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石原 宏尚 院長の独自取材記事

石原医院

(藤沢市/湘南台駅)

最終更新日:2023/09/19

石原宏尚院長 石原医院 main

湘南台駅から徒歩13分、落ち着いた住宅街の中にある「石原医院」。2代目院長の石原宏尚先生自身、この場所で生まれ育ったこともあり、近隣住民に寄せる思いは深い。20年以上にわたり家族に接するように根気強く診療にあたってきた。一方、専門としている糖尿病に関しては遠方から訪れる患者も少なくない。インターネット等で情報を入手しやすい時代だからこそ、適切な治療へと患者を導くために心を砕いている。地域のかかりつけ医であり、糖尿病に強みを持つ医師でもあるという、2つの特性の相互作用によって構築された診療へのこだわりとはどのようなものなのか。すみずみまで磨き上げられた清潔で心地良いクリニックで、詳しく話を聞いた。

(取材日2023年9月1日)

長年にわたり頼りにされてきた地域のかかりつけ医

まず、医師をめざしたきっかけやご経歴を教えてください。

石原宏尚院長 石原医院1

父がここに開業した時、僕はまだ4歳で、自宅兼クリニックということもあり、看護助手の母と二人三脚で働く姿を間近に見ながら育ちました。自然と医師をめざすようになり、小学校の文集にはもう「将来の夢は内科の開業医」と、書いていましたね。いずれは後を継ごうと思っていましたが、国家試験に合格した2週間後に父が他界してしまい、僕の修行期間はしばらく閉院せざるを得ませんでした。昭和大学藤が丘病院では内科内分泌代謝科に入局。糖尿病を専門にしたのはちょうど他疾患との関連性が注目され始めた時代だったのと、この病気を抱える家族がいたのも影響しているかもしれません。5年ほど研鑽を積み、1997年にようやく再オープンの運びとなりました。

ご近所の方々も再開を喜ばれたのではないでしょうか。

全面改装をして再開業した時「待っていました」などと言っていただけたのは、励みになりましたね。今でも父の代からの患者さんもいらっしゃいますし、そのお子さん、お孫さんなど、ご近所のさまざまな方がホームドクターとして利用してくださっています。うちの子たちが小さかった頃はお子さんもよく診ましたが、この頃はエリアの高齢化も進みシニア層が中心です。一方、専門としている糖尿病に関しては遠方からの患者さんもいます。もちろん、糖尿病に関する専門性は当院の強みではありますが、同じくらい大事にしているのが何でも相談できるかかりつけ医としての役割です。

コロナ禍以降、かかりつけ医の重要性が再認識されています。

石原宏尚院長 石原医院2

受診控えは、新型コロナウイルス感染症だけではなくさまざまな疾患を悪化させかねないので、すぐに相談できるかかりつけ医を持つことは大事です。かかりつけ医は患者さんのこれまでの病歴、家庭環境、生活習慣などをよく理解しているので、新しい病気にかかったり慢性疾患が悪化したりした時も、一人ひとりに迅速に対応できます。当院でも「膝が痛い。先生のところじゃないと思うけど、とりあえず来た」といった患者さんがいれば整形外科に紹介しますが、これこそかかりつけ医の活用法です。患者さんが多種多様な悩みを気兼ねなく相談できるよう門戸を開けておき、必要な医療機関につないでいくのもまた、かかりつけ医の重要な務めですから。藤沢市民病院、藤沢湘南台病院、横浜国立医療センター、湘南鎌倉総合病院、湘南慶育病院などを紹介していますが、治療後の経過観察などはまた当院に帰ってきてもらえればと思っています。

専門とする糖尿病では食事指導と合併症予防に注力

先生の強みである糖尿病の治療についてお聞かせください。

石原宏尚院長 石原医院3

糖尿病は服薬やインスリンによる治療もありますが、それだけに頼ると失敗します。ストレス、運動などについても注意深く見ていかなくてはいけませんが、中でも鍵となるのが食事です。ただ、インターネット上などでよく言われるように炭水化物さえ制限すれば血糖値が下がるというのは誤解で、実は必要な栄養素とエネルギーをどう摂取するかがポイントになります。管理栄養士と協力して栄養指導をしていきますが、生活習慣や嗜好に合わせて組み立てていくので、誰一人として同じ内容はありません。残念ながら糖尿病は治る病気ではないので、いかにコントロールを図っていくかが大事です。そのため、一人ひとりが無理なく続けられる治療を心がけなくてはいけません。

糖尿病の治療で注意しているのはどんな点ですか。

やはり、合併症を予防することでしょうか。糖尿病の合併症の一つに神経障害があります。神経障害があるとしびれや感覚を失ってしまうこともあるんです。そうなると、無痛性心筋梗塞、胃潰瘍などでも痛みを感じにくくなって発見が遅くなり危険になることもあります。また、糖尿病は動脈硬化を引き起こし心筋梗塞や脳梗塞の原因となり、命に関わる病気を引き起こします。そのため、頸動脈エコー検査や脈波速度測定器で動脈硬化の進行具合を検査しています。心電図検査でも心筋梗塞や神経障害を起こしていないかチェックしていくなど、とにかく糖尿病は長い目で見守るのが大事です。深刻な病気を防ぐためには定期的に診ていくことが大切で、そのようにして、長期的なお付き合いをさせていただきたいですね。

糖尿病での経験は他の診療にも生かされていますか。

石原宏尚院長 石原医院4

糖尿病の患者さんに教えていただいたことはとても多いですね。例えば、診療では根気が大事と痛感しています。食事指導などで同じことを4回、5回とお伝えして、やっと実行していただけるケースも少なくありませんからね。3度目で怒ってしまっては水の泡です。患者さんにもお考えがありますから、緊急性がない限りはまずはそれを尊重します。そして、ご自身に「これでは良くならない」と、気づいていただくまで待てるようになりました。少し遠回りになっても、このようなプロセスを経て構築される信頼関係は大事です。より良い診療のためには患者さんの情報が少しでも多く必要ですが、信頼されていなければ、いろいろとお話ししてもらえないですからね。

近隣の医療機関と連携しエリアの治療体制を拡充したい

今後の展望についてお聞かせください。

石原宏尚院長 石原医院5

地域のかかりつけ医であり、糖尿病に高い専門性を持つ、この2つを今後とも軸としていきたいです。地域の高齢化が急速に進んでいるので、在宅診療も考えていきたいですね。また、2023年から藤沢市医師会会長もしているのですが、患者さんの利便性のためにも地域内で医療が完結するシステムを構築していきたいと思っています。300以上の医療機関があるので、相互連携を深めれば十分可能なのではないでしょうか。すでに、糖尿病に関しては公益社団法人日本糖尿病協会が発行する糖尿病連携手帳を活用し、眼科、歯科との情報共有も行っています。また、藤沢市医師会、藤沢市歯科医師会、藤沢市薬剤師会で構成する藤沢三師会では、市民向けの講演会などを開催していますが、これからも協力していきたいです。

お忙しい毎日ですが、休日はどうお過ごしですか。

妻とゴルフ旅行に出かけるなどしていますが、この前は北海道に行きました。今は受付を担当している妻は看護師でもあり、開業当初からサポートしてくれて感謝しています。母はもう現場には携わっていませんが、診療時間後にすみずみまでピカピカに掃除をしてくれるんです。スタッフの清掃もあるのですが、やはり母にとっては父と築いた大切な場所という思いがあるのかもしれません。今、息子も医師になり、ゆくゆくはここに戻ってきて3代目として後を継いでくれたらうれしいですね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

石原宏尚院長 石原医院6

保険証1枚あればいつでも誰でも平等に医療を受けることができる、日本の国民皆保険制度は世界に誇れる制度です。せっかくの制度を利用しない手はありません。どんなに些細なお悩みでも、お近くのクリニックに足を運んでみてはいかがでしょうか。例えば、ワクチン接種や健康診断をきっかけに「どういう先生かな?」と、一度見学に行ってみるというのも一つの方法です。当院も含め、ワクチン接種や健康診断に協力的な医療機関は、基本的にホームドクター志向だと考えられます。いくつかのクリニックを比較検討してみるのもお勧めです。もしその中で、当院をかかりつけ医に選んでいただけたならば、長いスパンで健康を見守らせていただければと思っています。

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