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大尾 充剛 院長の独自取材記事

みつたけこころのクリニック

(高槻市/高槻駅)

最終更新日:2023/06/08

大尾充剛院長 みつたけこころのクリニック main

高槻駅から北へ徒歩7分。美しく整備された近代的な街並みの一角にある「みつたけこころのクリニック」。白とブルーの配色が院内をやわらかく彩り、温かみのある木目調のインテリアを引き立てている。ゆったりとした空間には静かな音楽と映像が流れ、緊張を解きほぐしてくれる。「患者さんにはリラックスして治療を受けていただきたいんです」と話すのは、院長の大尾充剛(だいお・みつたけ)先生だ。これまで数々の病院で院長を務め、訪問診療にも精通した精神科医療のエキスパートである大尾先生は、患者の心に寄り添った診療を何よりも大切にしている。開業から1年を迎える大尾先生に、日々の診療にかける思いを語ってもらった。

(取材日2023年5月15日)

これまでに培った豊かな経験を地域の精神科医療に還元

開業までの経緯をお伺いしてもよろしいですか?

大尾充剛院長 みつたけこころのクリニック1

開業は2022年4月です。私は九州出身なのですが、大学が大阪で10年ほど前に高槻市内の奈佐原にあるオレンジホスピタルに勤務させていただいたことが、この地を選んだ理由です。実はもっと早い時期に開業するつもりで準備を進めていたのですが、オレンジホスピタルで院長を務めていたときに、体調を崩した知人から自身のクリニックを私に任せたいと依頼があったんです。そこは在宅メインの訪問診療を専門に行うクリニックでした。将来的に地域医療のための訪問診療を行うビジョンも持っていましたので、病院勤務の経験しかなかった私にとって、これは良い勉強になると思いました。実際には、コロナ禍において、ワクチン接種などの業務も加わり、訪問診療に関わるスタッフの手配、ドクターの増員など、大変なことも非常に多かったのですが、それが開業した今に生かされていると思います。

地域の印象はいかがですか?

病院やクリニックの数の多さには驚かされます。これは高槻という町の魅力の一つでもありますね。私もこのメリットを生かして病診・診診連携し地域医療に貢献したいと考えています。住民の方は穏やかで医療に対する意識の高い方も多く、私自身、仕事がしやすいと感じます。お子さんを幼い頃から育てやすい環境が整っており、それは市政的にも充実しているからなのでしょう。近隣には学校や大学もたくさんあり、小さなお子さんのいらっしゃるファミリー層も増えています。ここ数年で駅前にはタワーマンションがいくつも建ちました。一方で、昔からこの地で暮らしている高齢者の方も大勢いらっしゃる。高槻は幅広い世代が生活している地域なんです。

どのような症状で来られる患者さんが多いのですか?

大尾充剛院長 みつたけこころのクリニック2

患者さんの多くは、うつ病などの気分障害で来院されます。仕事のストレスやコロナ禍によるストレスで、精神的な部分で不調を来す方が大勢いらっしゃるのだと思います。そういった方が仕事に行けない、生活がしにくいということで来られますので、その辺りのことをお聞きして、その方に合った治療法を見つけるようにしています。場合によっては、休息を取ってストレスを解消してもらうことも必要です。30代、40代の働き盛りの世代はもちろんですが、50代、60代で定年を迎えるにあたって、不眠などの不調を訴える方も少なくありません。60代後半や70代以上になってくると認知症の心配も出てきますので、ご家族と相談に来られる方もいらっしゃいます。

薬だけに頼らない、患者の心に寄り添った診療を

患者さんのための環境づくりに配慮されていますね。

大尾充剛院長 みつたけこころのクリニック3

診療するにあたって一番大切なことは、患者さんのお話をよく聞くことだと思っています。患者さんを前にしてパソコンの画面をずっと見ているなんてことのないように、患者さんと対面で目を合わせてお話をすることを常に心がけています。リラックスできる環境の中であれば患者さんも話しやすいでしょうから、あえて精神科らしくない環境づくりに配慮しました。温かみのある木目調のインテリアを取り入れたり、待合室ではリラックスできる音楽や映像を流したり……より視線を感じにくい高さに設置しています。また、私のちょっとしたこだわりで、クリニックのロゴであるパンダのマークに漢字の「心」という文字を配しました。黒い部分に注目していただければわかりますよね。老若男女すべての人に愛されるパンダのように、明るさあふれるクリニックでありたいという願いを込めています。

治療法にはどのようなものがあるのですか?

精神療法や薬物療法などがあります。例えば風邪をひいて熱があったとしても、つらくなければ薬は必要ありません。精神的な病気もそれと同じで、薬を必要としない場合もあれば、日常生活に支障を来すほどの症状があれば一時的に薬が必要な場合もあります。私はSDMを重要視しています。SDMとは「共同意思決定」の略語で、医師と患者さんが必要な情報を共有し、患者さんの思いや希望に沿って一緒に治療方針を決めることをいいます。私からの一方的な治療の押しつけにならないよう、患者さんには「こういう症状にはこういう薬がありますよ」というメニューをお渡しし、そのメニューの中から選んでいただくようにしています。患者さんとともに考え、一緒に治療を進めていく。私は患者さんの手助けをするだけなんです。

先生が推奨される「持効性注射剤」とは?

大尾充剛院長 みつたけこころのクリニック4

薬には経口剤や注射剤があり、経口剤というのはいわゆる飲み薬です。飲み薬だと服薬回数が多くなり、つい飲み忘れることもありますよね。そうなると、薬の血中濃度が安定しません。それが、症状が不安定になる原因となります。持効性注射剤なら、注射後に薬効成分が徐々に血液内に取り込まれるため、薬の作用が2~6週間続きます。1ヵ月に1度か2度の注射をするだけで症状の安定が図れ、再発や悪化の心配を軽減することがめざせます。筋肉内注射ですので多少の痛みを伴いますが、職場や学校で毎日薬を飲まなければならないというストレスからも開放されます。患者さんの生活の質の向上にもつながると思います。

精神科医は自分の天職。どのような悩みも受け止めたい

なぜ精神科の医師になろうと思われたのですか?

大尾充剛院長 みつたけこころのクリニック5

祖父が産婦人科の医師で、叔父が外科の医師だったんです。叔父の影響を受けて最初は外科の医師をめざしました。近畿大学医学部卒業後は、同附属病院やPL病院、和歌山の串本病院で外科の医師としての経験を積みました。精神科の医師の重要性を強く感じたのは、外科時代のターミナルケアに携わった時です。その後、串本病院から精神科単科病院である潮岬病院へ外科の医師として勤務することとなり、そこで本格的に精神科の患者さんたちと関わることになりました。私はもともと鹿児島の田舎育ちです。ご高齢の患者さんたちとのふれ合いが、より自分を自分らしくいさせてくれることに気づきました。この頃から統合失調症の患者さんや認知症の患者さんのために何かできないかと思い始め、精神科の医師への転身を決意したんです。

精神科医師の魅力とは?

精神科の医師は患者さんの人間性により深く寄り添うことができます。私はそこに医師としての魅力を感じています。外科の医師をしていたときも私は患者さんと話をするのが好きで、よく先輩に叱られました。「何でお前はそんなに時間がかかるんだ!縫うだけだろう!」と(笑)。患者さんやそのご家族の方の話を聞くのが好きだったんです。今は精神科の医師になって本当に良かったと思います。仕事に行けず、長く病院生活を送っていた方が退院し、仕事ができるようになった、社会復帰できるようになったのを目の当たりにできたら、この仕事にやりがいを感じると思いますね。大げさですが、外科の医師は人の命を救う仕事ですが、精神科の医師は患者さんの人生をより良く豊かにする仕事なんです。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

大尾充剛院長 みつたけこころのクリニック6

精神科というと行きづらいと感じる方がほとんどだとは思いますが、まずは来ていただいて相談していただきたいと思います。病気かそうでないかがわかるだけでも気持ちの持ち方が変わってくると思います。病院に行くべきかどうかを悩まれる方も大勢いらっしゃるでしょう。小さなことでも構いませんので、気軽に相談にいらしてください。また、当院では認知症の診断、治療、予防、訪問診療などにも力を入れています。そういった治療が必要な方がいらっしゃれば、最近では新しい認知症の治療薬なども開発されていますので、然るべき病院へ紹介していくなど患者さんをしっかりとサポートしていきたいと思っています。地域の精神科医療の窓口として、患者さんのお役に立てることほどうれしいことはありません。

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