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ナローバンドUVB療法で
乾癬、アトピー性皮膚炎の改善を図る

谷皮フ科

(豊中市/庄内駅)

最終更新日:2024/05/22

谷皮フ科 ナローバンドUVB療法で 乾癬、アトピー性皮膚炎の改善を図る 谷皮フ科 ナローバンドUVB療法で 乾癬、アトピー性皮膚炎の改善を図る
  • 保険診療

「ナローバンドUVB療法」は、紫外線の中でも、治療に必要となる限られた範囲の波長の紫外線だけを選択的に照射する治療法だ。現在では尋常性乾癬やアトピー性皮膚炎、尋常性白斑など複数の皮膚疾患で保険適応があり、外用薬を中心とした治療のみでは十分な効果が見込めなかった患者から、新たな治療選択肢として期待されている。そこでどのような患者が治療を受けているのか、また、実際の治療はどのように進むのか、地域密着型のクリニックとしてナローバンドUVB療法に積極的に取り組んでいる「谷皮フ科」の谷守院長に話を聞いた。

(取材日2024年1月17日)

検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!

QナローバンドUVB療法とはどのような治療法ですか?
A

紫外線には幅広い波長が含まれていますが、一部の波長を皮膚に照射すると、皮膚の細胞に作用を及ぼして疾患や症状に関わっている過剰な免疫反応の調整が図れ、炎症を抑える効果が期待されます。このメカニズムを利用したのが光線(紫外線)療法で、その中でも紫外線B波(UVB)だけを選択的に照射するのが「ナローバンドUVB療法」です。必要な波長のみを短時間で照射できるので、ブロードバンドUVBと比べると、熱傷や紫外線発がんなどの副作用が起こりにくいとされています。また当院には全身照射型と局所照射型の照射機器があり、患部の広さや症状に合わせて選択することができます。

Qこの治療法の対象となる症状や疾患は何ですか?
A

乾癬、白斑、アトピー性皮膚炎など、免疫異常が関係する疾患の改善が期待できます。当院では、症状が全身に広がる乾癬やアトピー性皮膚炎の患者さんでは全身照射を、また白斑の患者さんでは局所照射をご案内させていただきます。これらの皮膚疾患ではステロイドなどの塗り薬を使いますが、作用が強い薬ほど、副作用とのバランスを見極めながら上手に使う必要がありますし、塗り薬を広範囲に塗るのは手間がかかりますが、ナローバンドUVBによる治療は、発疹などの広範囲な皮膚症状の改善が見込める他、塗り薬のみで思うように改善が見込めないときに併用することも可能。塗り薬の量を減らしたりすることが期待できます。

Q治療期間について教えてください。
A

照射の量や時間は、症状や、患者さんの紫外線に対する反応によって大きく異なりますが、全身照射型の機器では1回あたり最も長くて2分程度ですし、局所照射型でしたら1ヵ所あたり30秒以内ですね。またどちらでも、開始当初は1回の照射量を少なめにして反応を確認し、必要量まで少しずつ増量していきます。最初はあまり間を置かず週に1~2回ほど照射することもありますが、徐々に2週間に1回や月1回程度へと間隔を広げます。ナローバンドUVB療法は慢性の皮膚疾患に対して行うので、症状の改善が見込めなければ終了しますが、少しずつでも症状の改善が見込める場合は、間隔を調整しながら照射を続けます。

検診・治療START!ステップで紹介します

1受診前に待合室で問診票へ記入
谷皮フ科 受診前に待合室で問診票へ記入

受付で問診票を渡されるので、項目に沿って記入する。症状については、「いつからか」「どの部分に症状があるのか」「どのような症状なのか」「これまでにどのような治療をしてきたか」などを詳しく記入していく。複数の異なる症状がある場合、それぞれについて経過を整理して記入できれば、その後の問診もスムーズに進みやすい。また皮膚疾患以外の持病や、現在飲んでいる薬などについても記入する。

2診察室で医師から問診
谷皮フ科 診察室で医師から問診

問診票に記入された内容をもとに、医師がより詳しく話を聞いていく。同時に、医師は患部を直接見て、時には触ったりにおいを確認したりしながら診断をつけていくので、患部が出しやすい服装で受診すると良いだろう。治療としてナローバンドUVB療法を検討する場合には、紫外線の感受性を確かめるために、普段からの日焼けのしやすさや、日焼けした際の皮膚の様子についても質問される。

3全身照射型ナローバンドUVBの照射
谷皮フ科 全身照射型ナローバンドUVBの照射

皮膚症状が広い範囲にあれば全身照射型を用いる。機器内は試着室ほどの広さで、前後左右の全方向に設置された42本のランプからナローバンドUVBが照射される。患者は照射部位に応じて服を脱いで皮膚を露出し、紫外線から目を保護するゴーグルや保護マスクを装着し、機器内に入る。機器内では壁面の手すりを持って立ち、症状に応じて最長で2分ほど、青紫色の光線の照射を受ける。照射が終わればその日の治療は終了。

4局所型ナローバンドUVBの照射
谷皮フ科 局所型ナローバンドUVBの照射

皮膚症状が狭い範囲に限られていれば、局所型の照射機器を用いる。照射は、診察室内で医師が行う。医師が持った機器の先端からナローバンドUVBが照射され、1部位につき最長で30秒程度照射し、部位をずらして照射を繰り返していく。なお、光線療法を始めると自発的に日光浴をする患者がいるが、必要な照射量を定めて治療を行っているので、日常生活において日光浴を増やす必要はないという。

5次回の受診時に経過を確認
谷皮フ科 次回の受診時に経過を確認

次回の受診時期については、毎回の診察の際に医師から指示があるのでそれに従う。診察では症状の状態や変化、副作用について確認があり、今後の照射量や照射間隔を決めていく。改善が見込める場合は、必要量に到達するまで照射量を徐々に増やし、患者のライフスタイルに応じて照射間隔を調整しながら定期的に照射を続けていく。

ドクターからのメッセージ

谷 守院長

皮膚疾患では塗り薬が治療の中心ですが、薬の作用と副作用とのバランスを見極める必要があります。また、患部が広範囲にわたると薬を塗るのも一苦労で、症状によってはなかなか改善が見込めないことも。そんな時に導入するのがナローバンドUVB療法です。当院には全身照射型と部分照射型の紫外線治療器があり、患者さんのニーズに応じた使い分けが可能です。さらに2023年からは内服や注射といった新薬治療にも対応。選択肢が多ければ治療法を選べますし、通いやすい地元のクリニックなら通院も楽にできると思います。皮膚科医療は日々進歩しています。少しでも症状を軽減したい患者さんは、ぜひお気軽にご相談ください。

谷 守院長 谷皮フ科
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