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三宅 成智 院長の独自取材記事

みはな耳鼻・甲状腺クリニック

(米子市/三本松口駅)

最終更新日:2023/02/08

三宅成智院長 みはな耳鼻・甲状腺クリニック main

米子市の安部三柳線沿いに、2022年10月新たに「みはな耳鼻・甲状腺クリニック」が誕生した。木とれんがを基調にした同院は、中に入ると開放的な吹き抜けやグランドピアノが印象的な待合スペースが広がる。一見「医療機関らしくないクリニック」で診療を行う三宅成智院長は、基幹病院での勤務医時代、耳・鼻・首回りから摂食嚥下、発声障害まで耳鼻咽喉科領域を幅広く診てきたエキスパート。病院勤務の中で感じてきた「初期治療の大切さ」から、同院のコンセプトに「最善のファーストタッチ」を掲げたという。医療体制はもちろん、カフェや音楽など「行きたくなる空間づくり」にも心を配る三宅院長に、クリニックのこと、同院で行う診療や検査のこと、待合スペース「BE GOOD HALL」の名に込められた想いについてなど、詳しく聞いた。

(取材日2022年12月14日)

クリニックを「行かなきゃ」から「行きたい」場所へ

待合室にグランドピアノとカフェがあるのに、とても驚きました。

三宅成智院長 みはな耳鼻・甲状腺クリニック1

開業にあたってコンセプトを考えた時に、患者さんと付き添いの方が明るい気持ちで通えるクリニックにしたいと思ったんです。病院は行かないといけない場所になりがちです。特に高齢者や乳幼児を伴って通院するのは大変ですよね。でも、院内に音楽とおいしいコーヒーが楽しめるカフェがあれば、行きたくなるし連れ出しやすいかなと思いました。医療機関として良質な医療を提供するのは前提ですが、お待ちいただいている間も、良質な時間になるように、くつろいで過ごしていただきたいと考えています。また、当院は小児の患者さんも多いので、子連れでも受診しやすいよう、キッズスペースやトイレなどには細かい工夫を重ねています。

診療面の特徴についてもご紹介ください。

「EBM(エビデンス・オブ・メディスン)に基づいた根拠のある治療」をベースにしています。そして、患者さんが不調を感じたとき、最初に接触する医療機関としてベストを尽くす「最善のファーストタッチ」を掲げています。標榜科目は耳鼻咽喉科ですが、僕自身は甲状腺についても専門的に取り組んできたので、専門科目としています。患者さんにとっても僕にとっても納得できる治療をしたいので、設備にはCTと内視鏡、超音波診断装置も導入しました。内視鏡では、嚥下の様子や中耳炎を起こしている耳の中の画像をお見せできますし、治療効果の判定がしやすいのです。甲状腺疾患では超音波診断装置による診断を行うため、診察室に置いてすぐに使えるようにしています。

こちらで対応する疾患や症状について、もう少し詳しく教えてください。

三宅成智院長 みはな耳鼻・甲状腺クリニック2

当院では、首から上で脳・目・歯以外の全部を診ます。嚥下障害や聴覚・発声障害、頭頸部の腫瘍、アレルギー、花粉症まで、幅広く扱います。嚥下障害については、高齢になって運動機能や体力などが落ちた「フレイル」と呼ばれる状態で起きやすいですね。実は、フレイルの方が肺炎を起こすと、そのまま寝たきりになってしまうケースも多いんです。そうなる前に、多くの患者さんをすくい上げられたらと思っています。また、嚥下障害は重い病気の前ぶれとして現れることも。ALSやパーキンソン病など、最初の症状が嚥下障害の場合も少なくありません。最近どうも食べにくい、喉に詰まり感があり痩せてきたなど、心当たりがあれば迷わず受診していただきたいです。僕自身が長く取り組んできたのは甲状腺疾患です。甲状腺機能低下症の橋本病、甲状腺機能亢進症のバセドウ病は、若い女性を中心に意外と罹患者数が多い病気なので、特に気をつけて診察しています。

果たせなかった祖父の希望を受け継ぎ、医学の道へ

スタッフに言語聴覚士の方がいるんですね。

三宅成智院長 みはな耳鼻・甲状腺クリニック3

言語聴覚士(ST)が在籍しているのは、当院の特色の一つです。理学療法士や作業療法士による体のリハビリテーションは一般的ですが、言語聴覚士によるコミュニケーションや嚥下のリハビリテーションを外来で行っているところはまだ少ないので、当院が担うことで地域医療に貢献ができればと考えています。診療の流れとしては、最初に僕が診察と検査をしてどこに問題があるのかをはっきりさせた後、治療の内容や計画を患者さんやご家族と決めていきます。その中で「リハビリが必要」と判断した場合、言語聴覚士とともにリハビリやトレーニングに取り組んでもらいます。

患者さんと接する時、どんなことを心がけていますか?

診療には信頼関係を築くことが重要なので、隠し事をしない、きちんと説明をする、どんな患者さんに対しても丁寧に接することを大切にしています。診療科目の性質上、難聴の方やお子さんも多く来院されますので、その方に合わせて「ゆっくりと大きな声でお話しする」「緊張している子には少しくだけてお話ししてみる」といった調整は行いますが、本質としては同様ですね。原則として相手の年齢に関わらず、丁寧語で話すことを心がけています。子どものころによく見ていた工作がテーマの教育番組があって、不思議なキャラクターの着ぐるみとのっぽな俳優さんが出ていた番組と言えば伝わるでしょうか(笑)。その俳優さんが「子どもだって丁寧に扱われたいでしょ」って話していたのを聞いて、すごく納得したんです。それ以来、ずっとお子さんにも丁寧な接遇で対応するようにしています。

医師の仕事を選んだきっかけを教えてください。

三宅成智院長 みはな耳鼻・甲状腺クリニック4

両親とも医師ではありませんし、この仕事を志す具体的な経験もありませんでした。私をとてもかわいがってくれた祖父の存在が、この仕事を選ぶきっかけと言えますね。祖父は若い頃、医師をめざして大阪で国家試験を受けたのですが、そのタイミングで戦争の召集令状で呼び戻されてしまい、医師の夢を諦めざるを得なかったそうです。その話を聞いて「じゃあ、代わりに自分が」と思ったんです。国家試験に受かった時には、合格通知を持って墓前に報告しましたね。何か大きな志を立てて医療の道へ進んだわけではありませんでしたが、医学の勉強も仕事も面白く、結果、自分に合った道を選べたと感じています。師や同僚に恵まれたおかげで、博士号の取得もできましたし、今もやりがいを持って働いています。

患者が最初に出会う医師となり、早期治療を進めたい

耳鼻咽喉科を専門に選んだのはどうしてですか?

三宅成智院長 みはな耳鼻・甲状腺クリニック5

僕は音楽とコーヒーが好きで、高校時代は吹奏楽部、大学時代はジャズ研究会に所属していました。味覚・嗅覚・聴覚は基本的に耳鼻咽喉科の領域で、人生の楽しみに直結する診療科目なので、興味を持って取り組むことができたんです。また、僕自身は外科的な手技が得意という自覚があり、細かい手術が多くある耳鼻咽喉科が合っているように感じていました。一番大きな理由は、当時の教授との出会いですね。その方のお導きで「こんな医師になりたい」と心から思えるような先生方から多くの教えを受けられたことは、今の僕の財産となっています。

開業のいきさつを教えてください。

米子は妻の地元で、3人の子育て中でもあるので、この地に腰を据えて暮らすつもりでした。最後に勤めた市中病院では筆頭部長になりましたが、いつかは自分の仕事場を持ちたいとも思っていました。この地域で暮らす子どもの親として「安心して受診できるクリニックがもっと増えたら」という思いを持ったのもきっかけの一つでした。基幹病院で診療していく中で「『紹介先』としてではなく、患者さんの『一番最初に会う医師』として病気や疾患の早期発見と早期治療を進めたい」という思いが強くなっていったのが、一番大きな理由と言えるかもしれませんね。あとは、医師としてはもちろん、さまざまな出会いや、ふれてきた音楽や文化といった、一人の人として積み重ねてきた経験から、他とはひと味違ったクリニックがつくれたら面白いなという思いもありました(笑)。

先生とクリニックのこれからについて、お聞かせください。

三宅成智院長 みはな耳鼻・甲状腺クリニック6

グランドピアノがある待合室は、小さなコンサートもできるようこだわってつくりました。せっかくこうした施設を造ったので、地域医療だけでなく、地域の文化振興の力にもなりたいですね。体に不調があるけれど通院をためらっている患者さんにとって、心理的なハードルが下がればと思っています。僕自身については、10年後、20年後も知識と技術が古くならないよう勉強を続けていくつもりです。新しい薬は毎年のように生まれていますから、飲み合わせを調べたり、通院中の患者さんへの適応を考えたりと、新しい医学と情報をクリニックレベルでも取り入れて、今だけでなく10年後も「最善のファーストタッチ」を続けていきたいです。

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