全国のドクター9,253人の想いを取材
クリニック・病院 158,515件の情報を掲載(2024年6月02日現在)

  1. TOP
  2. 愛知県
  3. 豊田市
  4. 梅坪駅
  5. 医療法人 田中小児科医院
  6. 田中 健一 院長

田中 健一 院長の独自取材記事

田中小児科医院

(豊田市/梅坪駅)

最終更新日:2023/09/29

田中健一院長 田中小児科医院 main

豊田市中心部から国道155号線を北へ進むと、右手にれんが色の建物が見えてくる。「田中小児科医院」は、46年前に栄生町に開院して以来、子どもたちの健康を支えてきた地域に密着したクリニックだ。昨年、3代目院長の田中健一先生に交代したばかりだが、2代目院長は副院長となって、現在は親子二人三脚で、地域医療に励んでいる。「祖父の代から子どもを診てもらっているというおばちゃんが、お孫さんを連れて来院されます」と話す田中院長は、大学病院でアレルギー疾患に取り組んできた。田中院長自身もアレルギーをもっていることから、アレルギーについて勉強するようになったという。3人の子どもの父親でもある田中院長に、クリニックの歴史や診療方針、アレルギー疾患について話を聞いた。

(取材日2019年11月27日)

患者とその家族に喜んでもらえることがやりがい

まずは、この医院の成り立ちを教えてください。

田中健一院長 田中小児科医院1

当院は、私の祖父が1976年に開業しました。名古屋市の出身の祖父は、現在の大阪医科大学を卒業後、戦争に徴兵されました。戦後は名古屋大学に入局し、そこから加茂病院(現・豊田厚生病院)の勤務医となり、開業するまで働いていました。長年、豊田市でお世話になってきたという経緯もあり、開業の地にこの場所を選んだのだと思います。その後は、父が後を継ぎ、2000年に改装をしました。長年、この地で小児科医療を続けていることもあり、地域の方々から親しまれ、今では、祖父の代から来院してくださっているおばあちゃんが、お孫さんを連れて来られるようになりました。昨年からは私が院長となり、現在は副院長となった父と2人体制で診療にあたっています。 

開業時から来院されるご家族も多いのですね。どんな疾患、患者さんが多いですか?

風邪などの感染症の患者さんがほとんどですね。木曜をアレルギー相談の日にしているので、アレルギー疾患の方も多いです。食物アレルギーをはじめ気管支喘息や花粉症、アレルギー性皮膚炎は慢性の疾患なので、吸入指導や塗り薬の使用方法など、状態を見ながらお子さんに合った治療をしています。患者さんの層としては、地域の方がほとんどで、「自分が子どもの頃から通っているから、自分の子どももここに」という患者さんもいらっしゃいます。私は院長になったばかりですので、まだまだ父の存在は大きいですね。開業医として長年の経験がある父が隣の診察室にいて相談に乗ってもらえるので、広い視野で診断ができます。

医師になったきっかけとしてお父さまの影響は大きいと思いますが、小児科を選んだのも後を継ぐためですか?

田中健一院長 田中小児科医院2

もちろん、代々小児科を開業しているので、医師になったのも祖父や父の姿を見て、「自分も医師になる」というのは子どもの頃から自然の流れでした。大学卒業後の研修の時に、ほかの診療科もいろいろ経験しましたが、一番魅力を感じたのが小児科だったんです。小児科の場合、大切なお子さんの健康を守る重責がある中で、治療を終えた際にはたいへん感謝されるところにやりがいを感じました。患者さんだけでなく、ご家族からも喜ばれ、次の診療への励みにもなります。

大学病院でアレルギー疾患を専門に取り組んだ13年間

院長になるまでは、どんな経験を積まれたのですか?

田中健一院長 田中小児科医院3

藤田医科大学で研修を2年、豊川市民病院で1年間勤務した後、豊明市の藤田医科大学病院を経て名古屋市の藤田医科大学ばんたね病院に勤務しました。藤田医科大学病院に勤務した頃から、取り組んでいたのはアレルギーの疾患です。アレルギーの疾患は年々増えているので問題点も多いと考え、アレルギー疾患を専門に臨床経験を積み、わずかながら研究を行ってきました。私自身もアレルギーを持っているので、興味があったというのも勉強するきっかけになりましたね。アレルギーの中でも、食物アレルギーのお子さんが増えていて、勤務医時代の経験は今も大いに役立っています。

増加傾向にあるという食物アレルギーについて教えてください。

アレルギーは慢性的な病気なので、治療が難しいのですが、食物アレルギーの場合は自然に食べられるようになることもあります。乳児期には、食べるとアレルギー症状が出ていた食品が、幼稚園や小学校に入る頃には食べられるようになっているケースです。検査の数値が上がっていると、ご両親はアナフィラキシーショックという強いアレルギー症状が起こるのではないかと怖くなり、過剰に除去をしていることもあります。また、例えば卵だと、ゆで卵1個は食べられないけど、8分の1個くらいなら食べられる場合があることや、逆に1gも食べられない場合もあるように、食物アレルギーは個々人で重症度が違います。数値が高かったからと言って完全にその食物を排除するのではなく、医師に相談して、どの程度除去すべきかを判断してもらうといいでしょう。家で食べさせるのが怖いという場合は、クリニックで卵を食べてもらって症状を確認するという検査も可能です。

中には本当にアナフィラキシーショックを起こすケースもあると思いますが、どのように判断するのですか?

田中健一院長 田中小児科医院4

軽症の方から重症の方まで含めた広い意味での食物アレルギーの患者さんは比較的多いのですが、少ないものの中には少量食べただけでも、アナフィラキシーショックを起こすような重症な食物アレルギーの方がいらっしゃいます。そういう場合は、どんなものをどのくらい食べたのか、どんな症状が出たのか、どのような治療を受けられたかなどから重症なのかどうかをある程度判断できます。多くの場合、発症して救急の病院に行かれるので、そういった経験のあるお子さんには、お話を聞いた上で、一定期間は食べるのを控えてもらいます。じんましんが出ても、それが本当にその食物からなのかという判断は、医師でないとわかりませんので、お母さんが食物アレルギーだと決めつけるのではなく、医師に相談することが大事かと思います。私は、お子さんが日頃から食べているものやその時の反応などを細かく保護者から聞いて、食べて良いかどうかを振り分けています。

今後も地域で頼りにされる存在であり続けたい

診察時に気をつけていることはありますか?

田中健一院長 田中小児科医院5

保護者の方への丁寧な説明はもちろんですが、お子さん本人が納得して治療を受けることが大事ですので、可能な限りお子さんにも理解できるように話をします。それでもどうしても注射を嫌がる場合は、スタッフの手を借りながら治療を進めることになりますが、当院のスタッフは父の代から長く勤めている者ばかりなので、患者さんのこともよく理解していますし、私も安心して任せられます。食事や入浴など細かな生活面の話は看護師がお伝えしていますが、看護師も皆、子育て経験者ですから、お母さんたちも話しやすいようですね。私自身も3児の父ですから、親御さんの立場になって考えるようにもしています。

読者へのメッセージをお願いします。

今はインターネットなどで簡単に情報を得ることができますが、先ほどもお話ししたように自己判断で特定の食物を除去したり、あるいは食べさせたりするのは、過剰な除去をしていたり、強い症状が出ることもあります。まずは医師に診断してもらい、その正しい情報を得ることが大事です。正しい情報をお母さん方が得て、その上でどんな治療がベストかを一緒に考えていきたいです。ご家庭の事情や考え方もあると思うので、私は無理に自分の考えや治療を推し進めることはありません。もちろん、新しい情報も随時お伝えして、親御さんが自分で判断できるお手伝いはしますので、ぜひご相談ください。診療する上で、患者さんには親切、丁寧にというのをいつも心がけています。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

田中健一院長 田中小児科医院6

地域とともに成長してきたクリニックですので、今後も患者さんが満足して帰れるようなクリニックであり続けたいですね。予約の取り方もここ数年でインターネット予約に変わり、待ち時間も短縮されています。今後はさらにその流れをくんで、新しい取り組みをしていければと思います。例えば、クリニックに足を運んで待合室で待って、ということは患者さんには時間も労力もかかることですが、もしオンラインで診療ができれば負担は減りますよね。そういったことも積極的に取り入れていきたいと考えています。医療の面でも、アレルギー疾患の新しい治療法が登場したりと日々進歩していますので、勉強会に参加して情報をアップデートしながら新しい医療に対応していくつもりです。

Access