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高橋 由佳 院長の独自取材記事

IRISレディースクリニック神泉

(目黒区/渋谷駅)

最終更新日:2024/04/17

高橋由佳院長 IRISレディースクリニック神泉 main

渋谷駅から徒歩10分ほど、神泉町交差点そばに新しくできた複合ビル地下1階に2023年5月に開院した「IRIS(アイリス)レディースクリニック神泉」。「女性の強い味方となるクリニックをめざしたい」と話す高橋由佳院長は、これまで大学病院や総合周産期センターなどで多くの妊娠・出産を見守り、がんの治療や月経困難症などの一般婦人科診療に携わってきたドクター。働く女性が通いやすい妊婦健診、月経困難症の治療、子宮がん検診、子宮頸がんワクチン接種の4つを大きな柱として、温かみのある診療と適切な知識の啓発を心がけている。気さくで、思わずなんでも話してしまいたくなるような包容力のある高橋院長に、診療にかける思いを聞いた。

(取材日2023年6月22日)

働く女性も通いやすい、待ち時間の少ない妊婦健診を

まず開業の経緯や、クリニックのコンセプトを聞かせてください。

高橋由佳院長 IRISレディースクリニック神泉1

渋谷に近く、働く女性が多いエリアで開業したいと前々から考えていましたが、今回私の思いと合致する場所とご縁がありうれしく思っています。婦人科は、皆さんなんとなく行きにくいところだと思いますので、あえて病院らしくない雰囲気に、落ち着いたホテルのロビーをイメージしてつくりました。ウェブ予約制で待ち時間はなるべく少なく、プライバシーにも最大限配慮。「気になることがあるから、ちょっと寄ってみようかな」「先生に話してみようかな」と思っていただけるような、地域に根差した産婦人科クリニックに成長していけたらと思っています。

特に注力したい診療は何でしょうか?

大きく4つあります。まずは、オフィス街での開業にこだわった理由につながりますが、働く妊婦さんも通いやすい妊婦健診を行うことです。大きな病院で妊婦健診を受けるとなると、ちゃんと予約していても急な分娩や手術が入ったりして待ち時間が非常に長くなるのが常で大変ですよね。特に問題なく過ごせている健康な妊婦さんは、ご自宅や職場近くの通いやすいクリニックで妊婦健診を受け、高度な設備を持つ大きな病院は、妊娠高血圧症候群などの合併症や赤ちゃんの発育に問題があるような妊婦さんに集中する、というように役割を分担しようという仕組みがあります。セミオープンシステムというもので、当院は6つの基幹病院と医療連携しています。当院でお産はできませんが、妊娠初期から後期までの妊婦健診まで行い、後期になってお産が近くなったときに分娩する施設での健診に移行。最適な場所で、最適な医療を届けられるような体制づくりも意識しました。

目安として妊娠32~34週頃まで、こちらで健診が受けられるのですね。そして2つ目は何でしょう?

高橋由佳院長 IRISレディースクリニック神泉2

生理の悩みがあるのに、ずっと我慢して苦しんでいる方に対する診療です。生理による下腹部痛や腰痛などの症状があって日常生活に支障を来しているにもかかわらず、「こんなものなんだ」と思い込んでいる女性がなんと多いことか。これは「月経困難症」という病気で、ピルの内服などによって治療することができるんだとぜひ知っていただきたいですね。月経困難症には子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が隠れている場合があり、不妊の原因になることも。将来のためにも、早いうちから適切な治療を受けていただきたいと思います。

子宮がん検診と予防ワクチン接種の重要性を伝えたい

子宮がん検診の啓発にも積極的に取り組まれているとか。

高橋由佳院長 IRISレディースクリニック神泉3

「20歳を過ぎたら、子宮がん検診を」とうるさく言うのは、私が新人医師だった頃にまだ若い患者さんを亡くした経験があるからです。彼女は保育園の先生で、進行した子宮頸がんだと診断されてからも笑顔を忘れないすてきな方でした。それでも検査や治療は痛くてつらくて。私も付き添って歩きながら、2人で泣いた思い出があります。いつかは自分も子どもを産みたいと思い描いていた将来も、そして命までなくなってしまった彼女のことが今も忘れられません。あんな思いは皆さんにしてほしくない、だから私は「子宮がん検診を受けましょう」と言い続けます。子宮頸がんは、早く見つかれば完治が見込める病気なんです。

子宮がん検診とは、実際はどのような検査なのでしょうか。

子宮頸部を調べる子宮がん検診そのものは10秒もあれば終わります。ですが、それだけではわからない子宮や卵巣の異常もあるので、当院ではより詳しく調べることのできる超音波検査も一緒に受けていただくことをお勧めしています。子宮頸がん同様にリスクの高い、卵巣腫瘍や子宮内膜症等の早期発見・早期治療にもつながるためです。目黒区の子宮がん検診は2年に1回、6月から11月までの半年間無料で受けることができます。基本的には目黒区在住の20歳以上の方に配られていますが、全員に受診券が送付されるわけではなく、会社で受けているような方には配っていないようです。受診券が届かず、2年以内に職場での子宮がん検診の予定がない方は、目黒区に問い合わせて受診券をもらってくださいね。もちろん、不正出血などの症状がある時はいつでも検査を受けに来てください。

子宮頸がんは予防のためのワクチンを積極的に勧奨されていますね。

高橋由佳院長 IRISレディースクリニック神泉4

はい、私が取り組みたいことの4つ目が子宮頸がんワクチン接種の推奨です。2013年頃からワクチン接種後に副反応の訴えが相次いだため、予防接種を勧める積極的勧奨が中止されていました。その後さまざまな研究をもとに検討した結果、「ワクチンとの因果関係は証明できない」と厚生労働省が発表し、2022年に勧奨が再開されています。副反応はほかのものと同程度ですが、子宮頸がんワクチンというと今も「なんとなく怖い」と言われる方がいます。しかし私は「打たないほうが怖い」と思います。子宮頸がんは、ワクチンという予防手段のあるがん。性交渉を持つ前に打つことが大事で、15歳未満であれば2回の接種で済むものもあります。積極的勧奨が差し控えられていた頃の対象者である、2023年時点では16~26歳の女性にも、キャッチアップ接種という救済措置が取られています。がんの予防につながるせっかくの機会を逃してほしくないですね。

女性の強い味方になるクリニックをめざして

先生が医師をめざしたきっかけ、開業までの経歴を聞かせてください。

高橋由佳院長 IRISレディースクリニック神泉5

私には一回り程歳の離れた弟がいまして。小学6年生の頃、母の妊娠から出産までを間近で見たことがきっかけで、赤ちゃんが生まれるってすごく不思議なことだなと興味を抱くようになり、「産婦人科の医師になる」のが夢になりました。大学院では「胎児の睡眠リズム」について研究をし、医学博士号を取得。その後産科を専門として多くの妊娠・出産に立ち合い、無痛分娩や胎児の超音波検査など専門的な技術を要する診療にも携わってきました。自身の出産の前後に日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本超音波医学会超音波専門医の資格を取得。さらに、周産期医療の中でも特に母体・胎児に関する専門性を高めました。妊娠期間中には、無理をしたのか入院することになって休職しました。自分自身の妊娠出産を通じ、産婦人科医として身をもって学ぶことがたくさんありました。そういった経験を診療にも生かしていきたいと思っています。

母親としての視点もおありなんですね。

そうですね。特に10代の患者さんに対しては、娘のように思ってしまうところがあります。「避妊に失敗したから緊急避妊薬がほしい」という方や、妊娠しないと思い込んで避妊をしない方などは特に、自分の体のことや避妊の方法、性感染症などについて無知なところがあり、子宮がん検診も受けていない、ワクチンも接種していないことが多いです。当院に来てくださったのも何かのご縁、いろいろお話できるチャンスだと思います。口うるさいお母さんみたいな先生と思われるかもしれませんが、自分の体をもっと大事にしてほしいという一心です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

高橋由佳院長 IRISレディースクリニック神泉6

これまでお話しした以外にも、思春期から老年期における女性特有の症状や病気に幅広く対応しています。医師は私のほかに夫である高橋健先生が、主に産科の診療を週1回程行っています。実は私の帝王切開手術も、夫が担当したんですよ。現在は東京慈恵会医科大学附属病院 母子医療センター産科の病棟医長を務めています。夫とはずっと周産期の現場でともに働いてきたので、いわば同志のような存在ですね。当院には助産師も勤務しておりますので、母乳の相談などもお受けしています。「女性の強い味方となるクリニック」をめざし、患者さんお一人お一人に誠実に向き合っていきたいと考えていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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