うつ病の初期症状や特徴、予防法
受診タイミングを知り早期治療を
RICメンタルクリニック三軒茶屋
(世田谷区/三軒茶屋駅)
最終更新日:2023/03/31
- 保険診療
仕事や人間関係のストレスは現代人なら誰もが少なからず抱えているもの。しかし、それが限界を超えると落ち込みや不眠、意欲が湧かないなどのうつ症状を引き起こし、社会生活や日常生活に支障を来すことも。うつ病は発症しても自分では気づきにくく判断も難しい上、心療内科・精神科への受診は敷居が高いと感じてしまうことで、誰にも相談できず一人で悩むケースも多いが、ほかの病気と同様に、早期に医療機関を受診し適切な治療を受けることが何より重要だ。そこで、誰もが心身ともに健康で自分らしく生きがいを持って暮らせるように、患者に寄り添い丁寧な診療を行う「RICメンタルクリニック三軒茶屋」の西脇一朗院長に、うつ病の基本や受診のタイミングなどを聞いた。
(取材日2020年2月6日/情報更新日2023年3月31日)
目次
早い段階で治療開始することで、症状が改善し社会生活の中でも安定して生活が送れる「回復」の状態をめざす
- Qうつ病とはどういった病気ですか?
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A
うつ病は、脳内のホルモンのバランスの乱れが原因とされていて、気分に関係する神経伝達物質のセロトニンやノルアドレナリン、ドパミンなどが足りなくなり不安や落ち込みが起こることが発端と考えられています。主な症状としては、気分が落ち込んだり不安でしょうがない、寝つきが悪い、眠れない、食欲がない、意欲が湧かない、集中力が落ちる、仕事の効率が悪くなりミスが増える、ひどい場合は死にたい気持ちが高まったり、自傷行為に及ぶこともあります。普通の落ち込みや悲しみに比べて持続期間が長かったり、程度が深かったり、機能不全を起こしてしまうのが特徴です。また、痛み、吐き気、動悸、腹痛など体に症状が現れることもあります。
- Qうつになりやすい人の特徴はありますか?
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A
真面目な人や頼まれたことを断れない人、もともと不安障害や体の病気を持っている人はかかりやすい傾向にあります。男女を比べると女性のほうが発症しやすく、男性の約2倍の数の女性がうつ症状を発症しているともいわれています。実際に当院の患者さんも若い女性が多いです。世界的に見ても若い女性に多いとされているうつ症状ですが、日本では中高年の男性で発症する人も少なくありません。その背景には出世や環境要因があります。また、日本では一生涯でうつ病にかかる率はおよそ6%〜8%ともいわれ年々増加傾向ですが、アメリカでは約12%〜18%と、日本よりも多いとされており、国民性や人種などとも関係していると考えられています。
- Q医療機関を受診するタイミングは?
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A
いつもと違って、落ち込みが長く続く、涙が出てしまう、意欲が湧いてこない、仕事の効率が下がりミスが増えるなど、日常生活や社会生活に支障を来しているかもと思った段階で、受診していただくのが一番良いと思います。落ち込みや泣けてくるなどの症状は体の痛みと同じくらいつらいものです。早めに受診し気分が楽になれば、その後の経過も良くなると考えられますので、早めに受診することをお勧めします。また、体のサインも一つのタイミングですね。動悸や胃が痛いなどの症状があり内科を受診された方が、肉体的には異常が見つからず心の不調ではないかということで、精神科を受診する方も多いです。
- Qこちらのクリニックではどのような診療を行っていますか?
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A
現在のうつ病治療は薬物療法が中心となっていて、当院でも薬物療法を中心に、必要に応じて休職や就労制限などの環境調整を行ったり、認知行動療法等の精神療法も活用して治療を進めています。初診時はケースワーカーや公認心理師、臨床心理士、看護師と事前に面談をした後、医師の診察に入っていただくことで、患者さんの相談内容やニーズを聞き漏れがないように努めています。まずは患者さんの話を全面的にお聞きします。患者さん自身がどうなりたいか、どういう目的で来院したのかを聞いて、要望に沿った治療を進めていくためにも、初診時は特に丁寧に対応させていただき、治療の継続と関係性の構築につなげています。
- Q日常生活でうつ病を予防することはできますか?
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A
重要なことは、ストレスをかけすぎない、無理をしすぎないのが一番です。真面目な人や責任感の強い方は、自分では「まだいける」と思い、限界以上に頑張ってしまう傾向にあります。ですので、「過度なストレスを感じている」「体がだるい」「不安や落ち込みがある」等のお悩みがある際には、まずは家族や友人など周囲の人に相談されることをお勧めします。皆さん多かれ少なかれ無理はしていると思うのですが、限られたエネルギーの中で無理をしてしまうと、どんどん症状に現れてきて悪化してしまうこともあります。働き方改革が進められ長時間労働の実態があらわになる昨今ですが、ご自身の適正な活動量を把握し行動することが大切だと思います。