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食べることを諦めないでほしい
食事での問題は、歯科に相談を

ウッディ吉原歯科

(三田市/南ウッディタウン駅)

最終更新日:2022/03/15

ウッディ吉原歯科 食べることを諦めないでほしい 食事での問題は、歯科に相談を ウッディ吉原歯科 食べることを諦めないでほしい 食事での問題は、歯科に相談を
  • 保険診療

摂食嚥下障害と聞くと、「うまく飲み込めず、誤嚥性肺炎になる症状では?」と考える人も多いだろう。しかし摂食嚥下障害は飲み込みなどの一部の機能だけに原因がある症状ではない。「“食べること”に支障が出ている状態すべてを、摂食嚥下障害と言って差し支えないのです」と警鐘を鳴らすのは、「ウッディ吉原歯科」の吉原秀明院長だ。同院では訪問歯科診療にも注力している。「筋力が低下し、寝たきりになり、胃ろうや経管栄養になる最初の入り口は“食べること”なのです。そこを私たちは救いたいと思っています」と真摯に、切実さをにじませながら吉原院長は語る。今回は吉原院長に摂食嚥下障害とはどういう症状か、その対策には何が考えられるのか、向き合う時には何が大切なのかなどをじっくりと聞いた。

(取材日2021年12月28日)

“食べること”に支障があれば歯科に相談を。専門的な分析と周囲の協力で、患者の生きる意欲を支えていく

Q摂食嚥下障害とはどのようなものなのでしょうか?
A
ウッディ吉原歯科 摂食嚥下障害とはどのような病気なのか真剣に説明する院長

▲摂食嚥下障害とはどのような病気なのか真剣に説明する院長

摂食嚥下障害は本来幅広い症状を指しますが、高齢になり、高齢者ならではの症状、例えば認知症や口腔機能の低下などが出てくる中で、食事をしづらい、食事ができないという“食べることに支障がある状態全般”と考えて良いでしょう。医学的には、目で見て食べ物を認識する「先行期」、食べ物を口から入れ咀嚼する「準備期」、食べ物を口の奥から喉へ送る「口腔期」、食べ物を食道へ送る「咽頭期」、食べ物を胃へ送り込む「食道期」の5期に分類されます。噛む、飲み込むといった部分的な動作にフォーカスするのではなく、例えば「目の前に食事が用意されていても認識せず、食べない」という状態も摂食嚥下障害に含まれます。

Q摂食嚥下障害の原因は何なのでしょう?
A
ウッディ吉原歯科 原因も状況も改善方法も、本当に千差万別なのだそう

▲原因も状況も改善方法も、本当に千差万別なのだそう

例えば、上下とも歯がなく入れ歯もない方でデイサービスの食事でいつも大声でむせてしまい、介護士の方も困っている方がおられました。ですが、自宅ではむせずに食べることができるというのです。訪問診療で伺い簡単な嚥下試験を行った上、実際におせんべいや焼き魚などを食べていただき、食事風景を拝見しました。その結果、考えられたことはデイサービスでの食事方法の問題点です。歯がないため刻み食で提供された食事ですが、その分口にほおばる量と速度が増えてしまい、むせてしまうのではということです。この場合、食事時に用いるスプーンの大きさを工夫して対応することができます。このように病気や体が原因ではないことも多いのです。

Q症状の改善には状況の分析と、周りの理解が必要なのですね。
A
ウッディ吉原歯科 まずは歯科に相談してほしい

▲まずは歯科に相談してほしい

摂食嚥下障害は歯科医師だけに任せて治る病気ではありません。認知・口腔・喉の機能、身体的な要素などが複雑に絡み合っています。原因や状況、その改善方法も千差万別なのです。例えば認知症で食事が取れない場合、食事を認知して食べることに集中していただく必要があったり、テレビがついているだけでも食事の妨げになることがあります。どこの何に問題があるかを歯科医師や介護職、そしてご家族が情報を共有し、その方に合った食事環境をつくり、一丸となってサポートしていく必要があります。歯科は複雑な食事のプロセスを一貫して把握し、旗振り役になることができます。食べることにお困りであれば、まず歯科に相談してほしいと思います。

Q摂食嚥下障害が進行するとどうなりますか?
A
ウッディ吉原歯科 うまく飲み込めているか聴診器を使い検査することも

▲うまく飲み込めているか聴診器を使い検査することも

誤嚥性肺炎がその一例ですが、食べれないということは体の機能維持ができなくなるということです。摂食嚥下障害の原因が喉にあれば肺炎に、口にあれば咀嚼が難しくなるだけでなく、歯周病が認知症につながる可能性もあります。口にトラブルがあると、多くの場合栄養不足になっていきます。ペースト状のものは食べやすいですが、食べる意欲が減りやすく、常食に比べ同じ量でも栄養価は低くなりがちです。また社会性も低下するといわれており、引きこもりがちになれば運動不足から筋力低下を招きます。そうした負のスパイラルに陥り、最終的にADL(日常生活動作)の低下につながって、介護が必要になり最悪の場合命に関わることもあります。

Qそうならないためには、第三者的な目線が大切なのですね。
A
ウッディ吉原歯科 諦めないことが大事と語る院長

▲諦めないことが大事と語る院長

「いつもこうだから」と周囲が諦めてしまうと、ご本人も諦めてしまいます。ですが、思いがけないところに解決可能な方法があるかもしれません。また、例えば入れ歯が難しい方でも食べ物の形状を工夫したり、その方に合った口から食べる方法を見つけることができるかもしれません。とにかく、ご本人が「食べたい、おいしい」と思えることが大事なのです。どうにかしたいと思う方はぜひ、介護職の方や歯科医師に相談してください。プロの視点から原因を絞り込み、対策を立てれば改善する可能性があるのです。

ドクターからのメッセージ

吉原 秀明院長

私が今一番伝えたいのは、諦めないでほしいということです。ご本人もですし、ご家族、介護の方を含め皆さんが諦めてしまうと、その方の食べる楽しみ、ひいては生きる活力が失われてしまいます。年齢的に摂食嚥下障害が生じてしまうことはある意味仕方のないことです。だからといって人としての尊厳を、ご本人が「自分はもう食べれなくてもいい」と諦めていいというわけではないと私は思うのです。何とかしたい、一緒にどうにかしたいと思う人はきっと近くにおられるはず。その中にあって歯科は、誤嚥性肺炎の予防から健康でい続けられるサポートまで幅広く対応できる場所です。どうか一度希望を持って、歯科に相談してみてください。

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