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角田太郎 院長の独自取材記事

南千住つのだ医院

(荒川区/南千住駅)

最終更新日:2021/10/12

角田太郎院長 南千住つのだ医院 main

JR常磐線・東京メトロ日比谷線の南千住駅から約700m、古くからの住宅街に「南千住つのだ医院」がある。すぐ近くに図書館や大きな公園のある落ち着いた雰囲気だ。角田太郎院長は、2代目。2006年に内科医として地域の健康を診てきた父の跡を継いだ。内科の中でも循環器を専門とし、長年大きな医療機関での研究を続けてきた角田院長は、地域クリニックとしての「総合性」と自身の「専門性」の両立を掲げている。第一線で患者と向き合うことを大切に診療し続ける角田院長は、患者に対してだけではなく、地域のほかのクリニックとのコミュニケーションの必要性も強調する。お互いの得意な分野を生かしながら地域の健康に総力として貢献しようという姿勢だ。そんな角田院長に診療方針や地域への想いを伺った。

(取材日2014年7月28日)

「総合性」と「専門性」を両立した地域クリニックをめざす

この街にすっかり溶け込んでいる、そんな印象のクリニックですね

角田太郎院長 南千住つのだ医院1

私の両親が医師で、私が生まれた1963年にこの場所で開業しました。父は内科医、母は小児科医です。建物は内装のリフォームなどはしましたが、基礎の部分は50年前のままです。私も小さいころからここに住んでいました。ここに戻ってきたのは2006年1月ですが、子どものころに親に手を引かれて買い物に行ったお店の方が「よくうちに来てくれていたよね」と覚えていてくださるような土地柄です。一方で、再開発によるマンションも増え、若い世代の方も増えています。小児科もしていますので、生まれたばかりのお子さんから100歳を越えたお年寄りまで、本当にいろいろな方が来院なさいます。ちなみに、父は06年10月に他界しましたが、今年80歳の母は千葉県柏市で弟が開業している医院で現役の小児科医を続けています。

角田先生の専門分野、力を入れていることを教えてください

私はここを継ぐ前に、大学病院や海外の病院で循環器を専門に研究していました。循環器は心臓や血管にかかわる病気を扱います。地域に根差した一次診療機関としての総合的な役割を果たすことはもちろんですが、私の専門分野である循環器治療にも強いこだわりを持っているので、「総合性」と「専門性」を両方発揮したいと思っています。次に、連携とスピードです。現代は、大病院と地域の医院との関係や、医院同士の関係を密にして、より適した機関でより適した治療をするための連携が求められていますので、それを積極的に進めています。不整脈などは専門医でないと診断が難しい分野です。医院同士の情報交換を推進し、少しでも怪しい症状があったら、当院にまわしてもらうように頼むとともに、こちらも胃腸など消化器が重症なケースはその分野に詳しい医院を紹介しています。大きな病院とのネットワークも確立しており、私が前に勤務医していた三井記念病院などにスピードある受け入れをしてもらえる関係にあります。

患者さんと接する時に気をつけていることは何ですか?

角田太郎院長 南千住つのだ医院2

丁寧に患者さんを診るということですね。患者さんが何を求めているかをくみ取ることが、こちらから説明する時に大事です。患者さんが望んでいることをわかりやすく説明してあげなければ、理屈だけでは受け入れられません。大学を出て研修医になった時の主任教授からよく言われた言葉があります。「研究も大切だが、臨床医として一人前になりなさい。目の前の患者さんと向き合って、きちんと対処できる能力を磨きなさい」ということです。私の医療活動の原点だと思っています。

先代の対話力に、自分の持ち味を加えた地域医療

地元育ちですね。小さいころの思い出を聞かせてください。

角田太郎院長 南千住つのだ医院3

住居と診療所が一体だったので、医療は身近に感じていましたが、父には「診療室には入るな」と怒られていました。子どもなりにどんなことをしているかはわかっていましたが、父は仕事と生活を分けたかったのでしょう。しかし、誰に言われたわけでもないのですが、将来は医師になるのかなと思っていました。中学生ころは数学がとても苦手でしたが、父が読んでいた医学書に興味があったので居間に置いてある本をよく読んでいました。数式が出てこない文章中心の本なので、医学はサイエンスでも特殊な位置づけに見えました。そこに興味をそそられたともいえます。両親は勉強については何も言わず、得意なことを一生懸命すればいいという感じでした。私はスポーツが好きだったので、中学・高校で軟式野球に、大学ではサッカーに熱中しました。野球ではショートとサード。サッカーはゴールキーパーでした。

研究中心の医療活動から、地域の一次診療に大きく転換しました。

大学からは、内科の中でも心臓や血管を扱う循環器系に興味を引かれ、専門としてきました。心臓カテーテルなど、進歩が目覚ましい時代でした。「臨床を大切に」と教え込まれ、自分でも信条としていたのですが、次第に病理などの研究分野に時間を費やすことが多くなっていきました。研究活動の中で、国内の学会や欧州の学会から表彰されたこともありますが、一方で、患者さんの臨床の現場からどんどん離れてしまっていることが心配でした。やはり、自分は患者さんと向き合っていたいと思っていたところに、父の体調が悪くなった時期が重なり、この医院を継ぐことを決意しました。

地域医療にはすぐになじめましたか?

角田太郎院長 南千住つのだ医院4

2006年1月からここで診療を始めたのですが、当時は父も現役でした。父はその年の10月に他界してしまうのですが、この間の10ヵ月を2人で診療できたことは何事にも替えがたい貴重な時間でした。第一印象は「親父にはかなわない」ということでしたね。専門領域としていた循環器治療ですが、地域に戻ってみると患者さんのニーズには直接結びつかずに戸惑いを感じることもありました。一方で、一般内科と小児科を掲げる父は、私のような専門分野は持ちませんが、逆にいろんな症例を何でも診なければなりません。その診察方法も、患者さんの話を聞くだけで病名を言い当て、治療法を示していました。患者さんたちのことをよく知っているので、その日の言葉だけでなく、普段の様子や生活環境などを頭に入れた上での診断ですね。研究を長くやっているとすぐに検査をして理詰めで診断をしてしまいがちですが、経験に根差した対話術の大切さに改めて気づかされました。かかりつけ医を地で行っている父の域に到達するのはなかなか大変だなと思いました。跡を継いで8年ほどになりますが、父の良い所はしっかり引き継ぎ、自分の持ち味も発揮した診療を続けています。

3世代を見守る「ファミリークリニック」に

先生がめざす「総合性」と「専門性」を両立したクリニックについて教えてください。

角田太郎院長 南千住つのだ医院5

大切にしていることが3つあります。1つは、私の専門分野を地域の中で生かすことです。循環器の疾患は、一刻を争うことがあります。急に症状が現れてどんどん悪化してしまうことがあるのです。そのような患者さんたちを助けなければなりません。当院では専門医でないと見極めが難しい症例にも対応できますし、検査機器も超音波などを含め最新のものをそろえています。2番目は「ファミリークリニック」です。古くから住んでいる方々が多い地域ですので、3世代にわたって患者さんを診たいと思っています。3点目は、相談に対するカウンセリングです。当院には、診療だけでなくさまざまな相談が寄せられます。「高齢な家族が失禁するようになった」「子どもが学校に行きたがらない」――といった相談は、医療としての診療にはあたりませんが、対応しなければなりません。皆さん、相談する場所がなくてここに来ることが多いのですが、医師という観点から適切なアドバイスをする役割があります。慢性硬膜下血腫といって、ある日突然に認知症のようになってしまい、歩けなくなって失禁もするという病気もあります。何気ない相談の中にそのような重症な例が紛れていることもあるのです。地域のかかりつけ医として、早期発見をすることを心がけています。

話は変わりますが、診療を離れると、どのような趣味をお持ちですか?

模型作りですね。好きな分野は戦闘機です。歴史を調べて、当時の様子を再現することが好きです。2011年の東日本大震災でこの辺りもかなり揺れ、作った物の3分の1ほどが壊れてしまったのが残念です。以前は週に1つくらいは作っていたのですが、最近は年のせいか、少し作業が遅くなってしまいましたね(笑)。あと、ゴルフを再開しました。若いころに父に教わったのですが、忙しさもあってしばらくしていませんでした。でも健康のために体を動かすことは大事ですよね。また、忙しい診療の日常から離れ、再び診療に集中する日々に戻るためのいい気分転換にもなっています。

これからより力を入れたいことについてお話しください

角田太郎院長 南千住つのだ医院6

さまざまな地域のニーズに応えていくことが第一ですね。当院は患者さんが来院しやすい環境をつくるため、予約なしで診療しています。調子が悪くなったらいつでも来ていただきたいと思います。カウンセリングにもできる限りの時間をかけて対応しています。近年は、心療内科的な症例で来る方も増えました。不整脈や動悸だと思ったら、不安障害だったりします。精神科の領域なのですが、患者さんの中には精神科への通院を躊躇される方もいるので、できる限りは対応しています。地域の皆さんには、予防的な見地からも医療機関とかかわってほしいとお伝えしています。早期の病気を見つけるのはとても難しいことなので、定期的にチェックをしていただきたい。どこも悪くなければ安心して生活を謳歌できます。日ごろから検診への関心を高めてもらえるような活動も心がけていきたいと思います。

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