在宅でも幅広い治療が可能
自分らしく過ごせる訪問診療
みなとクリニック
(大阪市北区/天神橋筋六丁目駅)
最終更新日:2023/09/07
- 保険診療
病気や障がいで通院が難しい患者のもとに医師が定期的に出向く訪問診療。生活環境を大きく変えることなく療養ができること、入院や外来診療とほぼ同じような治療が可能になってきたことから、年々ニーズが高まっている。大阪市北区にある「みなとクリニック」は、外来診療を行いながら、訪問診療にも力を入れているクリニック。一般消化器外科を専門とする田中崇洋院長と総合内科と緩和医療を専門とする岡村知直副院長に加え、看護師や事務スタッフがチーム制で患者を支えている。田中院長に、同院で受けられる訪問診療の特徴やメリット、導入にあたって患者や家族が準備しておきたいことなどについて話を聞いた。
(取材日2023年6月6日)
目次
訪問診療も外来診療も行うクリニック。患者の状態によって切り替えも柔軟に
- Q患者さんにとって病院と在宅で受ける医療の違いは何ですか?
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A
通院が難しい方のために、医師が患者さんのご自宅や入所施設に定期的にお伺いするのが訪問診療です。当院では月に2回程度の診療を基本としていますが、患者さんの状態を見てもっとこまめに診察したほうがいいと判断した場合は、スケジュールの変更等や、緊急時は24時間電話対応や往診等で対応いたします。在宅でできる医療行為は、以前に比べるとかなり幅広くなっており、病院やクリニックで行っている処置の多くが訪問診療でも可能です。当院では点滴や注射、胃ろうの管理などのほか、採血検査や尿検査、心電図検査、超音波検査といった各種検査も可能です。傷の縫合や寝たきりの方に生じやすい、床ずれ(褥瘡)の外科的処置も行っています。
- Q訪問診療のメリットはどんなことがありますか?
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A
がん末期の方や寝たきりの慢性期の方で、病院に入院するか自宅で過ごすかという判断を迫られた患者さんによくお話しするのが、ご自宅での療養は、消灯時間などの規則がなく自由に過ごせるということです。新型コロナウイルスの感染拡大時において、医療機関はどうしても面会の制限をせざるを得ませんでしたが、ご自宅なら心置きなく家族や友人と過ごすことができるでしょう。自分のペースで生活できるのが一番のメリットだと思います。逆にデメリットは、病院のように近くに医療者がいるわけではないので、緊急時にタイムラグができる可能性があることです。また、介護をしてくれる身内の方などのサポートがある程度必要になってきます。
- Qこちらで行っている訪問診療の特徴を教えてください。
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A
一般消化器外科を専門としてきた私と、総合内科と緩和医療が専門の副院長、在宅医療の経験豊富な看護師、事務スタッフがチームを組んで診療にあたっています。患者さんごとに担当者を決めるのではなく、毎朝のミーティングでスタッフ全員が患者さんそれぞれの状態や診療方針を確認します。訪問診療と並行して外来診療を行っていることも特徴ですね。外来で来られていた方が年齢とともに通院が難しくなりそのまま訪問診療に移行したり、あるいは、在宅診療をされていた方が外来診療に切り替えたりと、臨機応変に対応できます。また、訪問診療を受けられている方がご自宅でできない検査が必要になった場合は、当院で検査を受けることができます。
- Q訪問診療を行う上で大切にしていることは何ですか?
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A
訪問診療の患者さんは症状の深刻な方も多いですから、時間を十分に取って診療し、患者さんやご家族の話に耳を傾けることを心がけています。治療とは直接関係ないことかもしれませんが、患者さんの生活スペースにお邪魔させていただくということを念頭に置いて、立ち居振る舞いにも気をつけていますね。患者さんにより近い距離で診察できるのが訪問診療のやりがいですが、一方で医療者として冷静な判断をするのも忘れてはならないことだと考えています。
- Q訪問診療を導入するにあたり、家族は何を準備したらいいですか?
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A
患者さんのご年齢が上がり、これまでできていたことができなくなったり、状態が急に悪化した時には、そのまま家で過ごすのか、施設入所や入院を希望するのか、ご家族で話し合っておくことをお勧めします。もちろん、ご家庭の事情も心境も時とともに変化するもので、事前に話し合ったとおりにはならないこともあります。ただ、訪問診療の導入を機にそうしたことを相談しておくことは今後の人生を考える上でプラスになりますし、私どもも診療方針を立てやすいです。あとは実務的なことですが、保険証券や銀行通帳など重要書類は事前に探してまとめてくださると助かります。病状が重い方は、早めに高額療養費制度の申請をしておくといいでしょう。