甲状腺疾患の見逃せないサインと
クリニックで受けられる治療とは
神楽坂やまもと内科クリニック
(新宿区/飯田橋駅)
最終更新日:2024/02/15
- 保険診療
甲状腺疾患は比較的女性に多く発症し、決して珍しいものではない。しかし、甲状腺という臓器は普段あまり意識されることは少ない。「更年期のような症状で産婦人科を受診したり、動悸を自覚して循環器内科にかかっても解決せず、最終的に内分泌内科で甲状腺疾患と診断されるケースも少なくありません」と「神楽坂やまもと内科クリニック」の山本剛史院長は警鐘を鳴らす。大学病院で20年以上にわたり研鑽を積み、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医でもある山本院長。甲状腺疾患とはどのようなものなのか、また、さまざまな診療科を渡り歩く前に「まずは内分泌内科」という選択肢がなぜ重要なのか詳しく教えてもらった。
(取材日2024年1月31日)
目次
甲状腺疾患は長い付き合いになる病気だが、早期発見・早期治療で生活の質を維持することは十分にめざせる
- Q代表的な甲状腺疾患のバセドウ病と橋本病はどんな病気ですか。
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A
甲状腺ホルモンは心拍数、妊孕性、消化など多くの生命活動に関係しています。この分泌が過剰になってしまうバセドウ病の患者さんは常に100m走を全力で走っているような状態です。急激に痩せ、倦怠感や疲労感で日常生活に支障を来すことも少なくありません。一方、橋本病は甲状腺ホルモンの量が不足する病気です。新陳代謝が滞り、むくみ、体重増加、無気力などが見られます。女性の10人に1人に発症するといわれるほどよくある病気ですが、「最近、やる気が出ないけど年齢のせいかしら」と見過ごされがちです。更年期障害ともよく誤解されますが、婦人科では改善が見られないようならば一度、内分泌内科を訪れていただければと思います。
- Q甲状腺疾患はどのようなタイミングで受診すべきですか。
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A
体重の増減も手がかりになります。ちゃんと食べているのに1ヵ月で3〜4kg体重が減る、逆に何をしても体重が減らないなどの時は検査をしてもいいでしょう。バセドウ病は20~40代での発症が多いです。産後に発症するケースもあります。そのまま放置していると不妊や流産の原因となりますが、治療によるコントロールを図れば十分妊娠・出産を望めます。また、橋本病の患者さんは、年齢が高いほど有病率が増えます。橋本病、バセドウ病ともにゆっくりと進行する方ばかりではなく、急激に症状が進む人もいます。急性の方ほど早期発見・早期治療が大事ですし、よくわからない不快症状は「まずは内分泌内科」という選択肢も実はあるんです。
- Q甲状腺疾患に関して、どのような検査を受けられますか。
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A
甲状腺疾患はまず血液検査で甲状腺ホルモンの異常を調べる必要がありますが、当院では20分程度で検査結果が出せるのが特徴です。大きな病院などでは2時間程度待つこともよくありますが、小回りが利く、町のクリニックならではのメリットとも言えるでしょう。また、より適切な診断のためには超音波検査も欠かせません。バセドウ病では甲状腺内部の血流が増えていたり、橋本病では甲状腺そのものが小さくなっていたり、超音波検査で確認できることは少なくありません。甲状腺腫瘍の発見にも役立ちますし、臨床検査技師も常駐してしっかりと検査できる体制を整えています。
- Q臨床検査技師の方について教えてください。
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A
検査を担当するのは、大規模病院や内科クリニックでの経験が豊富なベテランの臨床検査技師です。甲状腺を専門とするクリニックで働いていたこともあり、甲状腺疾患が長く付き合わなくてはいけない病気であることも熟知しています。スピーディーに検査を行うだけではなく、患者さんの気持ちにも寄りそってコミュニケーションしてくれるのはありがたいですね。その他、管理栄養士、看護師、受付事務と僕を含めて5人のスタッフで、年齢もキャリアもさまざまですが、患者さんと人と人として向き合いたいという思いは共有しています。
- Q甲状腺疾患の治療のこだわりについて教えてください。
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A
甲状腺疾患は、長く抱えることになる人が大半です。人生を歩む中で常に気にしなくてはいけないことが一つ増えてしまうのはその方にとって少なからず負担になります。できるだけ患者さん一人ひとりのライフスタイルを害すことなく良好なコントロールをめざしていきたいです。バセドウ病も橋本病も心不全や不整脈などの合併症の危険があり、命に関わることもあるので注意しなければいけません。やはり薬を途中で止めてしまうのが悪化の一番の原因なので、通院を続けてもらえるように支えていきたいと思っています。