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小谷 隆久 院長の独自取材記事

こたに歯科

(和歌山市/宮前駅)

最終更新日:2021/10/12

小谷隆久院長 こたに歯科 main

和歌山市手平にある「こたに歯科」は、木材をふんだんに使った建物と大きな窓が特徴的なクリニックだ。院内の細部までこだわったという小谷隆久院長は、地元で診療したいという熱い思いを持ち、2019年に開業。勤務医時代は障がい者の治療に携わり、障がい者支援の現状を目の当たりにした。開業後は障がい者にとって利用しやすい院内環境を整備。また、スタッフが働きやすい職場環境を整えることにも注力し、患者にもスタッフにも家族のように接している。さまざまなことに気を配る小谷院長に、診療の際の心がけや今後の展望について聞いた。

(取材日2021年5月31日)

予防歯科と障がい者支援を柱に地域密着の診療を実施

和歌山での開業を熱望されていたそうですね。まずは、医師をめざしたきっかけを教えてください。

小谷隆久院長 こたに歯科1

子どもの頃に一緒に山登りをしていたお医者さんがいて、その方に憧れを抱くようになったんです。もともと「地元で人の役に立ちたい」という思いがあり、医療に関わりたいと考えていました。大学時代は、地元の和歌山で地域に密着した予防歯科診療をやりたいと考えながら学び、勤務医を経て、2019年に熱い思いを持って開業しました。そんな私を支えているのは、祖父がよく言っていた「継続は力なり」という言葉です。歯科の治療について、虫歯や歯周病の予防を学んできました。その確立していることを継続していけば、患者さんのお口の状態は良くなっていくはずです。また、「ヘルスプロモーション」という言葉がありますが、患者さんと歯科医師が一緒に継続して治療に取り組み、病気を予防する環境づくりを継続してサポートするというスタンスで診療しています。幼い頃に祖父から教わった「継続は力なり」が現在の診療にも生かされていますね。

では、予防歯科について詳しく教えてください。

虫歯は削って詰めれば治ると考えている方が多いですが、実は治るわけではありません。虫歯は歯が溶ける「病気」です。虫歯の原因となる細菌が出す酸によって歯が溶けて穴が開きます。その穴を削って詰め物をしても、歯が溶ける病気そのものが治るわけではないのです。もしも歯を削らずに詰め物もしなくてよいのであれば、そのほうが良いですよね。ですから、病気にならないようにまず予防することを重視しています。大人の場合は、虫歯に加えて歯周病の予防も大切です。気づかないうちに歯周病が進行することが多いため、しっかりと検査をして状態を把握する必要があります。さらに、診断した上で患者さんに状態を説明し、今後の方針を決めていきます。患者さん一人ひとりに合ったアドバイスをするようにしています。

障がい者支援にも力を入れているそうですね。治療に対する思いをお聞かせください。

小谷隆久院長 こたに歯科2

勤務医時代に障がいのある方、特にお子さんと接する機会が多くありました。親御さんからは「障がいのある子を診てくれるところがどこにあるのかわからず困っていた。診てもらえて助かった」という声をいただきました。障がい者の受け皿が少ないのが現状です。しかし、患者さんは多数いる。これは何とかしなければと思い、勤務医時代に大阪大学にお願いをして障がい者歯科について勉強させてもらい、満を持して開業しました。ノーマライゼーションの考えも入ってきますが、障がいの有無に関係なく、誰もが分け隔てなく通えるクリニックをつくりたいと考えています。開業後も週に1度、障がい者歯科の外来の非常勤歯科医師を続け、お子さんから高齢の方まで診察していました。これまでの経験から得たノウハウやテクニックを生かして診療しています。

患者とスタッフを「自分の家族」だと考えて診療する

診療の際に心がけていることやモットーは何でしょうか? 

小谷隆久院長 こたに歯科3

まずは患者さんにしっかり説明することを心がけています。今どのような状態なのか、これからどのような治療をするのかなど、治療方針や期間、ゴールを示します。歯科で治療について説明してもらえなかった、いきなり歯を抜かれたなど怖い思いをすると、歯科が苦手になりますよね。私自身も昔、歯科で怖い思いをしました。恐怖を取り除くために、患者さんに説明し、希望に沿った治療をするように配慮しています。私が診療の際に考えていることは、「患者さんが自分の家族だったらどうするか」。大切な人を治療しているという気持ちで患者さんと接しています。時には患者さんに「それはいけない」と怒ることも。本当に患者さんのことを心配するのであれば、言うべきことはきちんと言うようにしています。

歯科は痛くて苦手だという方も多いですよね。痛みの緩和について工夫されていることはありますか? 

私も治療を受ける側になると、とても怖いんですよ。知り合いの歯科医師に歯を診てもらうとき、「どの道具を使う? どうやって治療する?」と質問攻めにして、「静かにして!」と注意されるくらいです(笑)。当院では、これまで歯科恐怖症で治療に踏み出せなかった方でも治療を受けていただけるように、痛みに配慮しながら治療を行っています。特別な道具を使っているわけではなく、痛みの少ない処置をするためのテクニックがあるんです。「痛みの少ない治療に対応している」というクチコミから来院される方も多いですね。

治療だけではなく、院内にもこだわりがあるとか。

小谷隆久院長 こたに歯科4

設計の段階から関わってきました。まず、歯科らしくない見た目を意識しました。院内に光が差し込むように広く開口部をとり、閉塞感のない雰囲気になっています。院内が明るいと、患者さんはもちろんですが、スタッフも気分良く過ごせますよね。また、バリアフリーやプライベート空間の確保についても配慮し、障がいのある方とご家族が過ごせる場所やカウンセリング室などを設置しています。また、空間をしっかりと仕切り、飛沫や感染を防止する工夫もしています。開業後もスタッフの身長に合わせて作業台の高さを調整したり、患者さんからの要望で駐輪場のライトを設置したりしました。ノーマライゼーションの考えのもと、障がいのある方や車いすの方の診療をベースに院内の環境を整えています。

地域コミュニティーを担う、気軽に集える場所をめざす

スタッフの働く環境についても配慮されているそうですね。

小谷隆久院長 こたに歯科5

予防歯科では歯科衛生士やスタッフの仕事がメインになります。衛生士の仕事は専門職なので、研鑽を積み重ねていかなければなりません。しかし、結婚、出産を機に仕事を辞める方が多いのが現状です。復職が難しいんですね。仕事に誇りとやりがいを持って続けていけるような職場が必要です。当院では、スタッフが残業しないように業務を調整しています。開業して2年、これまで残業したのは6回です。そのたびに「5分遅れて申し訳ない」とスタッフに謝っています。また、朝は私がスタッフより先に来て、暖房をつけたり、朝のスタッフミーティングで情報共有するためにカルテをチェックしたりしていて、帰りは私が一番最後に帰ると決めています。スタッフも家族と同じ。楽しく働ける職場をつくりたいですね。

趣味やリフレッシュ方法はありますか? 

最近、自転車通勤しています。最初は30分かかっていましたが、20分で到着できるようになりました。また、音楽も好きで、大学時代は路上でギターの弾き語りをしていました。今でも診療後にギターの練習をしています。クリニック内でギター教室を開く構想も練っているんですよ。当院のコンセプトは、「みんなが気軽に集える歯科クリニック」。クリニックを地域のコミュニティーセンターのような場所にしたいんです。治療がなくても遊びに来られるような、地元の方が集える場所にするのが理想です。以前は、お祭りを開催したり、本の読み聞かせ教室やゴスペル教室を開いたりしていました。今後は外にテラスを設置して、気軽にお茶が飲めるようなスペースをつくりたいと考えています。

今後のクリニックの進化が楽しみですね。最後に今後の展望をお聞かせください。

小谷隆久院長 こたに歯科6

予防歯科と障がい者支援について、熱い思いを持って開業しました。今後もスタッフとともに研鑽を積みながら、特に障がいのある方に配慮できるクリニックをめざしていきます。また、院外の活動も積極的に行いたいですね。NPO法人で障がい者支援への取り組みを呼びかけたり、地域の学校歯科医師を務めたりといったことも注力していきたいです。さらに、訪問診療のご依頼に応えられるように、スタッフと一緒に勉強する計画も練っています。患者さんとスタッフは、自分の家族と同じ。このスタンスに立ち、今後も地域に密着した診療を続けていきます。

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