全国のドクター9,336人の想いを取材
クリニック・病院 158,521件の情報を掲載(2024年5月19日現在)

  1. TOP
  2. 神奈川県
  3. 川崎市高津区
  4. 溝の口駅
  5. 溝の口おかもと糖尿病内科
  6. 岡本 芳久 院長

岡本 芳久 院長の独自取材記事

溝の口おかもと糖尿病内科

(川崎市高津区/溝の口駅)

最終更新日:2023/05/22

岡本芳久院長 溝の口おかもと糖尿病内科 main

東急田園都市線・大井町線「溝の口」駅やJR南武線「武蔵溝ノ口」駅からそれぞれ歩いて3~4分ほど、駅前のにぎわいを離れた静かな一角に「溝の口おかもと糖尿病内科」はある。ビル1階に位置しており、自動ドアを採用したエントランスは幅も広く、バリアフリーでアクセス良好。車いす利用の人や足元に不安がある人でも、通いやすいクリニックとなっている。「長年研究に従事してきた糖尿病の専門診療を中心に提供しています。糖尿病を指摘されている方はもちろん、これまでの治療経過が良くない方などもぜひご相談ください」と笑顔を見せるのは、岡本芳久(よしひさ)院長。米国ハーバード大学の教育病院などで、広く糖尿病や血管疾患の研究に携わってきたエキスパートだ。そんな院長に診療にかける思いなどを語ってもらった。

(取材日2023年4月18日)

糖尿病、動脈硬化の研究で磨いた視点を診療に応用

ご経歴と開院に至られた経緯を教えてください。

岡本芳久院長 溝の口おかもと糖尿病内科1

私は和歌山県の田辺市出身なのですが、山形大学医学部を卒業後、大阪大学の医局に入って関連病院で臨床に携わったのち、大学院で糖尿病と脂質代謝異常、肥満症の研究に従事しました。その後、米国ハーバード大学の教育病院である「Brigham and Women’s Hospital」で博士研究員として5年ほど、主に動脈硬化などの血管病の研究をしてきました。帰国後はお声がけいただき日本医科大学武蔵小杉病院にて研究を継続、これが川崎とのご縁のはじまりです。その後、横浜市立大学附属市民総合医療センターに移り、独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)横浜保土ケ谷中央病院では副院長を務めました。2022年夏に開業を見据えて退職し、準備を経て、2023年3月13日に当院をオープンしたのです。これまで蓄積してきたものを患者さんにより近いところで還元したいと考えています。

どのような研究をされてきたのでしょうか。

大阪大学では脂質・肥満症研究室に所属し、内臓脂肪の蓄積が代謝異常を引き起こすという「メタボリックシンドローム」の概念の提唱者としても知られる松澤佑次先生のもとで、病気になる肥満とならない肥満の違いは何なのかといったことを研究しました。大阪にいる頃から始め、アメリカでもアディポネクチンという動脈硬化を予防する働きを持つ脂肪細胞が出すホルモンの研究をしました。東アジアに多い劇症1型糖尿病を発見された花房俊昭先生らの仕事も間近に見てきました。研究で大きな成果を挙げられる先生方に共通しているのは、とにかく患者さんをよく見ているという点。なぜ症状が起こったのか、なぜこの患者さんに起こったのかなど、「なぜ?」を突き詰めて掘り下げて考えるのです。パイオニア的立場の先生方のもとで、私自身もこうした研究者としての視点を身につけることができました。これは、臨床にも大いに役立つと感じています。

クリニックの特徴を教えてください。

岡本芳久院長 溝の口おかもと糖尿病内科2

院名にも掲げたとおり糖尿病を中心に、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病の診療を行う内科クリニックです。生活習慣病以外にも内分泌疾患や老年医学、肥満などにも専門性を持つほか、総合内科診療にも対応しています。血糖やHbA1cなどを最短70秒で確認できる検査体制を整えており、受診当日の状況を確認しながら治療方針を決定できます。また、医師だけでなく看護師や臨床検査技師、医療事務に管理栄養士と、他職種がチーム医療を提供しているのも特徴です。患者さんの生活に踏み込み、きめ細かくサポートすることが求められる糖尿病の診療では、チーム医療は欠かせないものだと考えています。

糖尿病への意識を変え、一人ひとりに合わせた治療を

糖尿病の診療について詳しく教えてください。

岡本芳久院長 溝の口おかもと糖尿病内科3

国内に1000万人の罹患者がいるといわれる糖尿病ですが、疑い例を含めると2000万人ともいわれています。家族や友人を含めると、糖尿病とまったく関わりのない人は少ないのではないかと思えるほど、もはや国民的な病気なのです。それにもかかわらず、糖尿病には「悪い生活習慣を続けたせいなのだから自己責任だ」といったスティグマ(差別・偏見)がつきまとい、これが受診の妨げにもなっています。糖尿病の中には生活習慣にかかわらず発症するものもあり、治療せず放置することで血管疾患のリスクが高まることなど、糖尿病についてまずはよく知っていただくことが大切だと考えています。例えばがんと診断されればほとんどの人が治療に取り組むのに対し、糖尿病と診断されても治療を後回しにする人が多くいます。この意識を変えていくことも重要だと考えています。

未治療のまま放置されているケースも多いということですね。

初期では自覚症状がほとんどありませんし、確かにすぐに命に関わる病気ではありません。しかし、糖尿病の恐ろしいところは、全身の血管に悪影響を及ぼす点です。治療せず放置しておくことで動脈硬化が進み、命に関わる心筋梗塞や脳梗塞といった時に重い疾患を引き起こしてしまうのです。例えば、ゴルフに行くほど元気な中年男性が、夏のゴルフ場で脱水状態となり心臓の血管内でできた血栓により心筋梗塞を起こし、搬送先で亡くなるというケースもあります。それぞれは重篤ではないものの肥満を背景に糖尿病、高血圧、脂質異常症を複数持っており、いわゆる三本の矢のように合わさることで最悪のケースに至ってしまうことがあるのです。自覚症状が現れた時にはすでに重度まで進行していますから、少し数値が悪い程度の頃からきちんと受診し、適切な治療を受けることが大切です。

診療の際に心がけていることはありますか。

岡本芳久院長 溝の口おかもと糖尿病内科4

とにかくお話をよく聞いて、検査と組み合わせて複合的に診ることを心がけています。特に高齢の患者さんではいろいろな病気を併せ持っていることもあり、フレイルやサルコペニアも見逃せません。ポリファーマシーと呼ばれる使っている薬の量が多くなることによって起きる弊害などの問題もあります。糖尿病には一人ひとり異なる背景があり、それによって受けるべき治療も変わってきます。家族の協力状況に合わせてインスリン注射の要不要や回数を決めたり、ADL(日常生活動作)に合わせて血糖コントロールの目標を変えるなど、ケースバイケースの判断が求められるのです。この判断にはしっかりと患者さんを診て話を聞くことが欠かせません。

地域の糖尿病を一手に引き受ける覚悟。気軽に相談を

医師を志されたきっかけがあれば教えてください。

岡本芳久院長 溝の口おかもと糖尿病内科5

実家は100年続いた寝具販売店で医療とは関わりのない環境で育ったのですが、純粋に体の仕組みに興味がありました。また、人の命を救って感謝されるイメージの強い外科医に憧れたところもありました。医学部に入ってみると、自分は手先を器用に使いこなすことよりも、病気のメカニズムをひもとく診断学に面白さを感じるようになり、患者さんの訴えから症状の原因を探り診断を下していくことにやりがいを感じるのだと気がつきました。

休日の気分転換に楽しんでいることは何ですか。

ジャズを聞いたり、野球観戦を楽しんだりしています。日本のプロ野球では阪神甲子園球場に本拠地を置くチームのファンなのですが、ボストンに長くいたのでMLBでも好きなチームがありますよ。トップ球団とライバル関係にあるという立場が好きなようです(笑)。現地では日本人大リーガー同士の対決や、好きなチームが八十数年ぶりに優勝した試合も観戦することができました。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

岡本芳久院長 溝の口おかもと糖尿病内科6

地域の糖尿病治療を一手に引き受ける覚悟で開業させていただきました。健診で数値が高いと言われた方はもちろん、以前治療を受けていたが中止してしまった方、治療中だが不安があるという方も、ご相談いただければと思います。糖尿病の治療は進化していて、以前の治療がうまくいかなかったという方にも合う治療がきっと見つかると思います。一緒にこれまでを振り返り、必要があれば一旦リセットして、幅広い治療の選択肢からご自身に合うものを見つけていきましょう。

Access