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林 健志 院長の独自取材記事

元町内科医院

(富山市/不二越駅)

最終更新日:2022/02/22

林健志院長 元町内科医院 main

内科全般と腎臓疾患の専門的な治療、人工透析に対応している「元町内科医院」は1973年開業。2009年からは2代目の林健志先生が院長を努めている。日本腎臓学会腎臓専門医の資格を持ち、母校の順天堂大学の腎臓内科やその関連病院など数多くの腎臓疾患を手がけてきた林院長。地域の開業医となってからは、透析患者など同院をかかりつけにする人たちのホームドクターとして、心の通った診療に努めている。林院長に、同院の特徴や、専門である腎臓疾患の診療について詳しく話を聞いた。

(取材日2022年1月13日)

患者が受診しやすい環境をソフト・ハード両面で追究

お父さまから医院を引き継がれたそうですね。

林健志院長 元町内科医院1

当院は1973年に父が開業した、内科と人工透析を行う地域のかかりつけ医院です。私自身は大学卒業後、東京の大学に勤務していましたが、いつでも父を手伝えるようにと、2004年に富山に戻ってきました。富山大学の第2内科、その後、2つの基幹病院で勤務した後、2008年に当院の副院長となり、2009年から院長を務めています。代替わりをしてから医院の診療スタイルが大きく変わったということはありません。医学は進歩しているので、医療機器や治療技術に関しては変化せざるを得ませんが、基本的な診療スタイルは父がめざしていた「地域に根差した温かい医療」という意志をそのまま今に引き継いでいます。

患者さんは地域の方が多いのでしょうか。

はい。この清水校下エリアは、富山市でも平均年齢が高く、高齢者が多い地域なんですよ。ですので、高齢の方や当院の特徴でもある透析の患者さんが受診しやすい環境整備、雰囲気づくりの一環として、私が院長に就任した2009年に医院の改装を行いました。以前の診療所は、いわゆる昔の診療所で、コンクリートのちょっと寒々しい無機質な内装で段差もあったのですが、それをバリアフリーにして、明るい木目のフローリングに木の扉・戸棚を配置し、見た目に温かい優しい雰囲気の内装に仕上げてもらいました。

コンシェルジュ的な役割のスタッフさんがいらっしゃると伺いました。

林健志院長 元町内科医院2

ご覧のとおり院内は結構な広さですし、院内を大幅にリニューアルしたこともあり、久しぶりに受診された方やご高齢の患者さんは「私、次はどこ行けばいいの?」と悩まれたり、迷子になったりする人が何人かいらしたんです。そこでスタッフと相談し、受付の1人をコンシェルジュのような案内係にすることにしたのです。院内が密にならないように患者さんの数をコントロールしながら誘導してくれていますし、ご高齢の方には自動精算機の使い方もサポートしています。おかげで受付から診療、お会計までがスムーズに進み、患者さんの待ち時間の短縮にもつながっているようです。

人工透析では自宅で過ごすようにくつろげる環境を整備

先生が医師を志したのはいつ頃だったのでしょう。

林健志院長 元町内科医院3

実は幼稚園の頃から医師になろうとは思っていました。ただ、周りにはそれがずっと言えなかったんです。というのも、開業医の子はどうしても周りの人たちに「将来は医者になるんでしょ?」と見られ、それが子ども心に嫌だったし、照れのようなものもあって、小学校の卒業名簿に「将来なりたい職業は大学教授」と違うことを書いたり(笑)、そういう葛藤を経て、この道に進んだわけです。医学部卒業後は内科を専攻し、その中でも腎臓内科を専門に選んだのは、父が腎臓内科の医師で、内科と人工透析を行っている施設を運営していた家の事情もありますが、それとは別に、腎臓が人間の体にとって非常に大切な臓器であることも大きな理由です。腎臓が機能しなくなると各臓器にいろんな影響が出てくるんです。ですので、腎臓病を極めればほかの病気についても理解が深まるんじゃないかと考え腎臓病を専門に選びました。

ご専門である腎臓疾患にはどのようなものがありますか?

腎炎や慢性腎臓病、腎不全が代表的な腎臓疾患です。腎臓はおなかの背中側に近いところにあり、大きさはご自身の握りこぶしより一回り大きいくらい、そら豆みたいな形をしています。老廃物を排出し、必要な物質を再吸収するほか、血圧を調整し、血液を作るのに必要な物質を分泌します。簡単に言うと、おしっこで出さなければいけない尿毒素や老廃物や水が体に残り、それがたまるとほかの臓器に悪い影響を及ぼすのです。尿検査や血液検査でわかる方も多いのですが、痛みなどの自覚症状がほとんどないため、早期発見が難しく、気づいた時には透析が必要となるまで進行していることも。ですので診察では、腎臓疾患が進行したら透析に至るリスクも含めて丁寧に説明してから検査を進めていきます。

こちらの人工透析の設備や特徴についてお聞きします。

林健志院長 元町内科医院4

当院では、16台の透析用ベッドを備え、通院透析、夜間透析に対応しています。富山市では近年、夜間透析に対応している施設が減少傾向にあり、夜間透析が受けられる場所は限定的になってきます。人工透析は一度始めたら生涯続く可能性が高い治療です。多い人で週3回、1回の透析にかかる時間は4〜5時間で、その間ずっと針を刺した状態で、ベッド上にいなければならないですから、患者さんの苦痛や負担は相当なものでしょう。なので、少しでも楽に快適に透析を受けてほしいと、当院では各ベッドにテレビを1台ずつ設置していますし、無線LANを入れてインターネットもお使いいただけるようにしています。小さなことですが、まるでご自宅で透析を受けているような、そんな環境をご用意しています。隣のベッドの人とお話をしたり本を読んだり、透析しながらお食事したり、思い思いに過ごしていただけたらと思っています。

透析中に食事も取れるのですか?

当院では透析患者さんに自院調理で給食をお出ししています。普段から厳しい食事制限がかかっている透析患者さんのために、当院の管理栄養士がメニューを組み立て、調理師が腕によりをかけ、味はもちろん、見た目もおいしそうな給食を作ってくれています。

家族の健康を守るホームドクターとして活用してほしい

休日の過ごし方、健康法などあれば教えてください。

林健志院長 元町内科医院5

それがまったくの無趣味でして、老後どうしようかと困っています(笑)。とは言っても、外に出かけることは好きですし、食べることも好きで、アルコールも飲みます。休日は好きなことをして、ゆっくり過ごして体を休め、仕事に備えているといったところでしょうか。あと、生活習慣病の患者さんに生活指導や食事指導をする立場上、自分が太っていてはいけないという意識はずっとあって、体づくりのためのトレーニングも心がけています。余談ですが、私は30代の時に体重を17キロ落とし、その体重を20年以上維持しているんですよ。

それはすごいですね。自分の経験を交えて患者さんにアドバイスすることも?

そうですね。生活習慣病の高血圧症、脂質異常症、糖尿病は、いずれの病気も腎臓病につながる病気ですから、診療ではその可能性を踏まえ、患者さんが全身の管理をできるようにサポートしています。生活習慣病を指摘された方は、皆さん自分の何が問題か、ちゃんとわかっていらっしゃるんですが、「生活習慣病を改善するには、こうしなきゃいけない」というイメージが頭の中にでき上がってしまっているんです。しかし、そこまでストイックにならなくても、できることはいっぱいありますので、ハードルをいきなり上げるのではなく、「こんなことから始めてみませんか?」と取りかかりやすいことから提案するようにしています。最初の一歩がうまくいけば、それが次のステップにつながる。このプロセスが大事だと思っています。

先生が、地域のかかりつけ医として大切にしていることは何ですか?

林健志院長 元町内科医院6

患者さんは地元の方が多く、例えば、その方のご両親やおじいちゃんおばあちゃん、お子さん、お孫さんと家族ぐるみでかかられている方が多いので、診療時は、家系図をたどるように家族構成を頭に入れています。そして診療では、お仕事や趣味など、病気以外のことも事細かに伺って、カルテにメモしておくんです。次の診療の時に「そういえば最近のお仕事どうですか?」「お孫さん、どうしていますか?」という感じで話を振ると、患者さんもいろいろお話ししてくださるので、心を開いてくださっている証拠かなと受け取っています。まずは自分から心を開き、やわらかい対応で患者さんが話しやすい雰囲気をつくる。診療とはいえ人間同士の対話ですから、心が通ってないと患者さんも心を開いてくださいません。患者さんが緊張や不安を感じることない、和やかな診察を心がけていますので、なんでもご相談ください。

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