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荒川 恭宏 院長の独自取材記事

荒川医院

(安八郡輪之内町/新羽島駅)

最終更新日:2024/06/03

荒川恭宏院長 荒川医院 main

安八郡輪之内町にある「荒川医院」は、田畑が広がる町並みの中で、40年以上にわたり地域医療を支えてきたクリニックだ。院内に入ると、大きな振り子時計がその歴史を物語るように時を刻んでいる。2代目院長の荒川恭宏(あらかわ・たかひろ)先生は、父の荒川迪生(みちお)先生とともに母、荒川淳子(きよこ)理事長が築いた同院を守り続けている。基幹病院の消化器内科で研鑽を積んだ荒川院長がめざすのは、初期の診察を大きな病院と同じようなレベルで行えるクリニック。「先進の検査設備と常勤の臨床検査技師による体制で、早期発見もできるようになりました」と、話す荒川院長に、同院の特徴や取り組みについて聞いた。

(取材日2024年3月29日)

質の高さを重視した検査と診断で、地域医療に貢献

40年以上、地域に根づいて診療を続けてきたのですね。

荒川恭宏院長 荒川医院1

小児科の医師である母が当院を開業したのは、私がまだ3歳の時でした。約20年後に、岐阜大学医学部附属病院に勤務していた父が診療に加わりました。循環器内科と呼吸器内科を専門とする父が加わったことで、高血圧や心不全などの病気の方も多く診療するようになりました。2017年から私も診療を手伝うようになり、2019年には母の後を継いで院長になりました。私は、大垣市民病院や名鉄病院、名古屋大学医学部附属病院の消化器内科で専門的な知識や技術を磨いてきましたが、「生まれ育った場所に戻って地域医療に取り組んでいきたい、両親が元気なうちに引き継ぎたい」という思いもあり、開業医となることを決めました。現在は、父と2人体制で診療しています。

医師2人体制での診療なのですね。

母が診ていた小児科の患者さんは私が引き継ぎました。私は園医や学校医もしており子どもが好きなので、泣いているお子さんが笑顔になるように接することをめざしています。父には主治医として信頼している患者さんを引き続き診てもらっています。父にはコアなファンがついていますからね(笑)。また、検査を専門とする臨床検査技師が1人常駐しています。心エコーや頸動脈エコーの検査はテクニックを要しますから、専門のスタッフによるスピーディーな検査で適切な診断につなげることができます。看護師は5人で、皆注射や採血等の手技も適切で、患者さんにも優しく接してくれています。中には、私が小学生になる前から勤務しているベテランの看護師もいて、患者さんのことも私の成長も知り尽くしています(笑)。また事務スタッフは、皆スキルアップに熱心で最新の情報収集をしており安心して業務を任せることができ、笑顔で明るく受付業務をしています。

先生はどうして消化器内科を専門にされたのですか?

荒川恭宏院長 荒川医院2

消化器内科は扱う臓器が多く、食道から大腸までの消化管だけでなく、肝臓、膵臓、胆のう等の臓器を幅広く診る必要があり、クリニックであっても、市民病院や大学病院と同等の検査や一部治療ができる分野ですので、やりがいを感じたからです。日本も食生活の変化とともに、今後もますます消化器の病気が増えてくるのではないでしょうか。医師になったばかりの頃は、父の影響で循環器内科にも興味をもっていましたが、最終的には幅広い分野の診察ができる消化器内科に一番関心を持ちました。研修医の頃に出会った消化器内科の先生の熱心な指導と、とても明るくて面白い雰囲気も、関心を持った理由の一つですね。

胃カメラと大腸カメラを導入し、日帰りポリープ切除も

このクリニックで診療するようになってから、どんなことに取り組まれましたか?

荒川恭宏院長 荒川医院3

一番の取り組みは、上部・下部消化管内視鏡を導入したことです。これまで近隣で内視鏡検査を受けることができなかったため、クチコミで検査を希望される方が増えました。経鼻内視鏡は、管の直径が約6ミリで、経口内視鏡と比べて細く、舌根部に触れないため嘔吐反射が軽減されます。内視鏡検査は苦しいというイメージがある方でも、思ったより楽に受けていただけるのではないでしょうか。患者さんの多い大きな病院での検査に比べると、当院では一人ひとりに合わせた柔軟な対応が可能です。できるだけ苦痛に配慮し、丁寧な検査を心がけるようにしています。また、大腸内視鏡では検査中に見つかった小さなポリープの切除も行いますので、患者さんの負担軽減にもなっていると思います。つらいとか怖いとかで検査を敬遠されがちなので、希望者には鎮静剤も使います。うとうとした半分眠ったような状態で受けられるので、苦痛もほとんど感じません。

検査体制を充実させているのですね。

血液検査やレントゲン、心電図等の基本検査に加え、CTやエコー、肺機能、血管伸展性、骨密度等の検査にも対応できるよう、機器をそろえています。CTなどは、近隣のクリニックの患者さんも紹介で検査に来られています。迅速かつ適切に、慢性疾患の多い循環器、呼吸器、消化器の患者さんの異変を見逃さないよう、さまざまな検査機器は欠かせないものなので、開業当初から設備は充実していました。特にエコー検査は、すぐに臨床検査技師に依頼できることも強みですね。他の施設では予約制で、後日行うということもある検査ですから。臨床検査技師は、エコー検査以外にも、ホルター心電図の初期解析や、尿の顕微鏡検査等もしていますので、より踏み込んだ検査と診断ができます。

診療の際は、どんなことを心がけていますか?

荒川恭宏院長 荒川医院4

説明をするときは、カルテやパソコンを見るのではなく、きちんと患者さんの目を見て話すことが大事だと思っています。また、検査も大切ですが、触れたり音を聞いたりといった感覚も重視しながら総合的に診断し、当院でできること、できないことをしっかりと見極めていくことも重要だと考えています。検査で異常が見つかり精密検査が必要な場合や新しい治療が必要な場合は、大垣市民病院などの提携病院へご紹介させていただくなど連携体制も整えています。地域医療というのは、地域の基幹病院やさまざまな診療科の先生との横のつながりも大切です。私はお酒やゴルフが好きなので、趣味を通じて日頃から地域の先生方とコミュニケーションを取りつつ、情報交換をするようにしています。

地域に密着し生涯にわたり患者の健康をサポートする

訪問診療もされているそうですね。

荒川恭宏院長 荒川医院5

もともと母が院長だった頃から、高齢になって通院できなくなった患者さんのために訪問診療を行っていました。地域医療では、高齢者の在宅医療は切り離せないですからね。私は訪問診療の経験がなかったので、最初は母について訪問していました。訪問診療では、外来の診察ではわからないようことも見えてきますし、家族の話を聞くこともできますから、「薬ではなく生活環境を整えるだけでよくなることもある」ということに気づくことができました。患者さんやご家族が喜んでくださることも、とてもうれしかったです。こういった経験は、病院勤務の頃はなかったこと。在宅医療の医師と看護師の体験について書かれた本とも出会い、自分の経験も重ねて感動したり、共感したりもました。後輩ですが、在宅医療の先輩としていろいろと教えてもらえる医師も近くにいて、励みになっていますね。

訪問診療ではどのような診療をされているのですか?

基本的な診察以外にも、がん患者さんの痛みのコントロールをしたり、腹水を抜く処置で楽にして差し上げたりと、専門性を生かした治療もしています。最近、スマホ程度の大きさのポータブルエコーを導入しました。心臓の周りや肺やおなかに水がたまっていないかを確認して安全性に配慮して処置を行ったり、心臓の動きを評価して病状を把握することできるのでとても機能的です。訪問診療は基本的に昼休みに行いますが、必要な場合は夜間の往診もできますし、自宅で最期を看取らせていただくこともできます。患者さんご本人が自宅での最期を望んでおられても、ご家族の協力がないと在宅医療は続きませんから、ご家族の方としっかり連携しながら続けていきたいですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

荒川恭宏院長 荒川医院6

お仕事や家事などで忙しく、自分のことは後回しになっている方も多いと思いますが、体の状態にも意識を向けてほしいですね。当院は、専門的な検査や診察をさせていただいた上で、的確な診断につなげ、治療方針を立てていきます。また、より詳細な検査や治療が必要と判断した場合には、提携病院を紹介しますのでご安心ください。新生児から在宅医療が必要になった高齢の方まで、幅広い年齢の患者さんを診ています。病院を嫌がるお子さんであっても小さな悩みであっても、遠慮なくお気軽にご相談ください。

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