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QOLを向上させ、再発を予防
心疾患後の心臓リハビリテーション

たくみ内科クリニック

(神戸市垂水区/垂水駅)

最終更新日:2023/10/13

たくみ内科クリニック QOLを向上させ、再発を予防 心疾患後の心臓リハビリテーション たくみ内科クリニック QOLを向上させ、再発を予防 心疾患後の心臓リハビリテーション
  • 保険診療

心不全や狭心症、心筋梗塞、心臓弁膜症などの心臓病と診断され、運動を厳しく制限され、それとともに体が衰えて満足な生活が送れずにいる人も多いのではないだろうか。今まではそのような運動制限が正しいとされていたが、そうした人に健康な生活を取り戻してもらおうと、適切な運動を通じて筋力の回復をめざしていくのが心臓リハビリテーションだ。そんな心臓リハビリのスペースを外来で提供し、患者一人ひとりに対して手厚くサポートしているのが「たくみ内科クリニック」の井上琢海院長。心臓リハビリの意義や具体的な流れを、循環器内科のスペシャリストとしての見識を交えながらじっくり解説してもらった。

(取材日2021年7月7日)

筋力の回復と維持が健康寿命のポイント。心臓リハビリテーションで予後を快適に

Qまずは心臓リハビリテーションの意義や目的を教えてください。
A
たくみ内科クリニック 一般診療や循環器疾患に加え、心臓リハビリに力を入れている

▲一般診療や循環器疾患に加え、心臓リハビリに力を入れている

心臓リハビリテーションは、心臓病の患者さんが快適な生活に戻ることを目標とした活動プログラムで、カウンセリングや運動療法がその中心となります。運動療法で重要なのは、その方に適した運動レベルを設定すること。少しずつ心肺機能や筋力を高めながら活動量を増やし、生活の質の向上や病気の再発防止をめざします。適切な運動の目安となるのは有酸素運動から無酸素運動に切り替わるポイントで、無理のない運動を週1〜2回程度の頻度で続けながら筋力の回復や維持を図ります。患者さん一人ひとりに適したプログラムを提案し、安全に実施することが大切です。

Qどのような人が対象となりますか?
A
たくみ内科クリニック 内服治療と並行して運動をしていくことが重要

▲内服治療と並行して運動をしていくことが重要

保険適用の対象となるのは、急性心筋梗塞や狭心症のような心血管の病気がある方、またそれらの病気の治療後の方、慢性心不全の方、心臓手術や大動脈手術を受けられた方、症状がある閉塞性動脈硬化症の方などが挙げられます。一般の外来診療を受けられるような慢性期に薬によるコントロールを行っている方でも、運動療法が必要な方はたくさんおられます。こうした方には内服治療と並行して心臓リハビリテーションを行い、日常レベルの運動能力や筋力を回復・維持していくことが生活上の非常に重要な要素となっていきます。つまり薬剤治療と運動療法の一方に偏ることなく、トータルなケアをしていくことが大切なポイントといえるでしょう。

Qリハビリのメニューや進め方は、どのように決めていくのですか?
A
たくみ内科クリニック リハビリのメニュー決めや管理は医師と一緒に行っていく

▲リハビリのメニュー決めや管理は医師と一緒に行っていく

運動量の基準は、患者さんによって大きく異なります。安全に運動していただくためには、まず有酸素運動と無酸素運動の境目となるポイントをCPX(心肺運動負荷試験)で調べ、そのデータを解析しながら処方を決めていきます。処方は医師が中心となり、看護師や療法士などが運動指導や食事のアドバイス、日常生活の注意点の説明、生活習慣指導などを行います。ちなみに当院では患者さんに心不全手帳や血圧手帳をお渡しし、血圧や体重、脈拍、日々の症状を細かく確認しながら薬の調整も行っています。そうしたチェックや診察が常に受けられるのも、心臓リハビリに通うメリットといえるでしょう。フィットネスジムとの大きな違いはそこにあります。

Q運動療法では、具体的にどのようなことを行うのですか?
A
たくみ内科クリニック 無理なく、患者に合わせ行う運動療法

▲無理なく、患者に合わせ行う運動療法

もともと心臓や筋力が弱っている方に行うわけですから、決して無理な運動はしません。リハビリは1回1時間が基本で、一人ひとりの状態に合わせたメニューをこなしていきます。当院での一例では、まずウォーミングアップということで椅子に座った状態で立ち上がったりストレッチをしたり、ゴムバンドを使った負荷運動などを約30分間行います。これをレジスタンストレーニングといいます。後半はエアロバイクという機器にまたがっていただき、自転車こぎ運動を行います。腰や膝が痛い方でも自転車なら無理なく運動していただけますし、もし自転車に乗れない方でもマシンが倒れることは決してありませんからご安心ください。

Q最後に、心臓リハビリの重要性についてあらためてお聞きします。
A
たくみ内科クリニック 健康寿命を延ばすために、全身の筋力を保つことが重要

▲健康寿命を延ばすために、全身の筋力を保つことが重要

心臓リハビリの目的は単に心臓を強くすることではなく、筋肉がついて運動能力が上がり、楽に動けるようになることが一番に挙げられます。全身の筋力を保つことが健康寿命に大きく関わるといわれており、体の筋力を保つことで心不全による再入院が減り、心筋梗塞の再発や突然死の低下へとつながっていくわけです。これは心臓に問題がある方に限った話ではなく、健常な方についても同じことがいえます。筋力が落ちると、思わぬはずみで転んで骨折することがあるでしょう。ご高齢の方の骨折は治りにくいですから、まずは十分な筋力をつけ、転ばないような体を維持していくことが大切です。

ドクターからのメッセージ

井上 琢海院長

現代の日本は超高齢社会です。それに伴って心不全で入院される方がどんどん増え続け、もはや大きな病院だけでは対応しきれない状況にあります。在宅で健康を維持するためには薬の内服だけでなく、適切なリハビリテーションで筋力をつけることが極めて重要です。運動が制限されている方も、「これをしてはいけない」ではなく「ここまでならできる」という意識を持って前向きに取り組んでいただければと思います。心不全や心臓病をお持ちの方も、手術を受けられた方も、私たちが全力でサポートいたします。どんな些細なことでも、いつでもご相談ください。

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