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後藤 尚己 院長の独自取材記事

後藤クリニック

(岐阜市/切通駅)

最終更新日:2024/05/07

後藤尚己院長 後藤クリニック main

名鉄各務原線切通駅より徒歩2分の場所にある「後藤クリニック」。循環器内科を中心に呼吸器内科、内科の診療を行う地域のかかりつけ医だ。後藤尚己院長が現在の場所に開業する以前にも、代々医師を家業としてきた後藤家。後藤院長で13代目にあたるのだという。「この土地で育ってきたので、顔見知りの近隣の方も多いです」と話す後藤院長。長年、総合病院の循環器内科に勤務し培った知識を地域住民に還元し、心筋梗塞や脳梗塞などの予防に向けて力を入れる。循環器を専門とする医師としての顔を持つ後藤院長が取り組む検査や生活改善アドバイス、新しく設置した発熱患者を対象とした外来などについて話を聞いた。

(取材日2024年2月13日)

発熱患者対象の外来を設け、患者が安心できるよう配慮

江戸時代から続く医師の家系だと伺いました。

後藤尚己院長 後藤クリニック1

もともとは今の場所ではなく、関ケ原町や関市で先祖が医師をしていたそうで、私で13代目にあたると聞いています。祖父も父も医師でしたし、親戚にも医師になった者が多いんです。そんな環境で育ってきたので自然とこの道を選びました。開業してからは小さい頃から顔見知りの方も私を頼って来てくれますね。「他の病院でこういう薬を出されたけどどう思う?」「この治療でいいと思う?」「耳鼻科に行きたいけれど、どこの病院がいいと思う?」といった相談にも対応しています。患者さんとのやりとりの中から関係を積み重ねていける医師という職業は、とてもいいなと思っています。私は小さな相談にも応じることこそが、本来のホームドクターの役割だと思います。患者さんが私に対して求めていることに、少しでも応えていきたいですね。

どんな症状で来院される方が多いですか?

私の専門は循環器内科なので、循環器疾患を専門とする医師を探して来られる方が多いですね。最近は高齢化による高血圧症の患者さんの増加に伴い、心不全の患者さんが多くなっています。発症早期や予備軍といわれる段階から薬物治療を行い、症状を悪化させないための治療が主流です。β遮断薬やアルドステロン拮抗薬、ARNI、SGLT2阻害薬をはじめ、心不全の治療薬は時代とともに進歩しています。当院でも高血圧症など心不全の素因を抱えている患者さんに対して、適切なタイミングで薬物治療を導入し、心不全の症状の予防につなげたり、症状がある場合は悪化しないように継続的に診療したりしたいですね。大学院生時代には呼吸器の研究をしていましたので、喘息などの呼吸器疾患の患者さんも多くいらっしゃいます。地域に根差した開業医なので、専門分野に限らずさまざまな疾患を診ています。

発熱患者さん専用の部屋を新設されたそうですね。

後藤尚己院長 後藤クリニック2

今までも感染症対策には努めてきましたが、患者さんにより安心して受診いただきたく思い、発熱患者さん専用の診察室を2つ新設しました。裏口から入る造りで、検査や診察、薬の処方から会計までこの部屋で完結しますので、発熱患者さんが一般の患者さんと接することなく受診できます。換気などを十分に行う必要があることから、平日の午前中に時間帯を3つに分けて運用しています。ご家族であれば2人以上で同じ部屋に入ることも可能です。受診前にクリニックへ電話で連絡をしていただくようお願いしています。

循環器疾患に関する検査を充実させリスクを見極めたい

こちらで実施されているFMD検査についてお教えいただけますか?

後藤尚己院長 後藤クリニック3

FMD検査は、血管の動脈の表面にある内皮細胞の機能評価を行う検査です。内皮細胞の機能がしっかりしていないと、内皮細胞に覆われて存在しているプラークという水膨れのようなものが不安定になり破綻を起こしやすくなります。破綻を起こすと、その部位に血栓が形成されて心筋梗塞や脳梗塞の原因となります。もう一つ注目されているのは、プラークの発生における炎症の関与です。血管に動脈硬化が起きる時にも内皮細胞に障害が起こり、プラークの発生と破綻に関与するとされているんです。そのような症状になる時には、内皮細胞障害が起こっているはずですので、FMD検査で確認します。対象者は高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病があって、動脈硬化を起こす予備軍の方。また、動脈硬化がある場合も、今後悪化しやすい状態にあるかを見極めるために実施します。血管がけいれんを起こすようなタイプの狭心症に対してもFMD検査を行います。

FMD検査の次の段階で実施される検査についても教えてください。

FMD検査を行って血管の内皮細胞の機能が悪いと認められた方は、実際にプラークがあるかを確かめる必要があります。そのため、次の検査として超音波検査を行います。当院の場合、頸動脈へはもちろん、他の血管にも超音波検査を行います。頸動脈だけでは脳梗塞が起こる可能性は見つけられても、心筋梗塞の可能性まではなかなか見つけられません。右腕に大動脈から分かれた腕頭動脈という血管があり、それが右鎖骨下動脈と右総頸動脈に分かれるのですが、その分岐点も確認します。腹部大動脈も観察できる体型の方は、そこも診察します。その辺りに大きく膨らんだプラークがある場合、心臓の冠状動脈にも動脈硬化があることが多いので、さらなる精密検査をお勧めしています。

検査で自身の血管状態について数値化や視覚化がされると、患者さんの意識も変わりそうですね。

後藤尚己院長 後藤クリニック4

そうですね。数値化・視覚化されると、ご本人のリスクへの自覚にもつながります。心臓の筋肉の細胞と脳の神経細胞は自己再生能力がなく、一度死んでしまうと元には戻りません。最近では再生医学という言葉も広まっていますが、実用化されるのはまだ先の話です。だからこそ心筋梗塞や脳梗塞は起こさないのが理想で、リスクを把握して対策を取ることが重要です。そのため、普段の診察では食事と運動のアドバイスもしています。塩分制限が必要な場合、尿検査をすれば現状が把握できます。「1日の塩分摂取量を何グラムまでに」ではイメージが難しいので、「おかずにかけるソースの量はこれくらいに減らしてくださいね」などと、具体的に伝えています。

何でも相談してもらえる存在でありたい

他にはどのようなアドバイスをしていますか?

後藤尚己院長 後藤クリニック5

私自身は、腸内環境を整えることが大切なのではないかと思っています。腸の中には善玉菌と悪玉菌がいて、善玉菌が好む餌は水溶性食物繊維です。悪玉菌は逆にそれを餌にできません。なので、食事中は葉物野菜やキノコ類などの食物繊維が多く含まれる物を先に食べることをお勧めしています。他に、筋肉を鍛える運動が重要だと考えています。これまでホルモンは内臓のみから作られると思われてきたのですが、筋肉からも多種多様のホルモンが出て血管などを守っていることがわかってきました。それらは動脈硬化や血管の内皮細胞などを保護するという報告もあります。特に太ももなどの大きな筋肉を鍛えることで、日常動作が楽になったり、呼吸器疾患の症状の改善につながったりすることが期待できるかもしれません。

患者さんと接する上で心がけていることはありますか?

患者さんが何を求めて来院されたのかを見極めることを意識しています。病気に対する知識の有無にも個人差がありますので、どこまで理解をしているのか確認し、もし間違っている点があれば正しい方向へ軌道修正をします。こちらからのメッセージに対して患者さんの反応が良くない時には、気がかりな点があるのかもしれません。そういった違和感を見逃さないことも大切です。精密な検査をしたいのか、そこまでは望んでいないのかといった希望もお聞きして、治療方針を決めていきます。

最後に地域の方へメッセージをお願いします。

後藤尚己院長 後藤クリニック6

ウォーキングなどの運動習慣を欠かさないよう意識していただきたいですね。ドイツの「クアオルト(健康保養地)」で運動療法として行われているウォーキングをもとに考案された、健康づくりのためのウォーキング法がありますが、岐阜市にはそのようなウォーキングのためのコースが整備されています。また、私自身昆虫採集が趣味なので、動物が好きな方には動物が見られるスポット、植物が好きな方には野山など、お勧めのウォーキングコースを患者さんに紹介しています。お買い物が好きな方であれば、ウインドーショッピングも良い運動になりますよ。出かけるのはハードルが高いご高齢の方は、椅子に腰かける時にドスンと座らずに、10秒くらい時間をかけて座るようにしてください。筋力を鍛えることにつながり、スクワットと同じような効果が期待できますので、フレイル予防が図れます。楽しみながら運動を習慣化していただけたらと思います。

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