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岸 史子 院長の独自取材記事

かわはらまち皮膚科

(前橋市/群馬総社駅)

最終更新日:2022/11/17

岸史子院長 かわはらまち皮膚科 main

壁面に透かし模様のある外観がユニークな「かわはらまち皮膚科」。夜には緑色の光でライトアップされ、開院前から話題になっていたそうだ。院長の岸史子先生は、主に大学病院で20年近くキャリアを積み2020年に開業。アトピー性皮膚炎や膠原病の治療に携わり、時には命に関わるような重篤な患者も多く診てきたという。同院を訪れる子どもや高齢者の患者に穏やかに話しかけ、患者の話にも丁寧に耳を傾けてくれる。院内には皮膚がんなどの検査機器もそろい、小さな腫瘍の切除なども行う頼りがいのある存在だ。前職の大学病院との連携もしっかりと行ってくれる。「重症になるような病気を、初期の段階で見つけたいんです。見逃さないようにしたい」と語る岸院長。診療で心がけていることや、皮膚の代表的な疾患について話を聞いた。

(取材日2022年10月11日)

2つの大学病院勤務で培った経験をベースに診療を行う

医院の外壁の透かし模様がアートのようですてきですね。先生がこだわられたのですか。

岸史子院長 かわはらまち皮膚科1

特にそういうわけではないのですが。デザイナーさんに「外壁を光らせてみましょう」と提案されまして。夜は隙間の部分がぴかぴか緑色に光るんです。建てているときから光っていたので、地域の皆さんに「何ができるんだろう?」とすごく期待させたみたいです(笑)。私がこだわったのは、バリアフリーにしたのとキッズスペースをつくったことでしょうか。それと、待合室は広めにして、喫茶店風に無線LANを備えてカウンター席もつくりました。

ご出身はどちらですか。また、開業までの経緯を教えてください。

出身は群馬県です。入試のとき滋賀医科大学が先で、群馬大学医学部は後期だったので、先に受かったほうに行きました。卒業後は滋賀医科大学の皮膚科教室に入局しました。教授がアトピー性皮膚炎の専門で、私もアトピー性皮膚炎の患者さんの臨床研究を行いました。いずれは群馬に帰ろうと思っていたので、2007年に群馬大学の大学病院に移り、大学院にも入学しアトピー性皮膚炎の研究を続けていました。約20年近く2つの大学付属病院で勤務しましたが、そこでは重症の患者さんをたくさん診てきましたね。皮膚科の患者さんも、重症化すると呼吸ができなくなり命に関わる場合もあるんです。そういった患者さんを早い段階で見つけたいと思ったのが、開業のきっかけです。

アトピー性皮膚炎について、教えてください。

岸史子院長 かわはらまち皮膚科2

赤ちゃんの乳児湿疹などでアトピー体質が疑われる場合が多く、その頃から治しておけば、成長してもひどくはならないと考えられています。乳児湿疹を放置しておくと、それがきっかけで食べ物アレルギーになるなど次々とアレルギーを起こすともいわれています。対処としては、薬を塗って治すことをめざし、良い状態を保ち、症状を出さないようにして、だんだん薬を塗る回数を減らしていくことが基本ですね。

子どもから高齢者まで、地域に寄り添う

どういった患者さんの受診が多いですか。

岸史子院長 かわはらまち皮膚科3

ここは新興住宅地で、近くには幼稚園もありますし、乳幼児や小さいお子さんは多いですね。そのほか、ニキビでお悩みの若い世代の方や、乾燥肌やかぶれなどで受診される高齢の方もいらっしゃいます。働き盛りの方は少なめです。皮膚の悩みは、命に関わることが少ないから後回しにされがちなのかもしれませんね。ですが、たまに皮膚がんの患者さんはいらっしゃいます。

皮膚がんとは、どんな症状があるのですか。

皮膚がんは、痛みやかゆみはあまりなく、症状としては湿疹のような場合や黒いほくろの場合もあります。皮膚だから見える部分にあるので気づきやすく、たいていは初期の場合が多いですね。心配な方は、こちらで検査もすぐできます。当院にはダーモスコープという拡大率に特化したカメラがあり、最近は皮膚を取らなくても検査で拡大して見て、良性か悪性かある程度わかることが多いですね。検査の後、手術が必要な患者さんは、大学病院に紹介しています。

ニキビについては、どのような治療をなさっているのですか。

ニキビに関しては、ひと昔前よりは、ひどい方は減っていると思います。お手入れの情報が行き渡っていたり、病院に行くようになったためでしょうか。前橋市では、小1と中1のお子さんに皮膚検診を実施しているので、そこで何か問題があるお子さんは皮膚科を受診するのだと思います。ニキビは毛穴が詰まることが原因なので、詰まりを取ればたいていは解消します。詰まる原因はホルモンの問題や、最近はマスクの刺激なども関係していますけれども、保険内で良い薬がありますので、そちらも有用です。

ところで、休日はどのように過ごされていますか。

岸史子院長 かわはらまち皮膚科4

開業してから、今までできなかったことをしようと思って犬を飼いました。日本スピッツという犬種で、ふわふわした毛で白いキツネみたいなんです。休みの日には、犬と散歩して、遊んでいますね。今までずっと当直があったり、呼び出しがあったりと、不規則な生活をしていたので、開業してからは規則正しい生活をしています。皮膚のために大事にしていることといえば、よく寝ることぐらいでしょうか。そのほかは、特に何もしていないですね。自然のままでエイジングしていこうと思っています。

重症化する前の初期の段階で治す

医師になられたきっかけは何ですか。皮膚科を選ばれた理由も教えてください。

岸史子院長 かわはらまち皮膚科5

高校生のときに、医師が活躍する漫画をよく読んでいましたね。それがきっかけで医学部をめざしました。獣医に進まなかったのは、獣医学部が少ないことも関係しています。高校3年生のときに祖父が亡くなったこともあって、余計に医学部にしようと思いました。皮膚科に進むことは、6年生の臨床実習が終わる頃に決めました。皮膚科だと経過が目に見えて、自分も患者さんにもすぐわかるのがいいなと思いました。それと、皮膚科は開業しても大きい病院とあまり大差なく、いろいろなことができるのも魅力でしたね。

診療の際、心がけていることは何ですか。

患者さんは、何かしら心配ごとがあり受診されていますから、まずは「大丈夫ですよ」とか、「これはこういう病気で、良性のものだから心配いらないですよ」など、「心配はいらない」といったような言葉をかけたいと思っています。けがをされた患者さんで「傷痕が残りますか」と心配される方もいますが、今はアプローチする方法がいろいろあります。薬でもある程度治すこともめざせますし、当院ではやっていませんが、美容専門の皮膚科へ行けば傷痕をきれいにしていく方法はもっとたくさんありますから、そういうところを紹介したりもします。それから、患者さんの話をなるべく丁寧に聞きたいと思っています。ただ、時間が限られているので、次の患者さんを待たせるわけにはいかず、そこが難しいところです。また、口頭だけの説明だとうまく伝わらないこともあるので、わかりやすく紙に書いて渡したりするようにしています。

今後の展望について、お聞かせください。

岸史子院長 かわはらまち皮膚科6

重症化する病気を、初期の段階で見つけることを大事にしていきたいですね。当院で治せなかったら、総合病院や大学病院で治療できるようにしっかりと連携していきたいです。群馬大学附属病院にいたとき、膠原病という自己免疫疾患を担当していましたが、最初はただかゆいとかちょっと赤いだけの人が多く、大体いくつかの病院で見逃され、いつも呼吸ができなくなるほどひどくなってから大学病院に来られる方が多かったんです。皮膚科を受診される患者さんは、ほとんどの人がどこかかゆいと言って来られるので、それを湿疹だとか水虫のような病気だと思い込まないように、いろんな病気の可能性があることを疑いながら診察することを忘れないようにしたいですね。そのために、勉強し続けておきたいと思います。

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