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山本 晃士 院長の独自取材記事

清武おとなこども歯科

(宮崎市/清武駅)

最終更新日:2022/11/01

山本晃士院長 清武おとなこども歯科 main

宮崎市のベッドタウンであり、文教地区でもある宮崎市清武町の中心部。研修医時代からこの町に暮らし、学び、働きながら家族となった歯科医師夫妻が、2022年8月に開業した「清武おとなこども歯科」。院長を務める山本晃士先生は、口腔病理の専門知識を持つ歯科医師だ。医療現場では「裏方」ながら重要な役割を担う病理学の面白さに引き込まれ、研究者としてもこの分野を志した山本院長。その経験を生かし、新しいクリニックを拠点に、口腔がんの早期発見・早期治療を進めたいという思いを胸に診療を続けている。クリニックの診療内容について山本院長に話を聞いた。

(取材日2022年9月7日)

院長自ら口腔がんの病理診断を行う歯科医院

開業したばかりとのことで、内外装ともフレッシュな印象です。

山本晃士院長 清武おとなこども歯科1

2022年8月に歯科医師の妻と2人で開業しましたが、実は2人とも地元は宮崎ではなく、福岡と鹿児島なんです。僕は長崎大学、妻は九州歯科大学を卒業し、同じ宮崎大学医学部附属病院に勤めていました。当時から清武に住んで10年以上暮らしていく中で、清武が好きになってこの町で開業したいと思うようになりました。母が日南市の出身で、子どもの頃から夏休みなど長い休暇は母の実家に遊びに来ていたので、年に2、3ヵ月は宮崎に来ていたこともありなじみがあります。宮崎は、県民性なのか人が温かいんですよね。それと僕の専門が歯科としては特殊な分野なので、大学病院と連携しやすい場所で開業したいとも考えていました。診療内容は虫歯や歯周病、義歯などの一般歯科と小児歯科に加えて、歯科口腔外科を扱っています。

クリニックの特徴をご紹介ください。

歯科医院に抱かれがちな「怖い」というイメージではない、「歯科医院っぽくない歯科医院」をつくりたいというのがまず初めにありました。そのために、子どもからお年寄りまで気軽に来られてリラックスできる外装と内装を設計士さんにお願いしました。内装には木目を印刷したクロスを貼るのではなく、本物の木を使っています。院内は忙しく働くスタッフと患者さんが衝突しないよう、動線を考えて分離していますので、待合室も診察室も落ち着いて過ごしてもらえると思います。診療上では、歯科医師2人体制なので急患への対応もしやすいです。加えて、女性の歯科医師がいることも特徴といえるかもしれません。僕自身は口腔病理を専門に勉強し、大学病院時代には口腔がんを数多く診てきました。宮崎県内で口腔病理学に詳しい歯科医院は限られています。

口腔外科は増えてきましたが、口腔病理は耳慣れない分野です。

山本晃士院長 清武おとなこども歯科2

病理の医師や歯科医師が患者さんと直接お話しすることはめったにないので、珍しいと思います。患者さんの体から取った組織や細胞を検査して病変を調べます。その結果を担当医に伝えるところまでが基本的な役割です。大きな病院では、亡くなった方の解剖を担当することもあります。当院では基本的には細胞診という方法で、病変部分を拭い取った細胞を顕微鏡で観察し診断するので、針を刺したり切ったりはしません。外部の検査機関に出すのではなく僕自身が診断しますので、結果が早く出ますし、高額の費用がかかるものではありません。検査の結果、何もなければ安心ですし、がんが疑われる場合は適切な病院へご紹介します。いつまでも治らない口内炎、歯肉の色の変化など、「がんかもしれない……」と不安になっている方は、一度ご相談いただければと思います。

患者自身が納得して選べるよう、治療方法を説明する

口腔病理をご専門に選んだのはどうしてですか?

山本晃士院長 清武おとなこども歯科3

歯学生時代から口腔外科医をめざしていたのですが、宮崎大学医学部歯科口腔外科在籍時に大学院進学の機会をいただきました。ただ、博士を取るために医学部の病理学講座に進むことになりました。病理の役割は裏方でありマイナーな面が強いのですが、細胞組織を診断し病気を確定するという役割があり、これがなければ手術もできないほど重要な役割です。経験を重ねるうちに病理の仕事に引き込まれてしまい、博士取得後は口腔外科に戻る予定を変更して病理診断科に入局しました。病理後診断では口腔領域の診断を主に担当しましたが全身の病理診断・解剖にも4年ほど携わり、全身の病変について詳しく勉強させていただきました。その後は研究者と病理診断で生きていくつもりだったのですが、この頃に結婚し家族も増えていたんですね。そうなると好きな仕事に熱中するばかりではいられませんから夫婦それぞれの経験を生かして長くやっていけるよう開業を決めました。

日頃の診療ではどのようなことを心がけていますか?

山本晃士院長 清武おとなこども歯科4

患者さんの話をしっかり聞いて、それに応えることですね。治療方針を決める場合を例にすると、歯科医師はこういう治療方法をお勧めしたいけど、患者さんとしてはほかの方法でやってほしいとお考えの場合もありますよね。治療方法がいくつかあるとき、それぞれのリスクを説明しながら、患者さんご自身が納得して治療方法を選んでいただけるように、ご質問に答えながらお話をしています。それと、歯科医院というのは喜んで来る人が少ないところです。子どもの頃の痛い治療の経験によって歯科治療は怖いものと思ってしまっている方もいますから、どんな方でも温かく迎えてあげたいという気持ちで取り組んでいます。

誠実な歯科医療を通じて地域の人々の温かさに報いたい

印象に残っているご経験はありますか?

山本晃士院長 清武おとなこども歯科5

歯学部を卒業後、その延長で大学院に入ったので、どこか学生気分が抜けないところがあったんです。リスクに対しても考えの甘いところがあって、大学院では指導教授に厳しい指摘を受けました。物作りをするときのように、手元で1cmあたり0.1mmの誤差でも1m先では1cmの誤差になる、研究も同じことだと言われました。研究設計でも実験でも論文執筆でも、手を抜くと絶対にうまくいかない、そこに情熱を持たないとダメだと。きっちりしないといけないことには、手を抜かずに向き合う姿勢を20代後半にたたき込んでもらいました。細かいところをおろそかにしてはならない、この時に教わった研究者としての在り方は、当院で提供する歯科医療にも影響しています。

今後の展望についてお聞かせください。

今の思いとしては、歯科治療を通して地域に貢献したいのはもちろんですが、口腔がんの早期発見や予防の必要性を宮崎県で広めていきたいです。他県では、がん検診に口腔がん診断を入れているところもあります。大腸がんや膵臓がんなど内臓の進行がんであれば、早期発見・早期治療は難しいのも仕方がない面があります。しかし、口の中は目視で確認できる場所ですから、ここで見逃されているならば仕組みを変えないといけないと思います。細胞診なら歯科治療や検診の際にできますから、ぜひ宮崎県でも広めていけるよう、クリニックの内外を通じてアプローチをしていくつもりです。

読者へメッセージをお願いします。

山本晃士院長 清武おとなこども歯科6

学生時代から清武町に暮らして、清武には温かい人が多く、患者さんも優しい方が多いと感じています。夫婦2人ともこの町が気に入っていて、ここで生きていこうという思いで開業しました。僕らを快く受け入れてくれた地域の皆さんに、誠実な歯科医療で報いていきたいと考えています。そのためにはまず保険診療をしっかりやりたいし、体力が続く限りは急患を受け入れたいです。歯は痛い時は本当につらいので、「今日は予約がいっぱいです」と突き放したりしないで、できる限りの治療をしたいと思っています。また、当院の建物は目立つので、地域の子どもたちにとって緊急時に逃げ込むことができる「お助けハウス」にもなりたいです。院内にはAEDも設置しています。開業したばかりの当院ですが、地域の一員として清武に根を下ろしていきたいので、お口のことで困り事があれば、いつでもご相談いただきたいです。

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