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正岡 紫 院長の独自取材記事

ふないり心のクリニック

(広島市中区/舟入本町駅)

最終更新日:2023/03/02

正岡紫院長 ふないり心のクリニック main

広島市中心部より少し離れた本川沿いにあるクリニックビルの最上階にある「ふないり心のクリニック」。2020年に正岡紫(まさおか・ゆかり)院長が開院したクリニックで、気分の落ち込みや不眠、不安、幻聴など心の不調で悩みを抱える患者に対応している。ヒバサクラ、ヒノキ、漆喰壁など自然素材をふんだんに利用した院内は落ち着きのある空間で、照明もやわらかく、女性スタッフのみで構成されるクリニックということもあり和やかな空気が流れている。長年地域の精神病院で勤務し、自身のクリニックを開いた正岡院長自身もソフトな物腰のドクターで、患者に寄り添った治療をモットーとしている。そんな正岡院長に、同院の診療や精神医療に懸ける思いについて話を聞いた。

(取材日2022年10月14日)

誰にも言えない悩みを気軽に相談できるクリニックに

こちらのクリニックを開院されたのはいつですか?

正岡紫院長 ふないり心のクリニック1

2020年10月です。新型コロナウイルスが流行し始めてから開いたクリニックですので、設計段階からパーティションを設置したり、本来は作らない予定だった処置室の窓も追加で作ってもらうようにしたりと、感染症対策を考えた造りにできたのは良かったなと思います。このクリニックモールも、私が以前勤めていた草津病院へ出勤する際によく通っていたなじみ深い場所ですし、同ビルに入る「ふないり脳クリニック」の村上智子先生は以前一緒に勤めていた先輩だったりと知り合いも多くいる場所で心強かったのでここで開院することに決めました。まだまだ新しい施設ですので患者さんにも気持ち良く通ってもらえるのではないかと思っています。

「心のクリニック」というのはどういう不調を抱えた方が来院されるところなのでしょうか。

正岡紫院長 ふないり心のクリニック2

認知症以外の精神科の診療をさせていただいています。不眠症、気分障害、不安障害、適応障害、統合失調症などが主な疾患になります。心の病は自覚することが難しいことも多くなかなか治療に結びつきにくい現状があります。生活に支障を来しているにも関わらず悩みを一人で抱えておられる方も多いのではないでしょうか。精神科の治療の場合、ご本人に病気に気づいてもらうことがスタートです。お薬を飲んでもらうこともありますが経過を見て減薬や中止することも可能です。疾患によっては長期で内服したほうが良いこともあります。患者さんの希望を聞きながら私の考えをお伝えしていきます。クリニックですので時間の制約はありますが可能な範囲で寄り添える治療をめざしているので困っていらっしゃる方は一度相談に来ていただければなと思っています。

女性の精神科医として、女性たちの悩みに共感しながら

先生が医学の道を選ばれたきっかけは何だったのでしょうか。

正岡紫院長 ふないり心のクリニック3

実はもともとは獣医師になりたかったんです。小さい頃に親が作ってくれた動物小屋にインコやヒヨコ、ウサギを飼っていて、動物が大好きな子どもでした。ですが、高校になった頃、病気がちな祖母を見て身近な人の手助けができればと思い医師をめざそうと思いました。大学は生まれ育った広島を離れ、山口大学医学部で学びました。大学卒業後は、自分が生まれ育った広島に少しでも恩返したいという思いと、仕事と家庭を両立するために親族からサポートを受けられる環境を考え、広島大学病院で勤務することにしたのです。

精神科を専門に選んだのはなぜでしょうか。

医学部6年生の時の病院実習で受け持った、統合失調症の患者さんが薬物治療を受けていらっしゃったことがとても印象的だったんです。また、女性医師には結婚や出産という壁があるなとも当時感じていて、そのような人生のステージでいったん現場を離れると、「置いていかれるのでは」という不安を抱いていました。広島大学病院の精神科に見学に行って、「精神科の場合は医師の人生経験こそがプラスに働く」と言われて、心惹かれました。例えば、私も結婚以前は患者さんから結婚や出産の悩みを聞いても実感としてよくわからなかったのですが、今は共感することができます。そういった意味でも精神科医の仕事はやりがいがあると感じています。

広島大学病院や市民病院で経験を積んだ後、草津病院で勤務されたのですね。

正岡紫院長 ふないり心のクリニック4

草津病院の精神科で15年ほど勤めさせていただきました。草津病院では統合失調症の方や双極性障害の方の治療を担当することが多かったです。とてもたくさんの症例を手がける病院でしたので、精神保健指定医も取らせていただくことができました。精神保健指定医になると重度の精神障害のある患者さんの医療保護入院などの判断を行える権限が与えられます。自分の判断によって患者さんを守れるか否かが問われますし責任の重さを感じながら患者さんと向き合っていました。同じ疾患を持つ方でも一人ひとり対応は違いますし、その方の特徴をよく理解し寄り添っていくことの重要性を実感しながら日々の治療にあたっていました。

ストレスをためないためのアドバイスも丁寧に行う

診療で心がけていることは何でしょうか。

正岡紫院長 ふないり心のクリニック5

スタッフ含めてみんなで患者さんにできるだけ寄り添った治療をしたいと考えています。心の不調を抱えて来院される場合、話をじっくり聞いてほしいことも多いと思います。私だけでなく、看護師も含めて皆で患者さんの話をお聞きしています。当院はスタッフ全員が女性というのも大きな特徴の一つです。女性同士でしか話すことができない話題で悩んでいらっしゃる方なども、安心して相談に来ていただきたいですね。例えば、女性は40歳を過ぎると、ホルモンバランスの崩れから体も心も不調を来す場合が多くなってきます。私自身もそういった女性ならではの不調を経験していますので、親身になってお話を聞くことはできます。なんでも相談してもらえたらうれしいですね。

ストレスをためないためにアドバイスされていることはあるのでしょうか。

何事も両面から捉えるのがいいのではないかと思っています。「認知のゆがみ」というものを理解してもらうということなのですが、例えばうつ病の回復期に会社に遅刻をしてしまった場合、「遅刻してしまった自分は駄目だ」と捉えるのか「遅刻してしまったけれど行けて良かった」と捉えるのかで心の負担はだいぶ変わってきます。自信がなくなり自尊心が低くなっている場合はどうしてもマイナス思考になりがちですからもっと自分ができていることに目を向けていく必要があります。悲観的な認知をどう捉えれば楽になるか一緒に相談していきましょう。10の落ち込みが5に減るだけでも気分が明るくなると思うので薬だけに頼らない心の回復方法を学ぶことも重要なのではないかと考えています。生活記録や、呼吸法等もお勧めです。小さな目標を掲げ達成し、少しずつ行動範囲を広げ、自信を取り戻すお手伝いができればと思っております。

先生自身が普段気をつけていることや実践していることはありますか?

正岡紫院長 ふないり心のクリニック6

私も40代を迎えてから体の不調が増えてきたので漢方を飲んだりしています。あとは運動不足になりがちなので、当院は4階にあるのですが階段を使うようにしていたり、週に数回は自転車で出勤したりもしています。あとは気分転換に家族と海や山にキャンプに行くことも多いです。気分転換してストレスをためないことは大事です。別に外に出なくても1人の時間だったり読書や音楽鑑賞等、趣味の時間だったり人によって気分転換の時間や方法は違うと思います。皆さまの穏やかな時間が増えお気持ちが元気になっていくことを願っております。

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