全国のドクター9,253人の想いを取材
クリニック・病院 158,515件の情報を掲載(2024年6月02日現在)

  1. TOP
  2. 福岡県
  3. 北九州市八幡西区
  4. 穴生駅
  5. はぐむのあかりクリニック
  6. 障害・医療的ケア児が自宅で暮らすその暮らしを支え、ともに歩む

障害・医療的ケア児が自宅で暮らす
その暮らしを支え、ともに歩む

はぐむのあかりクリニック

(北九州市八幡西区/穴生駅)

最終更新日:2023/08/07

はぐむのあかりクリニック 障害・医療的ケア児が自宅で暮らす その暮らしを支え、ともに歩む はぐむのあかりクリニック 障害・医療的ケア児が自宅で暮らす その暮らしを支え、ともに歩む
  • 保険診療

脳性麻痺などの障害や生活に医療的ケアが必要な場合、自宅での生活は家族にかかる負担や制限が多い。しかし医師や看護師などの周りの専門職が患者とその家族の環境をしっかりと理解・把握し、可能なことを一つ一つ提案していくことで、その生活を豊かにすることができる。「はぐむのあかりクリニック」は、すべての子どもが「おうち」で楽しく生活することをサポートするために小児の訪問診療を行うクリニックだ。荒木俊介院長は産業医科大学病院のNICU(新生児集中治療室)でさまざまな新生児疾患に携わってきたドクター。今回は同院が考える小児在宅医療の在り方について、院長とその右腕の森下高弘先生、そして主に障害のある子どもと家族の支援を行うNPO法人の理事長でもある同院の看護師、プロデューサーの松丸実奈さんに詳しく話を聞いた。

(取材日2023年7月14日)

毎日を楽しく過ごしたい。患者、その家族と同じ目線で、暮らしを考えていく

Q小児在宅医療は、どのような人が対象になるのでしょうか?
A
はぐむのあかりクリニック 小児医療のスペシャリストたちがそろっている

▲小児医療のスペシャリストたちがそろっている

【荒木院長】基本的に在宅医療は「通院が困難」である方が対象です。小児の場合は脳性麻痺や障害がある、 NICU(新生児集中治療室)を出た後も人工呼吸器や胃ろう、痰の吸引や経管栄養など家族が介護を行う必要がある医療的ケア児の方に活用していただきたい医療の形です。当院では外来と訪問診療の両方を行っており、患者さんのその時の状態に応じて外来・訪問診療どちらがベストかを選択できるのも大きな強みの一つだと考えています。また小児科を標榜していますが、訪問診療については高齢の方まで全年齢対応していますので、成人期を迎えた後でもほかの施設や医療機関を探すことなく継続的に医療を受けられるのも、当院の特徴です。

Qどのように治療を行うのでしょうか?
A
はぐむのあかりクリニック 自宅でもエコーなどの検査を受けることができる

▲自宅でもエコーなどの検査を受けることができる

【森下先生】日々の体調の変化のチェックのほか、風邪で熱が出たなど、通常の外来診療と同様のことをご自宅で行います。加えて個々人の発達の状態や障害の特性に応じて、現在抱えているお困り事の整理とその解決方法をともに考え、将来的な自立や社会参加などもめざしていきます。また自宅で暮らすのはとても良いことですが、一方でどうしても患者さんに親御さんが付きっきりにならざるを得ないこともありますし、それがごきょうだいの学校や習い事などのイベントに影響を及ぼすことも。ともに生活するご家族の負担をどう軽減し、家全体の生活をどう守っていくのかを考えるのも、小児に限らず、在宅医療においては非常に大切なことなのです。

Q看護師の松丸さんの目には、先生方の姿はどう映りますか?
A
はぐむのあかりクリニック 円滑に連携を図り、患者とその家族の想いに応える

▲円滑に連携を図り、患者とその家族の想いに応える

【松丸さん】通常、病院で診察する場合は「診察室にいる状態」だけしか目にしません。バギーに座って診察室に来るとしても、そこまでの道のりがどんなに大変なのかはなかなか実感できないと思います。訪問診療ではその大変さや悩み日々の生活の喜びがもっと鮮明に見えてくると思います。荒木先生、森下先生は、自宅で患者さんがどんな環境でどんな生活をしているのか、それをしっかりとみています。だから患者さん本人やご家族にいっそう寄り添った提案ができるのだと感じています。

Q大学病院などの基幹病院との連携も大切にされていますね。
A
はぐむのあかりクリニック 患者一人ひとりに寄り添った対応を心がけている

▲患者一人ひとりに寄り添った対応を心がけている

【森下先生】肺炎になったとしても私たちが付きっきりで診ることはできませんし、ご家族の負担や不安もあります。そういう場合は基幹病院などへの入院をお勧めすることも。つまり入院も生活を送る上での選択肢の一つなのです。障害がある、医療的ケアが必要な方が暮らすには入院や施設などしかない、という時代もありましたが、今はそこに在宅医療という選択肢が増えました。「脳性まひのAさん」ではなく「誰々さんちの〇〇お姉ちゃん」という“個人”として生活できるのは本当に喜ばしいこと。生きる場所を決めるのは患者さんとご家族であり、私たちはその場所を選ぶためのこまやかで丁寧なサポートを行っているのです。

Q皆さんのチームワークもとても大切になりますね。
A
はぐむのあかりクリニック スタッフ間の細かな情報共有でチーム医療を実現

▲スタッフ間の細かな情報共有でチーム医療を実現

【荒木院長】大切にしているのは、患者さん中心の医療である理念の共有。そして病院から診療所や薬局、訪問看護ステーションへの情報は一方向になりがちですが、当院では横のつながりを大切にしており、状態の変化なども各所にすみやかに連絡がいくように双方向性の連絡を心がけています。またスタッフ同士の対面での情報共有ももちろん大切。集まっての話し合いもありますが、加えて当院では専用のチャットスペースも活用しています。患者さんに関わるスタッフがスピーディー、かつ的確に情報を共有するための必須のアイテムだと感じています。連携の取れたチームに欠かせないのは細かな情報共有。これは今後も大切にしていくつもりです。

ドクターからのメッセージ

荒木 俊介院長、森下 高弘先生

【森下先生】困っている方がいれば自然と手を差し伸べ、支えていく。そんな医療をめざして日々メンバーと工夫を重ねています。どうぞ遠慮なくいろんなご相談をお聞かせくださいね。 【荒木院長】自宅で生活することに不安があるときはご連絡ください。ご自宅での生活を支える医療や医師の存在があることを知り、ぜひ活用してほしいと思います。 年齢を問わず、継続的にサポートできるのは在宅医療の大きな強み。良い時もあれば悪い時もあるでしょう。それを私たちもともに経験し、考え、その人らしい人生を歩んでいくためのサポートをしていきたいと考えています。

Access