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楠 隆昌 院長の独自取材記事

くすのき内科クリニック

(立川市/立川駅)

最終更新日:2023/07/12

楠隆昌院長 くすのき内科クリニック main

立川駅北口からバスで約5分、徒歩で約15分。立川通り沿いにある「くすのき内科クリニック」は、ビルの1階、ブルーの看板が目印だ。待合室はオフホワイトを基調とした落ち着いた雰囲気。1994年から診療するクリニックで、2021年からは、父の後を引き継いだ楠隆昌先生が2代目院長を務めている。楠院長は、徳島大学を卒業後、長らく東京都立多摩総合医療センターに勤務。内科領域を幅広く学んだ後、消化器内科で研鑽を積んだ。「患者さんの声をよく聞くことを大切にしています」とにこやかに話す楠院長に、診療の特徴や診療ポリシー、今後の展望について聞いた。

(取材日2023年4月25日)

父の後を継ぎ、2021年に院長就任

先生はこちらの医院の2代目にあたるそうですね。

楠隆昌院長 くすのき内科クリニック1

当院は、1994年に前院長である父が開業し、長年地域のかかりつけ医として診療を続けてきました。僕自身は長らく東京都立多摩総合医療センターに勤務し、消化器内科で診療していたのですが、2014年から同センターと兼務というかたちで、当院で父とともに診療を続けてきました。その父も高齢になったため、2021年4月に医院を引き継ぎ、院長に就任しました。当院は、内科、消化器内科を掲げ、風邪から、高血圧症や糖尿病などの生活習慣病、胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、逆流性食道炎といった消化器疾患、睡眠時無呼吸症候群、各種がん検診まで幅広く対応しています。また、多摩総合医療センターには、今も週に1度、当院の休診日に非常勤医として勤務しています。

こちらの医院の診療方針についてお聞かせください。

例えば慢性疾患の場合ですと、いたずらに薬を処方せず、まずは食事や運動に関する生活指導を行い、患者さんと相談しながら治療を進めていく。これが父の診療方針でした。特にご高齢の方の診療の場合、薬物治療ですべての異常値を正常にしようとすると、たくさんの薬が必要となり、薬の副作用や相互作用でいろいろな問題が起こってしまいます。それを回避するため、薬だけに頼らず食事や運動の指導に力を入れていました。父と一緒に診療をする中で、僕自身もそうした父の診療方針に多くのことを学び、現在もそれを実践しています。ただ一方で、医学の世界は日進月歩です。多くの新薬が開発されていますから、アンテナを張っていなくてはいけません。これまでに培った方法と新しい知識を駆使し、患者さんの病状や生活習慣などを総合的に判断して最適な治療をめざしています。

患者層や医療機器についても教えてください。

楠隆昌院長 くすのき内科クリニック2

父が院長だった頃は、地域にお住まいのご高齢の方が定期的に通院されるケースが多かったのですが、最近は20代から50代くらいの患者さんも多く来られるようになりました。僕の専門である消化器の不調で相談に来られる方も増えてきています。医療機器は、エックス線撮影装置や心電図に加え、経鼻内視鏡、腹部エコーを導入しています。経鼻内視鏡では胃、十二指腸、食道を、腹部エコーではおなか周り全般を精査し、がんやそのほかの疾患の早期発見につなげています。大腸も専門分野ではあるのですが、大腸内視鏡の設備はないため、精密検査が必要な場合は都度、専門の医療機関をご紹介しています。

患者が気づかない病気を早期発見するために

診療する時に心がけていることは何ですか?

楠隆昌院長 くすのき内科クリニック3

診察の所見や何げない日常会話から、患者さん本人が気づいていない病気の兆候を察知することです。例えば、胃がんや大腸がんは早期には目立った自覚症状はなく、症状を感じるようになった時にはすでに進行していて治療が困難になっている場合があります。「最近食欲がない」「体重が減ってきた」「前より便の出が悪くなった」といった何げない訴えが、実はがんの初期症状だったりする場合があるのですが、そうした症状は緩やかに出てくるため、患者さん自身も変化に気づきにくいんです。血液検査においても、過去の数値と比較して貧血が進んでいれば要注意です。精密検査が必要と判断した患者さんには、その旨をお伝えし、患者さんの希望を伺いながら診療を進めていきます。大事なのは、些細な変化を見逃さないこと。そこに気づいて早期に診断できれば、病状が進む前に治療を開始できるのです。

お薬はどのように処方されているのですか?

主に院内処方を行っていて、これは先代から続いている当院の特色でもあります。院内処方は、具合が悪い中来られている患者さんに速やかにお薬をお渡しできますし、医療費も軽減できるため患者さんにとってのメリットは大きいと思います。ただ、ご高齢の方に便利な、数種類の薬を一つの袋にまとめる一包化や、院内に在庫のないお薬の処方、訪問調剤などには対応できないため、その場合は必要に応じて地域の薬局と連携して処方するようにしています。近年は、薬剤の供給不足の影響で、院内処方に伴ったクリニックの負担は増えているのですが、患者さんのニーズにきめ細かく対応するために今後も続けていく考えです。

スタッフさんについても伺います。

楠隆昌院長 くすのき内科クリニック4

父の代から勤めているスタッフが多く、長年このクリニックを支えてくれています。看護師は皆ベテランで、採血は上手ですし、患者さんにも優しく接してくれて、いろんなことを安心して任せられます。新型コロナウイルスの感染拡大時は、いつもと違う状況の中、クリニックの業務も非常に大変だったのですが、そんな時でも事務のスタッフも皆一緒になって、患者さんに丁寧に対応してくれていました。とても信頼できるスタッフばかりです。

個々の患者と真摯に向き合い、見逃しのない診療を

ところで、先生が医師になったきっかけ、消化器内科を専門に選んだ理由は何だったのでしょう。

楠隆昌院長 くすのき内科クリニック5

子どもの頃から動物が好きで、これまで猫やうさぎ、リスなど、いろいろな動物と一緒に過ごしてきました。しかし、動物の命は人間よりも短く、動物たちの「死」を繰り返し経験する中で、命を救える仕事をしたいと考えるようになったんです。当初は獣医師になることを考えていましたが、父の助言もあり、最終的に医師をめざすことにしました。大学卒業後は神奈川県の藤沢市民病院で救急医療を中心とした初期研修を行いました。その後、都立多摩総合医療センターに入職し、内科全般や救急医療、東京都の離島医療といろんな経験を積む中、患者さんの人生に大きく関わるがんの診療に携わりたいと考えるようになりました。消化器内科を専門に選んだのは、胃腸だけではなく、肝臓や胆道、膵臓など幅広く診療ができ、内視鏡を使ってがんの診断や治療まで可能であることに魅力を感じたからです。

お忙しい日々の中、診療以外の時間はどのようにお過ごしですか?

もともとは旅行が趣味で、若い時には世界一周航空券を使ってアフリカや南米を巡ったりもしました。しかし、最近は休みが少ないこともあって、旅行に出かけるよりも、家族との時間を大切にするようにしています。まだ娘が小さいので、週末は動物園や公園、プールなどに行っては、家族と一緒に楽しい時間を過ごしています。また、診療日以外でも、最新の知見を得るために、勉強会に出席することで知識のアップデートを図るように心がけています。

最後に、今後の展望についてお聞かせください。

楠隆昌院長 くすのき内科クリニック6

これからも引き続き目の前の患者さんに真摯に向き合っていきたい、これに尽きます。先ほどのがんの診療に関していえば、早期発見できれば根治が期待できます。しかしそれは、裏を返せば「進行すると命に関わる病気でもある」ということです。がんの初期発見において、特定健診やがん検診を行う開業医の役割は大きく、自分の判断が患者さんの人生を大きく左右することになるのですから、その責任はとても重いものだと感じています。今後もそれを肝に銘じ、日々の診療に取り組んでいきたいです。

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