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米澤 早知子 院長の独自取材記事

なのはなこども医院

(伊予市/新川駅)

最終更新日:2023/08/31

米澤早知子院長 なのはなこども医院 main

地元の園児たちが植樹した美しい花々に囲まれた「なのはなこども医院」。1年半ほど小児科専門の医院がなかった伊予市に、待望の新規開業となった。日本小児科学会小児科専門医として、松山赤十字病院や愛媛県立中央病院など愛媛県内の総合病院で20年以上にわたり小児科医療に従事してきた米澤早知子院長は、「自分が必要とされる場所で働きたい」と思い、伊予市での開業を決意。「地域の子どもたちの健康をサポートするとともに、保護者の皆さんの育児支援に取り組んでいきたい」という米澤先生に、院内のこだわりや小児科医療への思い、今後の展望などをたっぷりと聞いた。

(取材日2023年7月15日)

感染症対策を徹底、子どもも大人も安心できる小児科に

伊予市に待望の小児科専門の医院として開業されましたが、それまでの経緯を教えていただけますか?

米澤早知子院長 なのはなこども医院1

私はこれまで県内の総合病院で小児科医師として勤務してきました。ただ、開業したいという思いは以前から持っており、2023年春に開業するという形で準備を始めたところ、ちょうど伊予市で開業支援の話があると聞き、ご縁を感じたんです。伊予市は、前の先生が閉院されてから小児科専門の医院が1年半ほどなく、地元の保護者の方々が近隣市町の小児科へ足を伸ばさないといけないという不便を聞いていましたので、必要とされる場所でお役に立ちたいという思いもあり、伊予市での開業を決めました。

医院のコンセプトを教えてください。

お子さんと保護者の方にワクワクしてもらえる場所であること。保護者の方が安心してお子さんを連れて来られること。この2つをコンセプトとして医院づくりを行いました。まずは感染症対策。小児科って、風邪や胃腸炎などのお子さんが多く来られるので、健診や予防接種で来られた元気なお子さんがそこで感染してしまうリスクがあるんです。それはできる限り避けたかったので、一般診療と感染症の患者さんの動線を、受付から待合室、診察室まですべて分けることにしました。診察室は一般診察室と感染症診察室合わせて8室あり、トイレもそれぞれの空間に設けています。また、各診察室のドアやキッズスペースの壁面には、かわいい動物のイラストをあしらって楽しい空間に。あるイラストレーターの作品を使用させていただきました。

ここまで感染症対策をしっかりされていると、保護者も安心ですね。

米澤早知子院長 なのはなこども医院2

そう思っていただけたらうれしいです。当院では健診で来られたお子さんでも、鼻水などの症状が見られた場合は感染症診察室で対応するようにしています。総合病院での勤務医時代、ごった返した外来の中、風邪で診察をした子が、数日後に下痢症状で再度来られたことがあったんです。明らかに病院でもらってしまったんだなぁと思って……。そういうことは、極力ないようにしたかったんです。ここ数年、新型コロナウイルス感染症の流行を経て、診察まで車内で待ってもらうという対応をされているクリニックも多いと思うのですが、当院は感染症を診療する診察室を6室構えていますので、なるべくお部屋の中で横になって待ってもらうことができます。診察前からお会計まで、そのままベッドでお休みいただけます。

子育ての悩みや不安を相談できる場所でありたい

先生が注力されている診療内容について教えてください。

米澤早知子院長 なのはなこども医院3

開業した一番の理由は、育児支援がしたかったからなんです。不安な症状があって来られる方はもちろん、乳幼児健診や予防接種に来られた保護者の方にも、育児に関するお悩みや心配事がないかお聞きするようにしていますし、お手伝いできることはないかなという目線は常に持っています。特に初めての育児って不安だらけだと思うんです。そのときに、ちゃんと寄り添ってくれるかかりつけの小児科医師がいれば、保護者の方も安心できるかなと思います。私自身も、2人の子どもを持つ母親として、子育てに奮闘してきました。小児科医師とはいえ、ほかのお母さんと同じように子育てに関する悩みや不安はありましたので、やはり寄り添うことは大切にしていきたいと考えています。

ご自身の子育て経験を振り返って、保護者に伝えたいことはありますか?

自分自身、育児疲れでつらかった時期に、家族や周囲の方に支えてもらったので、今度は自分が支える側になりたいという思いがあります。育児中の保護者の方には、どんどん周りを頼ってほしいなと思いますね。頼ったらみんな応えてくれるんだけど、なかなかその一歩が難しいですよね。でも、それをしないとなかなか子育てって大変ですので、周りに相談したり、助けてもらったりしてほしいなと思います。当院で、行政や福祉機関ともつながる役割ができればとも考えています。

先生や看護師さん、受付のスタッフさんからとっても温かい雰囲気があふれているように感じます。

米澤早知子院長 なのはなこども医院4

お子さん、保護者の方が話しやすい雰囲気をつくるために、看護師や受付スタッフは優しい人しかいません(笑)。看護師さんってみんな基本的に優しいですが、当院は特に優しい人たちが集まってくれたなと本当に思います。そして何より子どもが好きであることが絶対条件です。現在子育て中のスタッフもいますし、子育て経験のないスタッフも、みんな子どもが大好きなんです。お子さんをはじめお母さんやお父さん、おじいちゃん、おばあちゃん。みんなに優しい気持ちで帰ってもらえたらなという気持ちで働いてくれています。

お子さんのどういった症状やお悩みが多いですか?

症状でいうと、湿疹やあせも、アレルギーからくる皮膚症状が多いですね。特にアレルギーの心配をされている方は多いように感じます。乳児期の湿疹を早めに治療しないと食物アレルギーにつながる恐れもあるといわれているので、皮膚症状の治療にも注力しています。あとは、乳幼児の便秘も結構多いんですよ。3日以上排便がなかったら便秘といわれています。便秘は気づかずに放置されていることが多いんです。出ないのが当たり前になっているということですね。それが異常だと認識されていないことが多いような気がします。便秘の場合は、食事を見直すだけではなかなか良くならないことが多いので、内服薬で治療をすることが多いです。おなかが痛いという症状で来られた原因が便秘であるケースは多いんですよ。

伊予市と連携した育児支援を推進

子どもに接する際に心がけていることはありますか?

米澤早知子院長 なのはなこども医院5

小児科が嫌だなって思われないように、優しい声かけを心がけています。泣いてしまって話が全然できない子もいますが、なるべくお子さんにもしっかり向き合い、おしゃべりするようにしています。そうすると、子どもさんなりの表現でいろいろ教えてくれるんですよ。また、採血や予防接種の励みにもなるよう、ご褒美のシールを用意するなど工夫はしています。

先生が医師をめざしたきっかけについても教えていただけますか?

子どもの頃に体が弱くて、よく小児科に通っていましたし、肺炎で入院したこともありました。そのときに小児科の先生がすごく優しかった記憶があります。もともと社会的に弱い人のための仕事に就きたいという思いもあり、医師の道を志しました。愛媛大学医学部を卒業後、小児科の医局に所属し、その後地元の市立八幡浜病院に異動し、結婚・出産を経て愛媛県立中央病院に転勤となり、以降は松山赤十字病院、愛媛大学医学部附属病院の小児科で経験を積んできました。

患者さんとの印象的なエピソードはありますか?

米澤早知子院長 なのはなこども医院6

開院前は小児科一般に加え、血液・腫瘍の診療を担当していましたが、そのきっかけは医師になりたての頃に白血病の患者さんを担当したことでした。当時16歳だったその患者さんとの日々のやりとりの中で、とてもつらい白血病の治療を頑張っている彼女を見て、もっとできることはないかと思い、血液・腫瘍分野の専門性を高めようと思ったんです。退院されてからもずっと年賀状のやりとりが続いていたのですが今回の開院にあたり、内覧会に来てくれたんです。大人になった彼女に会えたことが本当にうれしかったですね。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

伊予市の子どもたちの健康をサポートしたいというのが一番ですが、市とも連携して、育児支援に取り組んでいきたいなと考えています。伊予市内の小学校の校医や、市の1歳半健診、3歳児健診も担当していますので、皆さんと接する機会も今後増えてくると思います。体調が悪い時はもちろんですが、子育てにおいて不安に思われることがあったら、お気軽にご相談ください。スタッフみんなでお待ちしています。

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