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熟練を要する鼠径ヘルニアの術式
TEP法による腹腔鏡手術とは

東京デイサージェリークリニック

(中央区/東京駅)

最終更新日:2022/11/07

東京デイサージェリークリニック 熟練を要する鼠径ヘルニアの術式 TEP法による腹腔鏡手術とは 東京デイサージェリークリニック 熟練を要する鼠径ヘルニアの術式 TEP法による腹腔鏡手術とは

鼠径部の筋膜が弱くなり、腸などが皮膚の下に飛び出す鼠径ヘルニア。脱腸とも呼ばれ、男児が罹患する病気というイメージがあるが、実際には成人、特に中年以降に多い病気だ。鼠径ヘルニアは自然治癒することはなく、治療法は手術のみ。手術方法には切開手術と腹腔鏡手術があり、患者に適切な手術法が選択される。日帰り手術が可能なことから希望する患者も多い腹腔鏡手術にはTAPP法とTEP法の2種類があり、特にTEP法は腹腔内合併症の心配がほとんどないというメリットがあるが、高い技術が必要なため、受けられる医療施設が少ないのが現状だ。日帰り手術に特化した「東京デイサージェリークリニック」では、2022年6月からTEP法を導入。豊富な手術経験と研鑽された技術を持つ柳健院長に、TEP法の腹腔鏡手術について話を聞いた。

(取材日2022年10月24日)

腹腔内合併症の危険が少ない術式である、TEP法による腹腔鏡手術とは

Q鼠径ヘルニアとはどのような病気なのですか?
A
東京デイサージェリークリニック 日帰りの手術に対応しており、低侵襲な手術の実現に注力

▲日帰りの手術に対応しており、低侵襲な手術の実現に注力

足の付け根から恥骨にかけての鼠径部が膨らむ病気を鼠径ヘルニアといいます。子どもの場合は、通常は自然に閉じる精巣が降りてくる道筋が残っていると発症しやすいです。成人でもその道筋が残っていると罹患しやすく、特に加齢で筋肉が緩んでくる中年以降に多く見られます。成人の発症には腹圧が関係しているため、立ち仕事や重い物を持つ仕事に就いている人は、日常的に腹圧がかかりやすく発症のリスクに。便秘やくしゃみ、咳など瞬間的に腹圧がかかる、花粉症でくしゃみを繰り返すうちに腹圧がかかり鼠径部が弱くなることも原因の一つです。放置すると腸が腐るヘルニア嵌頓(かんとん)になり緊急手術が必要になることもあります。

Q鼠径ヘルニアの手術について教えてください。
A
東京デイサージェリークリニック 腹腔鏡手術であれば、傷口も小さく済むのも特長のひとつ

▲腹腔鏡手術であれば、傷口も小さく済むのも特長のひとつ

鼠径ヘルニアの手術では腸をおなかの中に戻し、メッシュという網目状の人工の膜で穴を塞ぎます。手術法には、足の付け根を2cmほど切開して行う前方切開手術と、痛みが少なく術後の回復が早い腹腔鏡手術があります。腹腔鏡手術にはTAPP法とTEP法という2種類の別の術式が存在します。TAPP法は腹膜の中に内視鏡と鉗子を入れ、鼠径ヘルニアの穴を中から確認して閉鎖する方法で、中を直接確認できるという長所があります。一方、TEP法は腹膜の中に入らず、壁筋膜と腹膜の間を剥がして鼠径ヘルニアの穴まで腹腔鏡と鉗子を入れ、同様にメッシュで穴を閉鎖します。この方法なら腹膜の中に入らず修復できることが大きな利点です。

Qそれぞれの手術法の特徴について教えてください。
A
東京デイサージェリークリニック 状況に合わせた術式で進め、術前の丁寧な説明にも尽力

▲状況に合わせた術式で進め、術前の丁寧な説明にも尽力

前方切開法にはいくつかの術式があるのですが、高齢者や他の疾患がある人を含めほとんどすべての鼠径ヘルニアに適応します。腹腔鏡手術に比べて手術時間が短いという長所がありますが、術後、数日間は鼠径部に痛みがあり、稀にそれが慢性疼痛になります。腹腔鏡手術のTAPP法には、傷が小さい、腹膜の中に内視鏡が入るので中から鼠径ヘルニアの穴が確認できるという長所がありますが、腹膜を縫うためその部分に癒着が起きる、癒着が起きると腸閉塞が起こる場合がある、内視鏡に映らない部分で臓器を損傷するなどの合併症を起こす可能性があります。また、深い麻酔を用いるため筋弛緩薬が必要になり、当日の回復が遅いことも短所の一つです。

QTEP法についてはいかがでしょう?
A
東京デイサージェリークリニック 高度な技術を要するTEP法を、研鑽した技術をもって同院で実施

▲高度な技術を要するTEP法を、研鑽した技術をもって同院で実施

TEP法はおなかの中に入らずに修復し得ることが大きな利点です。具体的には、おなかの筋肉と腹膜の壁を剥がして空間を作成し、ヘルニアの穴をメッシュで塞ぎます。切開法より傷が小さく回復が早い、そして何よりもTAPP法よりも腹腔内合併症の危険が少ないというメリットがありますが、高度な技術が必要であり、導入する医療施設が少ないのが短所です。当院は日帰り手術に特化し、腹腔内合併症を避ける目的からTEP法を主に採用しています。前方切開手術は手術時間が短く、医療費の負担を最小限にすることが期待でき、TEP法は術後の痛みが少なく低侵襲で回復が早いという利点を持ちます。手術の翌日から日常生活を送ることができます。

QTEP法の手術時間、注意点などを教えてください。
A
東京デイサージェリークリニック 術後にもしっかりと休憩ができるように休憩室もしっかりとある

▲術後にもしっかりと休憩ができるように休憩室もしっかりとある

手術時間は麻酔を含めて約1時間から1時間半。術後は院内で1時間ほど休んでいただいてから帰宅になります。手術後の注意点としては、おなかに力を入れないこと。また、2週間は激しいスポーツを控えてください。程度にもよりますが、肥満の方はおなかの壁が厚く、鉗子を入れることが困難、鉗子を動かせないなどの理由から適応しないケースもあります。また、あまりにも大きなヘルニアの場合は前方切開法のほうがより安全な選択肢になります。前方切開法、TAPP法、TEP法の特徴を考慮しながら、患者さんに適切な術式を提供することが基本です。

ドクターからのメッセージ

柳 健院長

TEP法は以前からある術式ですが、機械、技術など日々の医療の進歩によって、外科領域全体で手術の質が向上してきました。良い手術になってきたという実感を得たことから当院で導入しています。鼠径ヘルニアの手術を受ける時は、その医療施設で行っている方法について医師から話を聞くことをお勧めします。開腹法、TAPP法、TEP法、それぞれの長所と短所の説明をよく聞いて、ご自身が納得してから治療を受けることが大切です。より多くの治療法の選択肢が提供可能で、かつその人の状態に適した選択肢を提示してくれる医療施設で手術を受けてもらいたいですね。

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