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千木良 まこと 院長の独自取材記事

ちぎら医院

(杉並区/西荻窪駅)

最終更新日:2024/05/10

千木良まこと院長 ちぎら医院 main

乳幼児の診療から看取りまで、地域になくてはならないかかりつけ医として、近隣住民の健康を守り続けてきた「ちぎら医院」。1932年に西荻窪の地で開院し、今は3代目院長の千木良まこと先生が院長を務める。「白衣は威圧感があるから」と普段着で診察し、患者の話を聞く間も決して笑顔を絶やすことがない千木良院長。一般診療を行いながら、2008年には医院2階に病児保育室を開設し、地域の働く親たちをサポートしている。患者の人生に寄り添い、薬や検査を必要最小限にして「幸せに生きる」ための医療を実践する千木良院長に、かかりつけ医としてのやりがい、病児保育や自身が考案したダイエット法などについて語ってもらった。

(取材日2023年11月20日)

地域の家族全員を見守るホームドクターでありたい

先生が3代目院長として大事にされていることは何でしょうか?

千木良まこと院長 ちぎら医院1

昔から変わらないのは、地域の皆さんの「ホームドクター」でありたいという思いです。お子さんからおじいちゃん、おばあちゃんまで、家族全員を診られる医師が理想です。例えば、親御さんも診ていれば、お子さんのアレルギー体質も想像しやすかったりします。家庭環境も含め、全体を見てなんとなくわかっていると、必要以上の検査や薬は望まないなど、そのご家庭が望む治療もわかりやすかったりします。内科・小児科・皮膚科を標榜していますが、眼科も耳鼻咽喉科も泌尿器科も、何か具合が悪ければ、なんでも気軽に相談できるクリニックでありたいと考えています。何科を受診したらいいのかわからないといった相談も、まず当院で診て、必要性があれば適切な医療機関へご紹介しています。

医療機器や設備など、医院の特色についてお聞かせください。

医療機器では、AI搭載のインフルエンザ検査医療機器を活用し、治療についてもアトピー性皮膚炎の治療法として新たに登場した注射薬に対応するなど、新しいものを積極的に取り入れています。設備については、患者さんの利便性向上のために自動精算機と電子カルテを導入しています。電子カルテは3つある診察室と薬棚の前、受付など各所に設置したタブレット型端末やパソコンで確認できるんです。診察室を3つ設けたのは、患者さんを一人ひとりお呼びするより、患者さんが待機する3つの診察室を私が回るほうが効率的だからです。「患者さんをお待たせしない院内づくり」で、患者さんの院内滞在時間の短縮につなげています。

インテリアにもこだわっているそうですね。

千木良まこと院長 ちぎら医院2

院内にいる間は快適に過ごしてほしいと、おしゃれで落ち着いた雰囲気にしました。いかにも病院といった雰囲気にしたくなくて、水回りや棚などは住宅のキッチンに使われているものを選んでいます。診察券もオリジナルで、裏面にあるQRコードを読めば医院ホームページに飛ぶしくみです。先進の医療機器や治療法を取り入れ、利便性向上のための設備もそろえ、待ち時間を減らす工夫をして、快適に過ごしていただける、そんな「なんでもそろっているクリニック」をめざしています。

診療方針を教えてください。

この頃は「薬なしで、自然経過で大丈夫だよ」と言う医師が少ないと思います。クリニックに来るたびに検査をしたり、薬を増やしたりして。だから私は診断をつけた上で「大丈夫だよ、これくらい」と言える医師でありたいのです。医師は薬を出すのが仕事のようになっていますが、私は本当に必要な時以外は、なるべく薬を出さないようにしています。特に初めての発熱で赤ちゃんを連れて来られたお母さんには風邪で薬を出すと、風邪は薬で治すものだと刷り込まれてしまうからです。もともと人間は動物ですから、外界のウイルスや細菌に対して抵抗力があるので、薬を飲みたくない人には、処方をしないという選択肢もありなんですよ。「必要以上に医療が介入しなくても生きていける」「生きることが幸せになるように、ちょっとサポートするのが医療」というのが私の基本的な考えです。

なんでも相談できる「かかりつけ医」に

いつからそのような方針に?

千木良まこと院長 ちぎら医院3

病院勤務の頃は、検査は当たり前、薬の量が増えていくのも当たり前と思っていたのですが、開業して外から見た時に、自分だったらこんなに検査したり薬を使われたりしたくないと思ったんです。実際、子どもに薬を飲ませたくない親御さんはたくさんいます。なので、今は症状を診て薬は不要だと判断したら、「これは放っておいていいよ」「子どもは風邪をひくものだから、今は闘っているなと遠目に見ていれば勝手に治っていくよ」と、言葉で安心感を与えるようにしています。

地域医療の醍醐味についてお聞かせください。

子どもの時に診ていた患者さんが成人して、結婚して、そのうち子どもを連れて来てくれるかもしれません。そしてお父さん、お母さんだった方がおじいちゃん、おばあちゃんになってね。そうやってご家族の皆さんをずっと見守っていけたらいいなと思っています。その中で「この子、無事にこんなに大きくなりました」とか、「先生、私を看取ってください」「任せといてね」といった会話があれば、医師としてとてもありがたいし、うれしいですよね。

なんでも相談できるかかりつけの医院がそばにあると安心ですね。

安心感という点では、スタッフの役割も大きいですよね。長く働いてくれているスタッフだと、一人ひとりの患者さんの顔がわかって、子どもの患者さんであれば成長過程もわかります。また患者さんにしても、街で会ったらあいさつし合えるような顔見知りのスタッフがいると、「久しぶり」という感じで気軽に来ていただけるのではないでしょうか。医療というのは、人の「顔」が見えてこそ適切に提供できると考えています。患者さんのバックグラウンドを把握して、コミュニケーションもしっかり取れている、それが本当の意味での「かかりつけ医」なのかもしれません。

病児保育の取り組みでも地域に貢献していらっしゃいます。

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2008年から医院の2階で病児保育室「ラビットルーム」を始めました。風邪で熱が出ていれば保育園は預かってくれませんし、朝元気でも熱が出ればすぐに職場に連絡がいき、仕事の都合をつけてお迎えに行かなければなりません。そんな働くお母さん方のお役に立てればと始めましたが、実際は具合が悪い時に家で面倒を見てもらうことができない子どものための施設です。病児保育室には隔離室も2つあり、私は朝と夕方の2回回診して、子どもたちの状態を確認しています。

薬に頼らず強い体をつくるためにまい進

ダイエット法を考案し、2017年には本も出版されたとか。

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このダイエット法は炭水化物をぐっと減らして、その代わりにたんぱく質と脂質をしっかり取って体をつくり変えようというもので、ダイエットだけでなく健康でいられることをめざしています。考案のきっかけは、診察する中で、体重をコントロールすれば、多くの生活習慣病は予防できるのではないだろうかと考えたことです。私自身、27年前に開業した時、体重が70kgくらいあったんですね。体重さえ落とせば、こんなに薬にお世話にならずに済む。その方法を考案することが医師としてやらなくてはいけないことだと思い、約15年間試行錯誤して、ようやく自分なりの方法にたどり着いたんです。

先生のご趣味は何ですか?

マラソンです。100km以上のマラソンに参加していて、2009年には名古屋城からスタートし、金沢の兼六園がゴールという「さくら道国際ネイチャーラン」で、250kmを28時間52分でゴールし、総合4位になりました。今の体重は55kgくらい。おかげでこの年にしてはスリムな体形を維持できています。私の目標は「究極のホモ・サピエンス」になることです。震災があっても、どこまでも動き続けられる強い体が理想ですね。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

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生きていくことを邪魔する医療ではなく、幸せに生きることをサポートする医療を目標にしています。薬に頼らなくても、ご自身で体重をコントロールして、みんなが健康に幸せになってくれれば、医師としてこんなにうれしいことはありません。なんでも相談できるかかりつけ医として、家族みんなの「生きる」をサポートし、人生を見守っていきたいと思います。子どもはよく風邪をひくものですが、風邪をひく度に病院へ連れて行き、通院の時間に追われて子育てを楽しめていないお母さんはたくさんいらっしゃいます。医療がそんなに介入しなくても、みんな元気に育つと知れば、子育てがもっと楽しくなりますよ。

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