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杉田 尚史 院長の独自取材記事

南ときわ台耳鼻咽喉科

(板橋区/ときわ台駅)

最終更新日:2021/10/27

杉田尚史院長 南ときわ台耳鼻咽喉科 main

東武東上線のときわ台駅南口から徒歩約5分の閑静な住宅街にある「南ときわ台耳鼻咽喉科」は、28年以上地域の患者から慕われて続けてきたクリニックだ。清潔感のある院内は、どこか懐かしい雰囲気で温かな空間。小さな子どもから高齢の人まで、幅広い年齢層の患者が通っており、院内にはコレクションである人形が置かれることもあり、密かな人気になっているのだという。杉田院長は、笑う目元がとても優しく、丁寧で穏やかな語り口で相手に安心感を与える。真摯に地域医療に取り組む一方で、医療業界だけでなく広く世の中へ目配りをし、執筆活動やブログでの発信活動なども行っている。無理をしない範囲で毎日筋力トレーニングを続けることが健康法という杉田院長に話を聞いた。

(取材日2021年6月2日)

患者一人ひとりに適した診療を心がける

こちらは院長が生まれ育った場所だそうですね。

杉田尚史院長 南ときわ台耳鼻咽喉科1

私の母も医師でこの地で開業していました。明治生まれの医師ですから、とにかく何でも患者さんの訴えはまず診る、という感じでしたね。いわゆる地盤は母から引き継ぎましたが、医師としてのタイプというかスタンスがまったく違うので、母から医院を継承したという意識はないんですが、大学病院で25年以上、この地で開業してから28年以上、その間に培ってきた経験や技術、知識などを地域の方々の健康を守るために少しでも役立てていきたいと思っています。

診察時に心がけていらっしゃることはありますか?

当然のことですが、患者さんは、環境も、考え方も、疾患も、体質も皆さん違います。ですから症状が同じだからと言って画一的に診ないようにしていますし、スタッフにもそういう心持ちであってほしいと思っています。「開業医はゲートキーパーである」と言うのは正しい一面もありますが、ただ患者さんを病院へ振り分けるだけではいけないと思います。患者さんが何か気になる症状があり来院した際に、ある程度の治療や小手術には対応し、専門性の高いものや命に関わる可能性の高いものは大規模病院に紹介をするということです。中には病院への紹介状を希望して来院される方もおられますが、まずは私が地域の医師として適切な診察と治療を行いたいと思います。今はクリニックでも先進の機器を導入し、専門性の高い検査や治療を行うところも増えています。患者さんには開業医もさまざまな経験を積んできた医師であることを認識していただけるとありがたいです。

新しい機器や治療法を積極的に取り入れておられますね。

杉田尚史院長 南ときわ台耳鼻咽喉科2

私は新しいものはどんどん取り入れるタイプ。当院では、まだ導入している医療機関が少なかった頃からレーザーによるアレルギー治療を行ってきました。約1年半前にレーザー機器を新しくして使い勝手が格段に良くなり、短時間で広範囲を精密に処置できるようになったので患者さんの負担も減りました。当院では電子カルテを導入していますが、これも2000年代前半の出始めの時期に導入しています。電子カルテがあると会計を待つ時間が大幅に短縮できるのが良いですね。このように、新鋭の設備を取り入れることで得られるメリットは当院にとっても患者さんにとっても大きなものです。また開業医は広く最新の医療トピックについて知っておく必要があると思っています。当院でも周囲の大規模病院が今どんな医療資源を持っているのか、常にアンテナを張って情報収集しています。専門的治療を要する方がいれば、すぐ病院を紹介できる体制を整えておきたいですから。

感染症対策や新しい治療法も積極的に導入

舌下免疫療法にも取り組まれています。

杉田尚史院長 南ときわ台耳鼻咽喉科3

スギ花粉症やダニアレルギーのようなアレルギー性鼻炎の治療として、舌下免疫療法を行っています。舌下免疫療法は一般的な薬物療法に比べて根本治療に近いものであり、長期的な作用が期待できます。ただ約3年間ほど投薬を続けていかなければならないので、患者さんご自身が治療を継続する意識も大切になってきます。興味のある患者さんは、気軽にご相談ください。今は治療方法が多様化していて、さまざまな選択肢がありますので、患者さんに合う治療法が見つけられるといいと思っています。漢方にも対応しておりますので、患者さんのコンディションに合わせて処方することが可能ですよ。

感染症対策にも早くから取り組まれたそうですね。

怖いのはエアロゾル感染ですから空気を清浄に保つことが大切です。ですから、空気を直接紫外線除菌できるものと、室内の空気と外気をきちんと換気できる装置を診察室と待合室に設置しました。少し換気の音がしますが、安心の証と考えていただければと思います。また二酸化炭素濃度を常にモニターしていて、必要に応じて追加の換気を行うようにしています。皆さん、マスクをしておられるせいでしょうか。咳や喉の痛みなどを訴える上気道炎の患者さんが激減しましたし、今年は花粉量が多めだったのに花粉症の患者さんも少なめでしたね。おうち時間の増加の影響もあるかもしれませんが、苦しい思いをなさる患者さんが多少なりとも減ったのは、良いことと思っています。

耳鼻咽喉科の医師として患者に特に気をつけてほしい疾患はありますか?

杉田尚史院長 南ときわ台耳鼻咽喉科4

がんですね。がんは早期発見・早期治療が鍵。そうすれば完治もめざせますから。当院でも喉頭がんの検査を行っていますが、まずは自治体主催の検診を受けていただきたいです。喉頭がんは進んでしまうと手術で声帯を取り除かなければならないケースもありますからね。あとは難聴も怖い症状です。数週間放置しただけで治療がほぼ不可能になるケースもあります。もちろん時間がたってもきちんと完治をめざせるタイプの難聴もありますが、患者さんが自分の疾患を正確に区別することは難しいと思いますので、聞こえが悪いな、難聴かな、と思ったら早めに受診してください。上昇するエレベーターに乗ったときに耳が詰まったような感じになる経験をした方は多いと思いますが、そんな状態が続くと難聴だと考えていいと思います。

常に情報収集を欠かさず幅広い知識で医療に取り組む

先生のご専門について教えてください。

杉田尚史院長 南ときわ台耳鼻咽喉科5

大学では、中耳炎と小児の副鼻腔炎(ふくびくうえん)、つまり蓄膿症(ちくのうしょう)を研究のメインテーマとし、大学病院勤務時代は、小児の副鼻腔炎の手術を多数扱っていました。中耳炎については特に真珠腫性中耳炎という中耳炎の研究も行っていました。この中耳炎は、まだ抗生物質の種類が少なかった時代には聴力を奪ってしまったり、場合によっては脳炎まで併発したりすることのある怖い病気でした。現在は対処方法が増えたものの、治療に手術が必要であることは変わりません。こういった難症例で専門性の高い医療を必要とする場合には、専門の医療機関を紹介しています。開業医になってから、自らが研究に関わるということはなくなりましたが、まさに日進月歩の世界ですから、勉強会などには積極的に参加し、知識のブラッシュアップを図っています。

開業医と大学病院の医師とでは、どんな点が違うと感じますか?

開業医と大学病院に勤務する医師とでは、そもそも果たすべき役割が異なると考えています。大学病院勤務の医師は脇目も振らずに自分の専門性を追究することが大切で、いわば集中と選択です。一方で開業医には、気になる症状が出た時に診てもらえるかかりつけ医としての役割、そして患者自身も気がついていない重大な疾患を発見するという役割などがあると思います。つまり開業医の場合は、さまざまな分野の疾患や医療を広く知っていなければならないのです。医師として長く患者さんを診察していると、患者さんが気づいていない重大な疾患を発見することもあります。そういったときは、医師になって良かったと感じるものですね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

杉田尚史院長 南ときわ台耳鼻咽喉科6

新たな感染症は私たちの生活を一変させましたが、一方で換気や消毒など、うまく生活していくこつも覚えました。そんな中、少しでも患者さん方に安心して医療を受けていただけるよう、私たちも日々尽力しています。しかし、静かに降り積もる雪のようにストレスが私たちの中にたまっているのも事実。さまざまな我慢を強いられているのは大変です。一刻も早くこの事態が収束し、元どおりの日常が戻ってくることを願ってやみません。

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