楽しみながら行う心臓リハビリ
心臓機能の回復や再発予防をめざす
のがたクリニック
(中野区/中野駅)
最終更新日:2024/04/15
- 保険診療
大人から子どもまでの幅広い症状に対応する、中野区の「のがたクリニック」。同院が近年注力しているのが心臓リハビリテーションだ。心不全などの心疾患の既往歴がある患者を対象とし、心臓機能の向上をめざして有酸素運動や筋力トレーニングなどを行っている。「適切な負荷をかけることで心臓機能の回復をめざします。大事なのは楽しく続けること。無理のないペースで、安心して笑顔で運動ができる環境づくりにも力を入れています。心臓リハビリができるクリニックはまだ都内ではとても少なく、心臓リハビリや心不全に精通するスタッフが在籍しているので、お近くの方はぜひ活用してください」と話すのは、心臓外科を専門とする和久井真司院長だ。和久井院長に、同院が行う心臓リハビリの詳しい内容について話を聞いた。
(取材日2024年3月21日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q普段運動をしていないのですが、心臓リハビリを受けられますか?
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A
もちろん大丈夫です。心臓リハビリを受ける方の多くは運動をしたくてもなかなかできない方がほとんどですが、当院で行う場合、医師、理学療法士、看護師、院内常駐の薬剤師という多職種が連携し、既往歴や現在の症状や治療の経過などを踏まえ、患者さん一人ひとりに適したリハビリメニューを決めていきますのでご安心ください。見学も可能で、お試しの参加をした上で実際に心臓リハビリを受けるかを決められます。心臓リハビリに参加できる上限は週に3日で、週に1〜2回の参加が一般的です。無理のない範囲で楽しく続けることが重要です。また心臓リハビリが保険適用にならない方には、運動のアドバイスなどが可能です。ぜひご相談ください。
- Qなぜ運動が心臓病に推奨されるのでしょうか?
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A
ひと昔前は、心不全の場合、安静にしていたら、歩行できなくなったり、さらに息苦しくなったという方が多かったですが、今は適切な運動をしないと心臓の状態がより悪化することがわかっています。ただやりすぎは厳禁ですから、当院で管理をした環境で運動を行います。例えば常に脈拍が60のままだと、急に動こうとしても心臓が120の脈拍の状態についていけません。心臓リハビリで適切に心臓を動かし、心臓の機能を維持しやすい状態にします。また、心臓に負荷をかけて運動中や前後の心臓の状態を調べる運動負荷試験が欠かせません。第二の心臓である下肢の筋力レーニングを行って、運動耐容能の向上や心臓の機能を高めることをめざします。
- Q忙しいので多くは通えませんが、それでも良いのでしょうか?
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A
当院では心臓リハビリの上限を週に3回と決めており、週に1〜2回や、隔週でも問題ありません。働き世代だと土曜を選ぶ方が多いですね。義務感ではなく、無理のない範囲で楽しく、継続的に通うことが大事なので、通う回数は余裕を持って組んでいきます。曜日固定にすると、毎回顔を合わせる中で交流が生まれやすく、「私はこういう理由で心不全になりました」などと情報交換もできますし、今後、リハビリ後に院内2階の大きなテラスでおしゃべりを楽しめるようにも準備中ですので、それが心臓リハビリに通うモチベーションになったらうれしいですね。また通う中で回数も調整できます。まずは運動を継続する意識を持つことが何より大切なのです。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1心臓リハビリの相談をし、実際の様子を見学
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診察時に心臓リハビリを提案された場合、もしくは患者自身で希望を伝えた場合は、クリニック2階にあるリハビリ室で行われる実際の心臓リハビリの様子を見学できる。リハビリで使うバイクなどの体験も可能だ。心臓リハビリを受けると決めた場合、そこで大まかなスケジュールと初回の心臓リハビリの予約も行える。
- 2初回予約日。来院して問診票を記入
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心臓リハビリでは毎回、運動の開始前に血圧と体重をチェックし、院長の診察を受けた上で患者それぞれに適したリハビリメニューに取り組む。1回のリハビリの時間は60分で、ストレッチや上肢・下肢の筋力トレーニングなどは全員で実施。その後、有酸素運動やコグニサイズを自転車エルゴメーターなどで20~30分取り組む。
- 32回目以降の心臓リハビリ
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2回目以降もリハビリ前診察を受け、リハビリが可能と判断された場合は心臓リハビリを行う。なるべく早期に、身体機能チェックや生活面の様子を聞き、健康習慣の獲得に生かしているという。また、自宅で毎日記録する血圧手帳は看護師がリハビリ中に確認し、気になる点がある場合はリハビリ後に生活の振り返りやアドバイスなどが受けられる。日々の些細な変化に対しても心臓リハビリスタッフや医師からの丁寧なフォローが行われる。
- 4心肺運動負荷試験
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エルゴメーターでの運動に慣れてきたら、心肺運動負荷試験を受ける。運動負荷試験は3ヵ月に一回ほどのペースで定期的に行われ、運動量を見直しながら、適切な負荷での運動の継続につなげる。
- 5経過を共有し、継続的な運動とフォロー
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心臓リハビリと並行し、通常の診察も月に一回ほどのペースで受ける。心臓リハビリによる体の変化を医師・患者間で確認している。定期的に多職種でカンファレンスを行い、情報を共有し、必要に応じて例えば高血圧症に対する処方を減らすといった調整を行いながら、長い目で体調変化や症状の変化を確認していく。