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河本 敦 院長の独自取材記事

ひだまりこどもクリニック

(松山市/いよ立花駅)

最終更新日:2023/10/27

河本敦院長 ひだまりこどもクリニック main

2023年7月1日、松山市古川の徳丸小児科は「ひだまりこどもクリニック」に院名を変更し、新たなスタートを切った。承継というかたちで新院長に就任した河本敦先生は、小児科の循環器領域で研鑽を積んだ後、総合的に診る力を身につけて開業。感染症や皮膚症状などの一般小児診療だけでなく、育児相談や健診にも注力し、循環器疾患などの早期発見・治療につなげる役割も担う。「地域の子どもたちや親御さんに近い立場で成長を見守っていきたい」と話す河本院長に、地域医療への思い、今後の展開について話を聞いた。

(取材日2023年7月31日)

「身近な小児科のお医者さん」をめざす

開業の経緯から教えてください。

河本敦院長 ひだまりこどもクリニック1

小児科医師として開業するか総合病院で働くかという大きな選択肢の前に立った時、開業をしてより地域の人たちにとって身近な存在になりたいと考えました。その矢先、もともと患者さんがいらっしゃる小児科クリニックを承継するかたちだとスタートが切りやすいということで、知り合いの先生から承継の話があったんです。それが徳丸小児科でした。長年小児科医療に尽力されてきた徳丸久先生とも実際に話をする中で、お互いの意見も合致しまして、開業に至ったという経緯です。ここなら自分のやりたかった小児医療もかなうんじゃないかと感じたんです。

開業にあたってのコンセプトは?

第一に、来院される方は皆さん何か不快なところがあって来られていますので、快適な空間で、心安らぐようにということは考えています。一つでも嫌な思いや不安、痛みなどを取り除いて日常生活に戻して差し上げることを一番に優先しています。お母さんやお父さんたちが、お子さんのどういうことで悩んでいるか、些細なことも相談してもらえるような、身近なクリニックにできたらいいなと思っています。

先生が子どもや保護者に接する際に心がけていることは?

河本敦院長 ひだまりこどもクリニック2

2つあって、まずどんな些細なことでも必ず子どもに話しかけることです。検査をする前も「ちょっと今からこういう検査をするよ」という説明をします。もちろん親御さんにもしますが、本人に向けて語りかけることを大切にしています。もう一つは、一番困っていることは何か問いかけることです。親御さんが納得されていない雰囲気があれば、必ず声をかけ、困っていること、気になっていることを拾い上げるよう心がけていますね。ただ診察をして、お薬を出しておきますねと言っても、「うーん……」という表情をされる方はいらっしゃるので、言葉だけでなく表情も見て、何を求めてらっしゃるのかを察知するようにしています。決して一方通行の診療にならないようにしていますね。

患者さんとのコミュニケーションを大切にされているのですね。

診察が早いのも大事ですが、やはり大切なのはコミュニケーションです。疾患だけを診るのではなく、子育てについてもできる限りサポートしていきたいと思っています。夜泣きや寝かしつけがうまくいかない、おねしょや偏食で困っているなど、育児の相談も気軽にしていただきたいということで、それぞれ外来も開設しているんです。私自身も親になったことで、親御さんの不安な気持ちに共感できるようになったと思います。やはり妻が子育てで不安がっているのを見ると、お母さんってこういう気持ちになるんだなと、たくさんの気づきがありました。お母さんたちの悩みにも、もっと寄り添えるようになりたいという気持ちがより強くなりましたね。

育児相談から循環器疾患まで幅広い診療を展開

先生が医師を志したきっかけは?

河本敦院長 ひだまりこどもクリニック3

私は中学・高校とテニスに打ち込んでいたのですが、高校1年の時に足に痛みが出て、病気が見つかったために手術を受けたんです。その経験をしたことで「お医者さんってすごい仕事だな」と思いました。それが医師になろうと思ったきっかけですね。その後進路を考える時も、医師になりたいという思いは変わりませんでした。私は山口県出身ですが、祖父母の代まではずっと愛媛に住んでいたこともあり、縁のある場所だった愛媛大学の医学部に進学しました。小児科に進んだのは、何より子どもが好きだからです。小児科の中でもやはり生まれつきの病気というのが小児科ではすごく問題になってきます。そういう先天性疾患に学術的興味を惹かれたこともあって、心臓疾患など循環器領域を専門に研鑽を積んできました。

その後はどういった経験を積まれたのですか?

小児科医は、みんな何かしら自分の専門分野を持ちますが、一方で総合的に診る知識やスキルも必要となります。例えばアレルギーといっても、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎などがあって、大人だったらそれぞれ皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科というふうに行き先が分かれるんですが、子どもの場合は小児科がすべてを診なければなりません。そこで総合的に診る能力をつけるために、岡山県の倉敷中央病院に入職しました。ここは本当に患者さんが多くて、患者さんが次から次へと来られるんです。まるで症例のシャワーを浴びるような毎日でしたね。ここでの3年間で小児科医師としての土台を固めつつ、循環器の専門領域も学び、総合力を身につけていきました。その後、愛媛県に帰ってきて、愛媛県立中央病院や愛媛県立今治病院など、都市ごとの中核病院、愛媛大学医学部附属病院での勤務を経て開業しました。

力を入れている診療について教えてください。

河本敦院長 ひだまりこどもクリニック4

オールラウンダーとして、お子さんの症状ならなんでも診られるようにと考えていますが、やはり専門領域である心臓検診には注力しています。小学1年と中学1年の時にそれぞれ日本中の子どもが心電図検診を受けるのですが、そこで引っかかった子をさらに詳しく調べるための心エコー検査や心電図検査を導入し、受け入れ体制を整えています。また検査としては、アレルギー検査も実施していますが、お子さんにどのアレルギーがあるかわからなくて困っている親御さんは結構多いので、そういう方はぜひ受けていただきたいです。あとは先代の徳丸院長が専門とされていた低身長などの成長障害ですね。お子さんの成長を健診でしっかりと追っていきながら、何か見つかった場合には大学病院との連携も視野に入れつつ速やかに対応していきたいと考えています。

医療と福祉の包括支援で地域貢献を

これまでの医師人生で印象的な患者さんとのエピソードを教えてください。

河本敦院長 ひだまりこどもクリニック5

愛媛県立中央病院に勤務していた時、脳腫瘍で闘病していた小学3年くらいのお子さんがいたんです。余命がもう半年、1年という状態で、当時の私はお薬の調節をするくらいしかできなかったのですが、毎日会いにいっておしゃべりをしたり、ボードゲームで遊んだりしていました。私が異動になって病院を離れた後、亡くなられたのですが、本当に今まで会ったことのないくらい純粋で心のきれいなお子さんでした。その子との出会いを経験し、やはり子どもたちには元気に過ごしてもらいたい、一人でも多くのお子さんを救いたいという気持ちになりました。それからは、リンパ節がちょっと腫れているという場合もエコーで確認するなど、疾患を見逃さないよう、また早期発見できるよう努めています。

今後の展望についてはいかがでしょう。

今後、町の小児科医師が医療サービスだけを提供する時代というのは終わっていくと思うんです。少子化で患者さんの数も減り、ワクチンの発達で防げる感染症も今後ますます増えていくでしょう。私たちが今目を向けるべきなのは、病児保育や医療的ケアを必要とする寝たきりのお子さんたちです。新生児で助けられる命が増えているのは確かですが、その分、退院後に人工呼吸器や胃ろうなどを使用するお子さんが増えているのです。今後はそんなお子さんたちのケアを在宅で提供できるよう、体制を整えていきたいと考えています。将来的には医師や看護師を増やし、訪問診療や訪問看護、病児保育など、医療と福祉の包括的支援で地域に貢献していきたいです。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

河本敦院長 ひだまりこどもクリニック6

一方通行の診療ではなく、コミュニケーションを取りながら地域の皆さんと一緒にお子さんを見守っていけたらと考えています。親御さんから教えてもらうことも多いですから、些細なことでも思うことがあればどんどんお話ししていただきたいと思います。疑問に感じたり、不安に思ったりしたことをお伝えいただけたら、こちらもお応えできますし、もしわからない場合は調べることで私自身のスキルの向上にもつながっていきますので(笑)。患者さんから学び、私も日々研鑽を重ねていきたいと思っています。

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