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大城 堅一 院長の独自取材記事

ねりま西クリニック

(練馬区/和光市駅)

最終更新日:2024/04/15

大城堅一院長 ねりま西クリニック main

大泉学園の緑豊かな町並みの中、大きなたたずまいが目を引く「ねりま西クリニック」。院長の大城堅一先生は訪問診療に長年にわたって取り組んできたドクターで、新しい訪問診療の在り方について記した著作もある。同院が所属する医療法人社団星の砂の理事長も務め、地域医療を総合的に担うのに必要な多種多様な機能を備えて診療にあたっている。外来同様、自宅でも必要な医療を提供するため各種先進機器を備えている。365日24時間体制で対応する往診システムも持つが「約30人の医師をはじめ、看護師、助手などすべてのスタッフがいてこそ成り立っています」と、働きやすい環境づくりにも注力する。優しく「そうね」と相手を受け入れながら話す姿が印象的だった大城院長に、診療にかける思いなどを詳しく聞いた。

(取材日2024年3月29日)

先進機器を携えて病だけではなく人を診る訪問診療

まず、クリニックの特色を教えてください。

大城堅一院長 ねりま西クリニック1

当院は在宅医療をメインとしながら、外来診療、デイケア、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援なども行い、主にご高齢の方を対象に地域包括医療を提供しているクリニックです。大規模病院と連携し緊急入院の体制が整備されているなどの施設基準をクリアした機能強化型在宅療養支援診療所でもあります。訪問診療には約30人の医師が関わっていますが、整形外科、内科、精神科、耳鼻咽喉科、皮膚科、眼科、消化器外科、心臓血管外科など専門分野はさまざまで、普段は大学病院で先端の医療に携わっている者も少なくありません。一方、夜間休日担当の医師もいて、24時間365日、患者さんの依頼を受けて往診に駆けつけています。往診は8年前までは私一人でやっていたので、今は非常に助かっていますね。

こちらで行っている訪問診療の特徴は何ですか?

今はポータブルな医療機器も進化していて、ご自宅でエックス線検査も可能です。その他、ホルター心電図、嚥下機能内視鏡、超音波検査装置なども持っていきます。白内障、緑内障などの方も多いので眼底検査装置、視力検査装置、眼圧計なども欠かせません。床ずれの処置など簡単な外科手術を行うことも多いので止血用の機器も常備しています。機器類は充実しているほうだと自負していますが、さらにこだわっているのが必ず複数人のグループで訪問するという点です。基本的には医師、看護師、助手、ドライバーの4人で回るようにしています。訪問診療というと看取りをイメージされる方も多いのですが、私はそれだけとは考えていません。だからこそこの人数がどうしても必要なんです。

先生が考える訪問診療とはどのようなものですか?

大城堅一院長 ねりま西クリニック2

確かに私が訪問診療に携わるようになった2005年頃は看取りが中心で、患者さんのご自宅でできることも限られていました。でも、看取りは結果でしかなくて、あくまでもそこに至る日々の生活をいかに良いものにしていくかが大事だと思うんです。だからこそ、たとえ自宅でも幅広い診療科の医療が受けられるようにして、患者さんが最期まで充実した人生を送るためのサポートをするという、新しいかたちの訪問診療を早くから模索していました。これまでの取り組みを『自宅で死を待つ老人たち』という著作にまとめたこともありますが、本当は『訪問診療2.0』というタイトルにしたかったんですよ(笑)。病だけではなく人を診る訪問診療をこれからも続けていきたいです。

無医村での経験から患者の「仕方ない」をなくす決意

先生が医師になったきっかけやご経歴などを教えていただけますか?

大城堅一院長 ねりま西クリニック3

何かしらの技術職に就きたいとは考えていて、自動車の開発などにも興味がありました。でもそれ以上に、患者さんの命や生活を守るための医師の仕事に魅力を感じたんです。大学卒業後は教育プログラムの一環で沖縄の渡名喜島という無医村で過ごしたこともありますが、那覇出身の私でも初めて足を踏み入れる場所でした。幅広く何でも診ましたが、一人ではどうしても限界もあって。大学病院のような充実した医療が受けられなくても「仕方ない」という患者さんを「もっとどうにかできないか」と悔しい思いを何度もしたことが、訪問診療に取り組む原動力になっています。無医村だけではなく都会でも「もう動けないから」と諦めている人がたくさんいますからね。その後、東京警察病院の整形外科に10年ほど勤務しながら市中クリニックで訪問診療の経験も積み、2011年に当院を継承開業しました。

これまで印象に残っている患者さんはいますか?

患者さん一人ひとり、どなたも忘れがたいのですが、中でも印象に残っているのが映像関係のお仕事をしていたというとある男性です。訪問診療でずっと診ていて亡くなった後にお線香をあげに行ったら、奥さまがビデオレターを見せてくれたんですよ。内緒で奥さまへの感謝を込めたラストメッセージをお作りになっていたんですね。プロということもあるかもしれませんが、それはそれは感動的で……。最期まで作りたいものを作り、やりたいことをやれるように全力でサポートしていくのは本当に大事なことだと、あらためて思いましたね。また、そういったプライベートなものを見せていただけるような関係をご家族と築くことができたのも、心からうれしいことでした。

患者さんやご家族と接する際、何を大切にしていますか?

大城堅一院長 ねりま西クリニック4

患者さんが生きている間にやれることをやり尽くすことを大切にしています。医師としてはもちろんですが、私は身近な人に対して子どもの頃からそうしたいと思うタイプだったんです。沖縄に住んでいた母方の祖父母は90代まで長生きしましたが、いとこたちの中で一番お見舞いに行っていましたしね。祖父母もそうでしたが年齢を重ねれば誰でもいろいろな困り事が増えますから、痛みで動けない、飲み込みが悪くて食事が楽しめない、眠れないなど、患者さんたちの日常生活上の悩みにも寄り添うようにしています。また、ご家族の中には「どうしたらいいか決められない」と苦しんでいる方も少なくありません。説明だけして選択を委ねるのではなく、「私がお勧めするのはこちらですが」ということもきちんとお話しするようにしていますね。

通院と往診のハイブリッド型診療を強化したい

今後の展望についてお聞かせください。

大城堅一院長 ねりま西クリニック5

ここ数年で、私が訪問診療に関わるようになった20年前とは大きく状況が変わりました。かつてはリタイアした高齢の先生がやっていることも多かったのですが、最近はこれからの医師人生をかける志を持って取り組む若い先生たちもどんどん増えています。当院にも順天堂大学医学部附属順天堂医院、杏林大学医学部付属病院などに勤務しながら訪問診療に携わっている先生方がいますが、昔なら考えられなかったことです。この20年、訪問診療に取り組む医師の地位向上とともに歩んできましたが、これからも極めていきたいと思っています。単に人員を増やして自分のクリニックを大きくするだけではなく、高次医療、介護の現場との横の連携も強化しながら、患者さんにとってメリットの大きい診療を追求していきたいです。

お忙しい毎日かと思いますが、リフレッシュ法などはありますか?

趣味は読書で、ビジネ書を中心として、少なくとも週に1冊は読むようにしています。たくさんのスタッフたちをまとめていかなければいけないので「どうしたら人の心をつかめるのか」といったテーマに興味がありますね。事件などで話題になった経済界の人物に迫った書物などを読み「こんな人だったのか」と知るのも面白い。読み物としても楽しめますし、気分転換になっています。また、沖縄にも訪問診療を中心としたサテライトクリニックを開業したので月に1度は顔を出していますが、やはり故郷の空気にふれるのは何よりのリフレッシュですね。

読者へのメッセージをお願いします。

大城堅一院長 ねりま西クリニック6

高齢者の健康管理に関するコンビニのような場所でありたいと思っています。デパートではないかもしれませんが「どんなことでもあそこへ相談すればなんとかなる」と頼りにしてもらえるように、これからも全力で取り組んでいきます。特に本年度からは、定期的な訪問診療に至る前段階の方々についても注力していく予定です。送迎サービスもあるので基本的には外来に通院していただきながら、困ったことがあったら往診で対応していくというスタイルを推奨していきます。そのためには、往診のスタッフにも頑張ってもらわないといけないので当直施設も造りました。一人ひとりが働きやすい環境を整え、真心込めてより良い医療を提供できるよう進化していきますので、少しでもお困りのことがあれば気軽にご相談ください。

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