨量の減少により骨が折れやすくなる骨粗しょう症が増えていきます。骨粗しょう症が原因で骨折し、寝たきりになる危険もあります。当院では専用の検査室で骨の健康状態をチェックして、骨量が低下した人には薬物治療を行って骨折の予防につなげていきます。専門は婦人科ですが、患者さんの年齢によって出てくる症状に合わせた診療を行っています。

先生の診療方針や患者さんに接する時に心がけていることは何ですか?

治療法を押しつけないことですね。症状に対していろいろな選択肢をわかりやすく提供して、一人ひとりに合わせた治療をすることを心がけています。例えば、更年期障害で「この人にはホルモン剤が効果的だな」と思っても、本人がホルモン剤に対して前向きではなかった場合は、「じゃあ漢方薬から始めましょうか」とお話しします。患者さんの生活スタイルや考え方を聞いた上で治療法を決めて、症状の改善状況を見ながら納得してもらって治療を進めるようにしています。また、人工妊娠中絶手術も行っていますが、女性の体を守るためにも、しっかりと避妊方法の紹介と指導を行っています。ここに住む人々に寄り添う医療を、私の命ある限り提供し続けたいと考えています。

最後にメッセージをお願いします。

脇田邦夫院長 脇田産婦人科医院6

子宮がん検診を毎年受けましょう。特に、これから妊娠・出産を考えている若い人に受けてもらいたいです。妊娠してからがんが見つかり、大きなショックを受けることもあり得ます。また、性感染症は放っておくと不妊や早産の原因になるものがあります。あまり強い症状はなくても、「ちょっとおかしい」と思う時は積極的に検査を受けていただきたいです。年齢の若い方にとって婦人科に来るのは敷居が高いと感じるかもしれません。でも、気になったらすぐに受診して、病院でしっかり検査を行ってもらい、何もなかったら安心してもらえばいいし、病気であったらしっかりと治療することで、その後の人生は大きく変わるでしょう。気構えなく受診できるように環境を整えていますので気軽に来ていただいて、いろいろな選択肢があると知ってもらいたいです。

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