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矢野 孝明 副院長の独自取材記事

ヤノ肛門外科クリニック

(高松市/瓦町駅)

最終更新日:2024/02/08

矢野孝明副院長 ヤノ肛門外科クリニック main

JR予讃線・高松駅から車で5分、琴電琴平線・瓦町駅から徒歩6分の場所に位置する「ヤノ肛門外科クリニック」。同院で副院長を務める矢野孝明先生は、胃腸科・肛門科専門病院で修練を重ねた、日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医。肛門外科医の中でも数少ない、痔疾患を専門に扱う医師として、痔核(イボ痔)や痔瘻(アナ痔)、裂肛(切れ痔)などの治療と手術をすべて日帰りで提供している。痔核の縮小をめざす「ALTA療法」に関しては特に力を入れており、中国・四国エリアにおいても豊富な治療実績を誇る。肛門外科は受診を悩む患者も多いが、「勇気を出して、知識と経験を持った専門の医師を訪ねてほしい」と訴える矢野先生に、これまでの医師人生や得意とする治療、そして大腸肛門病専門医としての想いを聞いた。

(取材日2024年1月18日)

専門病院で肛門外科手術の研鑽を積む

とても歴史のあるクリニックだそうですね。

矢野孝明副院長 ヤノ肛門外科クリニック1

はい。当院の開業は1942年、祖父の代から80年以上続くクリニックです。高松市でも、特に早期から開業している肛門外科専門クリニックではないでしょうか。15年前の建て替えと同時に、現在の医院名となりました。私の代でちょうど3代目になりますが、歴史の長さで患者さんが来てくださるとは考えていません。何よりも、常に真っ当な治療を提供することが大切だと思っています。

先生は、最初から肛門外科医になろうと思われていたのですか?

祖父や父の存在があって医師を志しましたが、当初は外科や泌尿器科のほうに興味を持っていました。1997年に関西医科大学を卒業し、その後は香川医科大学医学部附属病院(現・香川大学医学部附属病院)の第一外科、今の消化器外科に入局して、胃がんや大腸がんなどの外科手術に取り組んでいたんです。ところが、消化器外科では自分に大きな才能が見出せず、「これから先もやっていけるのだろうか」と、疑問を抱くようになりました。何かもっと自分に合った、得意な分野を発見したい。そう考えていたタイミングで、父から紹介されたのが静岡県浜松市にある松田病院です。松田病院は全国的に見ても数少ない、胃腸科と肛門科の専門病院でした。

そこから肛門外科医としての人生が始まったんですね。

矢野孝明副院長 ヤノ肛門外科クリニック2

松田病院の院長からは、当時こんなことを言われていました。「肛門外科の世界は、症例件数が多ければ多いほど、手術が上達していく。だから安心するように」と。私はその言葉だけを心の支えとして5年間トレーニングを重ね、多くの手術を担当させていただきました。肛門付近には膨大な数の血管が集まっており、理解が甘く経験の少ない医師が手術をすると、誤って多くの血を流してしまうことがあります。しかし、専門的なトレーニング経験を積んでいれば、出血を抑えられるような技術が身についていくんです。松田病院では、ベテランの先生や院長ご自身が新米医師のサポートに入り、マンツーマンで手取り足取り指導を行っていました。本来であれば、お金を支払わないといけないようなレベルの指導内容です。今振り返っても、本当に恵まれた環境で経験を積ませていただいたと思います。

痛みに配慮した治療で患者を支える

こちらでは、「ALTA療法」という治療法に力を入れていると聞きました。これはどんな治療法ですか?

矢野孝明副院長 ヤノ肛門外科クリニック3

痔核(イボ痔)に薬剤を注射することで、痔核の硬化、縮小をめざす治療法です。従来のメスで痔核を切除する結紮(けっさつ)切除術は痛みが出やすく、かつ平均で1週間から10日ほどの入院が必要とされていました。それに比べて、ALTA療法は痛みが少なく患者さんの負担が少ない上に、日帰りで治療を終えることができます。もちろん、翌日から仕事に行くことも可能です。痔核がすべて消滅するわけではありませんが、患者さんにとってはメリットが大きいでしょう。ALTA療法は、ちょうど私が松田病院で働き始めた2007年前後に広まった、比較的新しい治療法です。当時から現在まで多くの症例に対応してきましたが、発熱する、痛みが出るなど、治療後の症状は患者さんによって違いがありますので、その都度分析して研究を重ねています。

ALTA療法は、すべての痔核に対応しているのですか?

肛門内部に生じる内痔核には適していますが、肛門外部に生じる外痔核については、結紮切除術での対応となります。痔核で悩まれている方のほとんどは内痔核と外痔核、両方の症状を持つ混合痔核ですから、当院ではALTA療法と結紮切除術を併用することが多いですね。また、麻酔時の痛みを訴える方が多い結紮切除術では、患者さんのご希望に応じて、局部麻酔を打つ20~30分前に麻酔クリームを塗布しています。さらに、痔核を切除する際は電気メスを用いることで、術後の痛みの改善も図っています。当院の患者さんの統計を見ると、男女ともに約7割が痔核のお悩みで来院されている状況です。トイレで長時間スマホを見ることが多いからか、最近は痔核のある若い方が増えています。予防のため、また再発防止のためにも、トイレの時間を短くする、湯船に浸かる、便秘や下痢には注意するなど、生活習慣の改善を心がけてください。

肛門外科は受診しづらい方が多いでしょうから、気をつけたいですね。

矢野孝明副院長 ヤノ肛門外科クリニック4

肛門外科の門をたたくまでに、10年かかる患者さんもいらっしゃるようです。「どうしてこんなに受診しにくい診療科名なの」と言われることもあります。私も、自分が患者さんの立場だったら受診しづらいだろうと常々思いますが、だからこそ敷居が低くなるように、院内の清潔感などにはこだわっています。当院では痔核の手術を終えると、約2ヵ月後に経過観察を行うのですが、「その時に患者さんの笑顔が見られたらいいな」と思いながら日々執刀しています。痔核は、患者さんご自身が治療結果を体感しやすい疾患です。勇気を出してお越しいただければ、きっとお役に立てることもあるでしょう。私は日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医として、また痔疾患の専門家として、ご家族や周りの方々に紹介していただけるような治療の提供をめざします。

日々研鑽を積み、高いレベルの治療の提供をめざす

最近では、新しく内視鏡を導入されたと聞きました。

矢野孝明副院長 ヤノ肛門外科クリニック5

肛門外科医として求められる使命の一つが、直腸がんを見落とさないことだと思っています。血便やお尻の出血は、痔核が原因であることがほとんどだと思いますが、直腸がんや大腸がんが原因となっている可能性も否定できません。40代以上の方であれば、特にそのリスクは向上します。肛門外科を専門としている私は、大腸がんを診察することはできませんので、内視鏡を活用することで、直腸がんの早期発見・早期治療につなげていきたいです。

患者さんに対する真剣な気持ちが伝わってきます。

患者さんに対する医師としての姿勢は、すべて松田病院で教わりました。松田病院のDNAを受け継ぎ、日々勉強を怠らず、聞かれたことにはすべてきちんと答えられるよう努力しています。いずれは、「私がわからないことは、他の先生もわからないと思うよ」と言えるくらいになりたいですね。痔核で悩まれる患者さんは、専門病院で研鑽を積んだ医師なのか、勉強を続けている医師なのか、そういう事実を判断材料として受診されると思うんです。ただ、それを医師に直接聞くのは難しいと思いますので、こちらからアピールしていきたいなと考えています。

これから力を入れていきたいことはありますか? 地域の患者さんへのメッセージもお願いします。

矢野孝明副院長 ヤノ肛門外科クリニック6

多くの患者さんが痛みの少ない治療を望まれていますから、引き続きALTA療法には力を入れていきたいです。もちろん、ALTA療法よりも痛みが少なく成績の良い治療法が登場すれば、しっかりと検証を行った上で取り入れていきたいと思います。患者さんには豊富な選択肢を提示し、自分が持っている知見をすべて適切にお伝えできるよう、そして聞かれたことには詳細に答えられるよう、これからも努めていきたいです。私は肛門治療に関わる日本全国の最新情報に、常にふれる立場にいます。得られた知見は当院の治療に反映させることで、高度なレベルの日帰り治療を地域の皆さんに提供したいと考えています。何かご不明な点があれば、何でもお尋ねください。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

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